推しがいると人生が楽しい

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【宣誓、僕たち】あとがき

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「宣誓、僕たち」のあとがき。

私が好きなVivid BAD SQUADとその周囲の関係性を書けたな~! と思っており、現状とても満足している。ある意味ではビの最終回であり、けれど終わりではなく、二期へと続くプロローグを書けたな~と思っている。本当にこの話を書ききれたことが今は嬉しい。

めちゃくちゃ長いので、まず目次。

きっかけ

この話のきっかけは、2020年12月23日。ワンダショちゃんねるにて、正月楽曲追加キャンペーンの中でVivid BAD SQUADが「ECHO」を歌うことが発表されたところから。

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「ECHO」が英語の歌詞であること。そして、和訳すると「家を焼き落として絶対に振り向かない」という歌詞があること。そのあたりで「ビにアメリカ行ってもらいたいな~!」と言い始めたところから、この話は始まった。

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この頃から私は既に「大人になったビビバスには一つ屋根の下で四人暮らしをしてほしい」と思っており、渡米したらそれできるじゃん! と思ったのもある。最終的に四人暮らしに行き着くための状況設定のためにアメリカに行ってほしいな~とも思ってた。

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ECHOが実装されてからもたびたび渡米ビの話をしています。

この頃から私の中で「ビビバスが高校在学中に伝説超えする」→「大学進学の18~22あたりにモラトリアムがある」→「渡米」の流れが確立されてきたように思う。

ECHOが実装された1月あたりからずっと「アメリカ行きを決めるビの話を書きたいな」と思ってて、でもその骨子は何も見えてない、という感じだった。そのとき考えてた話の概要は、二十歳くらいのビが四人でドライブして朝日を見て「アメリカ行くか~」って決める話、くらいしか考えてなかった。

この時期はほんとにゆるゆるとしか考えてなかった。朝日と絡めたいのは絶対に譲れなくて、でも徹夜でドライブはキツイし、そもそも四人で朝日を見るシチュを作れたとしてもアメリカって突拍子もなさすぎるんだよな、どこから4人にその発想もってこさせればいいんだろう……などと考えていた。この時期はまだリリックしかイベストがなかったのもあり、渡米とか流石に無理あるかな……と思ってたからというのもある。

Untitled

その年の二月末に「Untitled」という話を上げた。想いが続いていく話を見たくて、あと叙述トリックをやりたいと思って書いた話。ビビバスのどういう未来を見たいのか、とかも考えてたと思う。セカイがこれからも繋がるといいな~みたいな思いもあった。で、その話の流れで「こはねさんと冬弥さんが大学卒業すると同時に渡米」て書いた。既成事実! 言ったもん勝ち! みたいな勢いで書いた。

書いたことにより余計に「いつかアメリカ行きを決めるビの話を書きたいな」と思うようになった。というか、書いたからにはいつか「どうしてアメリカに行ったのか」について説明する話はやらないと誠実じゃないかな……と思った。

余談。この「誠実でありたい」というのは、Vivid BAD SQUADの4人と、その4人を好きな人達に対してそうありたいと思っているってだけです。綺麗事言ってんなという自覚はある。所詮二次創作なんて捏造でしかないし、キャラ崩壊してようがしてまいが勝手にキャラを動かしてるという点では変わらないので。しかも「誠実かどうか」ってのは個人の物差しでしかないし。何が誠実かなんて誰にも決められないし。

けどまあ、あくまで私個人としては、大好きな彼らの物語を書かせてもらうんだから雑なことしたくないな~と思ってる。これは私が読むときにそう思ってるからってのもある。

SBDとBBY

SBDで遠野新というサブキャラが登場し、驚くことに海外で修行していたと言うじゃないか! と盛り上がる。これはビもアメリカ行けるわ!! と歓喜した。けど、この時点では具体的な話が見えてなかった。この辺りの時期は創作欲がかなり落ち着いてたからってのもある。

BBYで謎のおじさんがRAD WEEKENDの立役者だと判明。しかもアメリカで活動してて再生回数5億とか言ってるんだけど!? これはビも行ける!! アメリカに!! と、めちゃくちゃテンションが上がっていた。

Vivid BAD SQUADのストーリーには本当に便利なサブキャラが多く、白石謙を筆頭に、青柳春道、三田洸太郎、遠野新、古瀧大河と、本当に物語を動かすにあたり便利な人間が多すぎるよ……と思っている。しかしこの「便利」は、たしかに物語を動かすのに便利なんだけど、あまり便利に使いすぎちゃいけないとも思ってるから、難しいな~と思ってる。余談。

BBYのイベストが本当に本当に大好きで、私が見たい白石杏と東雲彰人の関係性をめちゃくちゃやってくれて、「テネシーハニーを飲みながら」を書いておいて本当によかったと思うなどして、白石杏がこれからぶつかる壁みたいなものを見れて、それでテンション上がって書いたのが「我往くは荒野」で。

この話を書き終わったあと、東雲彰人の誕生日が近かったのもあり、「誕生日に向けて何か書きたいな!」と思った。そこで思いついたのが、かねてより書きたいと考えていた、「ビがアメリカ行きを決める話」だった。

なので、この話を具体的に考え始めたのは2021年の10月下旬くらい。

プロット作成と情報収集

流石に長い話になるだろうな、と思ってプロットを作った。あとアメリカないしニューヨークやヒップホップの歴史とかも調べた。何かに使えたらいいな程度の感覚で。ニューヨークが5つの区域に分かれてて、ヒップホップ発祥地はその中のブロンクスってところで~みたいな知識はこのとき調べて知った。そこでアポロシアターの存在を知って、アマチュアナイトのことを知って、めちゃくちゃビにおあつらえ向きなルールの場所だな!? と、すごくテンションが上がった。

最初に作ったプロットはすごく雑。

「大河からアメリカ行きを誘われる」→「四人がそれぞれ悩む」→「どうするか決める」程度。

アメリカ行きを誘われる序盤で4人の雑談だったり酒飲みだったりを入れられたらいいな~と考えてた。

あと、四人それぞれ悩むターンでバチャシンとの絡みを入れたいっていうのと、サブキャラとの絡みを入れたいな~とも思ってた。

ので、誰と誰を対応させて、それぞれがどんな悩みを抱くのかを考えた。

最初期の案は以下。

杏:ミクと遥

冬弥:カイトと春道(この時点ではルカが未加入だったため)

彰人:リンレンと新

こはね:メイコ

杏が遥なのは完全に趣味。白石謙でも問題はなかった気がするんだけど、私が杏と遥の関係性が好きなので、一度書いておきたかったというのがある。結果として遥でよかったな~と思ってる。

あと、この時点では、こはねと三田が話すのはあんまり考えてなかった。いれてもいいけど他の対応の強さ(杏と遥、冬弥と父、彰人と新)と比べて弱いよな~とも思ってたから。あと、こはねのとこは悩む必要がなくて、相談相手がそんなにたくさん必要じゃなかったからというのもあり。この時点ではこはねはバチャと話すだけかな~と考えてた。

最初に考えてた割り当てはそんな感じで、後からビミクは全員と会話してほしいな~と思い、追加された。この時点では決まってなかったけど、書いてるときにバチャの出演回数はなるべく均等にしたいな~と思って、メイコは杏とこはねのパートに出てもらった。初期バチャだし。

四人がそれぞれどんな悩みを抱くのか、というのは結構難しかった。彰人とこはねは即決だったんだけど、冬弥と杏はどうしようかな~と少し悩んだ。

彰人は一番現実的なことについて悩ませればいい(というかそれが彰人の役割だと思ってる)ので、イベント関連のことを。

こはねは、行きたいけど全部諦めたくないから断りたい路線が決まってた。最後はこはねで締めてほしいっていうのは最初から決めてた気がする。私は我が強い小豆沢こはねが好きだから。「ローリスクじゃ物足りなくなっちゃったし」って歌ってるし。

それと、Vivid BAD SQUADの始まりは3人が既に夢を持ってるところに小豆沢こはねが流れ星のごとく突然にやってきて4人になるところから始まってるので、その逆を書きたいなと思ったというのもある。こはねの夢に3人が引っ張られるっていう。メタ的な話をいれると、こはねがリーダー枠を担っていて、彼女が一番「Vivid BAD SQUAD」を体現している存在だとも思ってるので、こはねだけは違う視点でいてもらおうと思ってた。あと、こはねに一番少年少女のままでいてもらいたいな、と思ってたような気がする。

で、冬弥と杏の悩みについて。

彰人と同じ悩みを抱えさせても悪くはなかったんだけど、それだと読んでてつまんないよなあと思ったので、それぞれ違う悩みにしようと思った。4人からしたら自分自身の悩みは固有で個別なものではあるんだけど、読み手からしたら何人も同じことで悩んでるってのは、どうしても読んでて面白みに欠けるよな~と思ったので。

冬弥は学業周りのことを。杏は、伝説超えしたことにより街が変化したことについて。

そのあたりを考えて、プロット第二段作成。

「1.四人で談笑ターン(現状の説明)」→「2.大河登場」→「3.彰人」→「4.冬弥」→「5.杏」→「6.こはね」→「7.バチャシン」→「8.四人の話し合い」→「9.二年後」

7の「バチャシン」ていうのは、結果として「二 セカイと想い」のところになった部分の話。

「7.バチャシン」の部分は、伝説超えしてもビがセカイに行けるので、どうしてそうなったのかの説明をしないといけないな、と思ったからいれた。伝説超えしたのにどうしてまだセカイに行けるのか? 伝説超えの周辺で何かあったのか? そのあたりを書かないと誠実じゃないよな~と思ったので。

まあ多分、公式ではその辺に触れないまま伝説超えしちゃって、その後もぬるっとセカイに行き続けられるんじゃないかな、と思ったんだけど。でも明確に「RAD WEEKENDを超える」っていう目標があるからこそ、セカイとの「終わり」が見えてるのがビだと思ってるから、そこをやらないのはやだな~と思って。まあ……大変だったんだけど……本当に円満な永遠の別れって難しい……。

あらかたプロットが固まったので、よーし書き始めるぞ! と思ったんだが、なんかうまく創作欲が乗り切れず……みたいな感じだった。

ハロウィンとミライ

そこでハロウィンライブがやってくる。このライブに「ストリートのセカイのバーチャルシンガー」としてルカが出てきたから、本当に困った。二十歳のビの話をやるならルカがいないととおかしいし、現にこうやってハロウィンライブで登場してるのに、ビルカを入れないで話を作るのはな~と思ってしまった。無理矢理ビルカを追加するにしても、ハロウィンライブと杏のバースデーライブしか参考にできる言動がないから、創作するには材料が足らなくて。ビルカの性格をあれだけで把握して書くのは難しいでしょ……と思ったし、イベストで追加されてないのにバチャライにほいほいビルカを出してくる運営に怒りを抱いて萎えたのもある。

ここで「ビルカ来るまではこの話書けないよ~」となり、プロットまで立てたはいいものの、この話はお蔵入りになるかと思われた。

SDSCイベでようやくビルカが追加された。けどこの時は「追加されて言動も割とわかったし書くか~」とは思ってなかった。単純に創作欲が湧いてなかったので。Vivid BAD SQUADにおける「火つけ役」が小豆沢こはねであることとか、考えてたプロットにぴったりすぎて最高かよ~~とかは思ってたけど。

決定打になったのは12/29に「ミライ」が公開されたとき。

あまりにも歌詞がよくて、メロディーがよくて、ありきたりな言葉だけど、胸を打たれたのだと思う。感動した。これだけの感動を与えてくれた、私が好きなVivid BAD SQUADのことを書きたいと思った。私が大好きなVivid BAD SQUADの四人のことを、書き残しておきたいと思った。

曲名が「ミライ」だったのもあり、彼らの未来についてを考え、やっぱりプロットで止まってたアメリカ行きの話を書きたいな……と思った。

それと、この瞬間に書き出しの一文がスッと思いついたのもよかった。(なぜかわからないが好きな書き出しを思いつくとその後するする書ける、なんでかはわからない)

この場合の書き出しの一文ていうのは「経験というのは財産だ」のところ。これはBBYのときじゃでてこなかったな~と思う。SDSCがあったからこそ、自分の中から出てきた文だな~という感じ。

やる気が出たので、12/30から創作開始。このときは全部で5万字くらいかな~いっても8万くらいじゃないかなと思ってた。前奏曲を超えることはないだろうと思ってたし、まさか12万字いくとは思ってもみなかったな……。

アメリカ行き」の終着点

一章に入る前のポエムはたしか一番最初に書いたと思う。これから始まる話がどういう話なのかを間接的に読者に伝えるためにいれた。長い話は終着点が見えないと読むの辛いよな~と思ってるので。だからキャプションにも「アメリカへ行くことを決意する話」って着地点を書いた。それが結果としてミスリードとなってるんだけど、これ上手くできてんのかな……と今でも不安に思ってる。

なんで不安かって、「Untitled」でこはねと冬弥が大学卒業と同時に渡米って書いてるから、もしそれを覚えてる人がいたらすぐバレちゃうよな~と考えてた。まあ私がそれを忘れてて読み返して確認したくらいなので、誰も覚えてないだろ、と思ってるんだけど。あと、たとえ覚えてる人がいても、「Untitledとは違う結末の話にしたのかな」と思われるほうがあるかな~と思ったので。

タイトル決め

候補としては「僕ら朝焼けに宣誓を」とかもあった。とにかく「宣誓」とか「誓い」みたいな単語を入れたかった。で、「宣誓、僕達私達、選手一同は」っていう運動会の宣誓を思いついた。あれって少年少女しか言う機会がないと思ったから、4人に合ってるなと思った。タイトルを「宣誓、僕たち」で区切って、キャプションに「Vivid BAD SQUAD一同は」と入れたら、運動会の宣誓だな、と思ってもらえるかなと思って。

なんで「宣誓、僕たち私たち」にしなかったかっていうと、そうするとBDとVvに別れてしまって、「おれたち私たち」にしないと一人称として不自然だよな、と思ったから。(BDの一人称をまとめるときは「おれ」にしてるので) それに、本来運動会の宣誓は「宣誓、僕たち私たち」なのに、「俺たち」に変わってしまうとそのニュアンスを組んでもらえないかも……と思い、「宣誓、僕たち」で区切ってしまうことにした。Vivid BAD SQUADの一人称は「僕」だと思っているので、というのもある。

 

以下、書いた順でそれぞれの章のあとがき。自画自賛を多分に含みます。

四人と現状

最初に「経験というのは財産だ」から始めて、嘔吐シーン。ここ、嘔吐するのは正直冬弥じゃなくて彰人や杏でもよかった。だけど、「経験というのは財産だ」っていうSDSCの冬弥の言動から話を始めてるので、冬弥に嘔吐してもらうことに。ごめん青柳……。嘔吐描写、なるべく気持ち悪く、読んだ人が自分が嘔吐したときのことを思い出して不快になるような文を書きたかったんだけど、私ではこれが限界だったな……。吐瀉物を拭いた雑巾の味(出典:呪術廻戦)みたいな表現が出てこなかったんだよな~。これはもっと精進したいと思う。

で、冬弥が席に戻り、4人の談笑ターン。何話すのかは決めてなかったんだけど、最初の導入は4人の雑談にしようというのは決めてた。雑談を交えながら現状の4人の説明をしよう~と思ってた。なんで雑談かっていうと、最初からずーっと地の文が続いてると読み進める気力が削がれるかな……と思ってるから。序盤に4人の会話をいれて、その会話文を拾って読み進めるうちに地の文も読んでしまう……みたいな感じにできたら一番いいなと思ってた。そう思ってた割に、地の文多いのかもしれないんだけど……。地の文を書くのが好きだから、こればかりは許してくれ。

杏が買った服の感想聞くとこも、多分こんなに尺取る必要なかったと思うんだけど、楽しかったから書いてしまった。「似合う」しか言えない(言わない)冬弥はいるよな~と思うし、彰人が駆け込み寺になってるのも書きたかったし。

ここでめちゃくちゃ気に入ってるのは、杏からライダースを「どう?」と聞かれた際の冬弥と彰人の視線の違い。マジで好きすぎる。冬弥はライダースだけを見て判断してるんだけど、彰人はそれ以外の髪やネイルやメイクやピアスを総合的に見て判断してるんですよ。マジで……好きすぎる……我ながらここ大好きすぎる。けど「悪くない」しか言わない東雲彰人お前お前お前!! となるし、ここ書けただけでもめんどくさがらず省略しないでよかったなと思える。

服の話から今度一緒に春服見に行こうの話をやって、ピーナッツ食べるハムスターをやって、酒馬鹿の話につなげる。この辺は特に意図はなく、4人の雑談を読んでもらおう~と思ってたくらい。

酒馬鹿するビ、ず~~~~っと見たいよ~~~!!!! と叫んでたので、今回その一端を書けたのは非常に満足している。ぼくの酒馬鹿経験が浅いため、サブマリンていう分かりやすいものにしてしまった。ほんとはダーツバーで負けた方がテキーラショット2杯飲むとかのほうがよかったのかな~とか思うけど。流石にそこまで労力を割けなかった……。

で、そこから4人の現状の説明。一人暮らしをしている話とか、杏と彰人が何してるのかとか。この辺は概ね「テネシーハニー」のときと変えてない。強いて変えたところといえば杏が「2号店の一店員」と、今回明記したとこくらいかな? と思う。流石に責任者は無理あるよな~と思ってしまったので。

4人で集まって雑魚寝してるの、マジでずっと「見たいよ~~~!!!」って言ってたことなので、書けて本当によかった……と思っている。

冬弥の家に到着して、冬弥の部屋には4人で出かけたときに撮った写真が飾られてる。これはSDSCで撮った写真をくれないか? と冬弥がこはねに頼んでたのがすごく好きだからいれた。ほんと~~に好き。ミライの歌詞を少し絡められたとこもよかったと思う。

で、全国ツアーの話。ここは説明ターン。

ここ、全国ツアーは1年半後って書いたんだけど、実際はどうなんだろうね? もっと前から準備してる気がする。イベント企画警察(弓道警察の亜種)に見つかったら指摘されちゃうんだろうな~と思ったんだけど、話の都合上2年以上先にもできず、まあ1年半後でいいか……と決め打ちしてしまった。全国ツアーの形態は去年のCreepy Nutsのツアー内容を参考にした。全国8都市で、最後の公演が横浜アリーナってところ。今の日本で一番有名と言っても過言ではないヒップホップアーティストがCreepy Nutsだと思ってるので、そんな彼らと同じくらいのレベルに二十歳のビがなってるといいな、という願望。

あ、あと瓶の蓋を開けられないこはねと、それを横取りして勝手に開ける彰人というのをようやく書けたのもめちゃ嬉しいな~と思う。

そこからまた酒馬鹿に移り、こはねが一人生き残るところ。完全に趣味だけど、こはねが一番酒強いと嬉しい、それだけ。これは再三言ってるけど、酒の強さなんて体質でしかなくて、解釈が挟まる余地がないので、趣味で決めていい部分だと思ってる。ので、こはねが最強だと嬉しいな~くらいの気持ち。

余談。「解釈が挟まる余地がない」について。現実において酒の強い弱いってほんとに人によりけりで「強そうに見えて強い」「強そうに見えて弱い」「弱そうに見えて強い」「弱そうに見えて弱い」がいるから、「こういうタイプの性格の人間は酒が強い」とか言えないと思ってる。強い弱いは体質でしかないな~と思うから、趣味で決めていい部分だな、と思ってる。慣れてる慣れてないは解釈があると思うけど。私の中のビは、みんな酒にはある程度慣れてて、ある程度遊びで馬鹿なことできる程度には強く、こはねが最強だと嬉しい。そんな感じ。

話を戻して。そこから、ベランダで朝日を見るこはねのターン。伝説超えをしたこともここで説明。

ここはプロット段階では予定してなかったんだけど、書きたくなったからいれた。「宣誓、僕たち」の中でもかなり気に入ってる部分。

早いもので、部屋に横たわっている三人との付き合いが、こはねの人生の四分の一を占めるものとなっている。それがこの先、三分の一になり、二分の一となっていくのだろう。確信めいた予感が、こはねにはあった。

マジでいい。なんかこう、じわじわ泣きそうになってしまう。この先Vivid BAD SQUADの4人がずっと共にあってくれるんだろうな、というのを感じられて、嬉しくなってしまう。

そんでこの章の締めに「八畳一間の空間でオールからの雑魚寝しても何も過ちが起きることのないビが一番好き!」というやつを入れた。本当にそういうビが一番好きだから。

この先もずっと、僕らはそうあるのだろう。全員が無条件に、無根拠に、しかし強固な信頼を持って、そう信じている。

ここもめちゃくちゃ気に入ってる、よすぎる~~。自画自賛しちゃう。あまりにもいいので。

四人と分岐点

書いたのは「二 セカイと想い」よりこっちが先だった。「セカイと想い」についてはプロット段階ではこはねのターンの後にいれる予定だったので。

ここは大河がビに誘いをかけるとこは決まってたので、そこに行き着くまでを自然に書けたらいいかな~と思って書いてた。開店イベントに呼ばれたビ。そこでも酒を飲む。

店長がやってきて、好意からくる行動をうまく流せない冬弥とこはね、というのを見れて面白かった。店長が「青柳くん、小豆沢さん」呼びなのに、彰人と杏に対しては「彰人くん、杏ちゃん」なのいいよね~と思っている。店長が距離感を弁えてる感じもいいし、杏と彰人が懐に潜り込んでる感じも出てて、いいなと思う。

リカってネームドを出したのは、後の杏パートの布石。ここ、彰人が勝手に内心で納得してんのめちゃくちゃ好きすぎる。私の好きな東雲彰人すぎる。最高。

「杏さん」「青柳さん」「彰人さん」「こはねちゃん」なのも、個人的に気に入ってるポイント。そう呼ばれてることが多いといいな~っていう願望。

そこから戻ってきて、今のVivid BAD SQUADがビビッドストリートでどういう立ち位置になってるかの話。ここは書かなくてもよかったのかな~と今となっては思う……結局拾いきれなかったな~と……。でも話の流れとしてそうなっちゃったから説明しないわけにもいかないしな~と思って削ることもできず。

そして大河登場。登場させるの難しかった~。どうやってざわつきを発生させればいいのかあんまり分かってなかった。いや、ざわつき自体は発生するんだけど、それをどう描写して「ざわついてますよ」と示せばいいのかがあんまりわかってなかった。

で、大河から突然の誘い。ここでブツ切り。

彰人と役割

「セカイと想い」を書いたのはこの「彰人と役割」のあと。彰人の話を書くにあたって、「今の4人にとってアメリカという未知の舞台がどれだけ魅力的なものか、また、どうして行きたいのか」に説得力をもたせるには「セカイと想い」を先に配置しておかないと中々納得してもらえないかな、と思って、プロット段階の順番から変えて、最終的に2章に配置することになった。この話は後述。

ビビッドストリートのカフェでチーズケーキ食べながら、大河の誘いの回想。もっと端折ることはできたと思うんだけど、まあこれくらいは書かないとな……と思って書いた。で、BBYのときは大河の楽曲再生回数が5億だったけど、それから時間も経ってるわけだし、10億くらいにしておくか~と思って数を設定した。YouTubeの動画再生回数ランキングみたいなの見る限り、10億いけば相当だと思ったから。あと、めちゃくちゃ有名な歌手でも全部の曲が10億いくわけじゃなくて、その中の代表曲が10億超える感じだったので、「代名詞と呼ばれる曲」に限って10億、って設定した。

アルバムの発売日と期日は、現実味がないかもしれないし、もしアメリカの音楽レーベル警察がいたらなんか言われるかもしれんな~とは思ったけど、まあそういう話ってことで飲みこんでくれ! と思って決め打ちで設定した。

で、現在の彰人に戻る。彰人が一人で思考を回すパートからの新の登場。新と彰人の会話、書いてて楽しすぎた~~~!!! 「言葉の裏を読まないといけない相手との会話が嫌いな彰人」好きすぎ……。でもあんまり「嫌い」って連呼して、読み手に「彰人は新のこと嫌いなんだ」と思われるのも嫌だったので、本気の嫌いじゃないよっていう説明を入れた。いや、彰人からしたら「嫌い」は「嫌い」なんだけど、心の底からの「嫌い」ではないんだよな~みたいな塩梅を説明できてたらいいな、と思う。

ここで新を登場させたのは、彰人との会話が見たかったからという理由がひとつ。それと、海外で修行した人間の話を聞くため、という理由がある。

新の海外修行期間、年齢と白石謙の発言とRAD WEEKENDの時期とかと鑑みると時系列がおかしいよね? という問題はあるんだけど、それはこちらではどうしようもないので、考えないことにした。

「最後に勝ったのはオレ達だろ。都合悪いとこだけ忘れんな」

ここでフォークを新に向ける彰人、行儀が悪くて大好きだし、ここからの彰人と新の一連の会話が好きすぎる。ここは少年漫画をめちゃくちゃ意識してた。少年漫画でよくある主人公とライバルが〇勝△敗(馬鹿の数字)ってやつが好きだから……。

で、新が「俺の知ってるVivid BAD SQUADは、迷わずアメリカに行く。勝手だけど、そう思ってたんだよね」って言う。

今ふり返ると、この話は全体を通して「第三者がVivid BAD SQUADをどんな存在として見ているのか」の話でもあるんだな~と思う。

で、セカイのターン。リンレン出すのは決めてて、ミクは全員と対話してもらおうと思ってたので、出てきてもらった。ビミクと彰人の会話が大好きだし、リンレンに振り回される彰人が好きすぎるよ~~~。

ほんとは彰人がcrase caféでウィスキー飲む担当になる予定だったんだけど、リンレンいるし、あの高架下行ってほしいし、彰人がウィスキー飲むタイミングなくなっちゃったな……となった(なのでその出番は杏が担当することに)

リンレンミク彰人の会話を回すのは、ルカイトの会話よりかは楽だったような記憶がある。(というかルカはわりと楽に台詞を書けたんだけど、カイトがアホ難しかった)

で、彰人がリンレンミクの言葉を受けて、自分の意見を変えるところ。ほんと~~に、今まで書いてきたどの創作物にも言えるんだけど、「意識を変える、意見を変える瞬間」みたいなものを書くの、難しすぎる……と思ってる。はじめに持ってた意見のほうが現実的で真っ当な考えであればあるほど、それを覆すのって難しい。意見を変えたことを読み手に納得させるのって難しい~……。この話は最終的に「全部を諦めないウルトラCの選択肢」に行き着くからそんなに考えなくてもいいっちゃいいんだけど。

でも、読み手が読み進める段階では「ウルトラCの選択肢」がまだ出てないわけで。だから読んでて「え?あんなに悩んでたのにほんとにアメリカ行き決めちゃうの?大丈夫なの?」と思われちゃうかなあ……と思ってた。

それはそれとして、自分の役割を勘違いしている東雲彰人は大好きだし、「え? 違くない?」って言ってくれるリンレンミク、最高~~と思っている。

あと、私が書く東雲彰人は明言を避ける傾向にあり、それがここの最終的な結論のとこでも表れている。「アメリカ行きを選ぶ」とミク達に明言せず、「そのあとどうするのか考える」と間接的に伝えてくる。

それで最後!!

――土下座で済めばいいんだけどな。

よくない!!!!!!!(大好き!!!!!!)マジで大好きすぎる。

まったく、たまったものじゃない。損な役回りにもほどがある。

そう思うなら土下座すんな!!!!! となる。土下座くらいならいくらでもできる東雲彰人が好きすぎるし、損な役回りだとか思いながらもそうする必要に駆られたら真っ先に土下座してくれるお前が、好きだ…………。すきすぎる、、、、、、この辺はかなりお気に入りポイント。お気に入りポイントが多い。

セカイと想い

彰人の話を書いてる途中で、「これ、どうして4人がアメリカを魅力に感じるのかを先に説明しておかないといけないな」と思って、「セカイと想い」のパートを先に書くことにした。このパートを先にやっておかないと「でもアメリカなんて行かなくてもよくない? 日本で満足しなよ」と読み手に思われちゃうかな~と思ったので。「伝説超えをした4人は、その後何を目標に走っているのか」を先に説明しておくと、そのあと読む彰人パートからの話で「4人はもっと大きな世界を知ってもっと最高のイベントをやるために今活動している」と読み手がわかった上でアメリカという未知の場所がでてくるので、どれほどアメリカ行きが魅力的かが伝わりやすいかな~と思って。

ここはめちゃくちゃ書くの苦労した……。何が苦労したかって、こはねが駄々をこねるところ。

ニゴミク初期星3とかで語られてるんだけど、セカイはたとえ想いの持ち主が消えてもなくならないらしいです。だから、夢を叶えてもセカイがなくなることはないんだろうなと思う。けど、行けなくなる。「行けなくなる」とは明言されてないし、多分プロセカの方では伝説超えしても特に変わらずセカイに行けちゃうんだろうな、と思ってる。でも、公式でやらないだろうなと思うからこそ、見たいと思った。

夢を叶えたらセカイに来れなくなるのでは? と気づく4人(主にこはね)が見たかった。だって普通考えるでしょと思うから……。見たかったが、書くのはものすごく難しかった!!! 「嫌だ!」と言ってる人間を納得させるの、難しすぎる……。こはね以外の3人はセカイの思い出よりも歌の思い出の量が多いからなんとか納得してくれるんだけど、こはねだけは同じだけの歴史を持ってるから……ということにして、対象をこはね1人に絞った。(4人全員に駄々をこねられると本当に面倒なので……という作劇上の理由もある)

で、こはねも馬鹿じゃないから、無理だと言われたらそれを飲みこむことはできると思った。ただずっと「嫌だ嫌だ!」って言ってるわけじゃなくて、「夢を諦められない、けど、この気持ちをどうすればいいのかわからない」みたいな感じにした。この辺かなり雰囲気で圧してしまってる感じがある。ビミクさんに頼りまくり。

その表情は、ミクとこはねが出会ってから今に至るまで、一度だって見たことのない顔だった。

ここでビミクさんの表情を明記しなかったのはわざと。明記しないことで読み手に自由に表情を想像してもらいたいな、と思って。そういうのができるのが小説のいいところかなと思うので。

わんわん泣くこはね。今まで杏を3回ほど泣かせてきたけど、こはねを泣かせるのは初めてだな~と思った。最終的な落としどころが泣くことなの、どうなんだよ~と思うんだけど、だってどうしようもなかったんだよ……逆にどうすればよかったんだろうな……わからん……。この辺について読み手から「雰囲気でゴリ押そうとしてんな!」と思われても仕方ねえ~~!! と開き直って書いてた。

「円満な永遠の別れ」のストックがデジモンアドベンチャー無印とおジャ魔女どれみくらいしかなくて、おジャ魔女どれみは最終回で主人公のどれみが別れが嫌すぎてMAHO堂(という場所)に立てこもり、そこにクラスメイトとか今まで登場したキャラクター全員が押し寄せて説得してどれみがMAHO堂から出てきて終わるんですが、それで納得できるのはアニメって媒体だからなんだよな~と思うし、これを小説でやるの難しすぎた……。

最後の別れのパートはどれも気に入ってる。これは完全にデジモンアドベンチャー無印最終回を意識してた。パートナーデジモンと選ばれし子供たちがそれぞれのペアらしい別れ方をしているのが大好きなので。

冬弥とルカイトのさっぱりしてる感じも好きだし、彰人とリンレンは言わずもがな好きだし。杏メイコもこはねミクもよかったな、と思う。彰人とリンレン、あからさまに会話量多いのは贔屓かもしれない……プレゼントのくだりやったら伸びてしまって……。

「レン、リン。ありがとな。――お前らと出会えて、よかった」

柔らかく、暖かく、彰人が笑う。こんな表情の彰人を、二人は見たことがなかった。

こはちゃんと言葉にしてお礼を伝える彰人。彰人はユニストのときもちゃんとバチャに「ありがとな」と言ってるので、言わないと義理が通せないと思ってるときはちゃんと言う人だと思ってる。あと「時々びっくりするくらい素直」っていうリリック東雲後編もあるし。

最後に泣き出すリンレン可愛すぎるし、二人の頭を撫でる東雲彰人は許せない、、、、、ズルい、、、、ズルすぎるだろ!!!!!!!!!!!

別れの会話はメイコと杏、こはねとミクにした。個人的に人間バチャの対応としては、メイコとこはね、杏とミクのほうが好きではあるんだけど、最後の別れだからこはねとミクで対話してほしかったんだよな~というのがあるので。結果としてよかったなと思ってる。

杏とメイコの会話で「いつか自分の店を持ちたい」と話す杏が出てきて、「あ、これUntitledに繋がるな~」と思ったし。ミクにアルバムを渡すこはねもいいし。こはねとミクの会話はかなり地の文が少ないんだけど、それがなんかいい塩梅になったかな? と思ってる。うん、多分。

そこから、翌日。伝説超えしたけどセカイに行けてしまう4人。ミクとの再会。呆気ないけど、でもやっぱり嬉しいな~と思った。

そんな疑問が浮かぶ中、

「……あれ、昨日ぶりだね、皆」

そう、声がした。

ここはどう描写しようか結構悩んだ。せっかくの再会描写だし、ちゃんと劇的に書きたいなと思ってたので。最終的に採用されたこの形式が一番いいなと思ってる。

そこから、どうしてセカイに来れたんだろう? の話。「最高のイベントをやりたい」というのが本当の想いだけど、それは1回だけとは限らないんじゃない? という流れに。私はVivid BAD SQUADに対して、伝説の夜を越えても走り続けてもらいたいと思ってるので。

そこから、バチャシンとの再会。ここのバチャシン5人の台詞、短いのに考えるの苦労した……端的に誰が話してるかを台詞で表さないといけなかったので。

「セカイと想い」、書くのめちゃくちゃ難しかったけど、書けてよかったな~と思う。やっぱり「伝説の夜を越えたらセカイに行けなくなってしまうのでは?」と気づく4人が見たかったし、最後の別れをするところも見たかったし、再会するとこも見たかったから。

冬弥と普通

これ、プロットの段階では「冬弥と現実」とかにしようかな~と考えてたんだけど、書いてて「あ、これは「普通」って単語がキーになる話なんだな」と気づいたので、それに変えた。

彰人のパートは「現実」→「セカイ」の流れだったんだけど、全員その流れにするのもつまらないと思ったので、冬弥は「セカイ」→「現実」の流れにしよう、と決めた。話の流れとしても、後に父の説得がくるほうが都合がよかったので。

冬弥のパートが結果として一番長くなったことに驚いている。彰人パートが16000字くらいなんだけど、「まあ大河からの条件説明もやらなきゃいけないパートだし、推しだからこの文字数になったのかな~」とか思ってたら余裕で冬弥パートが越えていった、20000字くらいあります冬弥パート。

ルカイトと冬弥の絡みも好きだし、ビミクと冬弥の絡みも好き~。最初にカイトがサイフォン使いだしたものだからその仕組みを調べて使い方を調べて……というのに時間を取られてしまった。だってサイフォン似合うと思ったから……。メイコの初期星3特訓前はドリップ式だったから、やるならカイトかな~と思ったし……。

で、ミクがやってきて、相談のターン。いうほど冬弥は相談してなくて、これから父のとこに行くんだけど気分が重くて~という程度のもの。だからざっくり説明して、雑談して、って感じだった。

ルカイトの絡み、こんなんでいいのか? 俺が見たいだけの二人の会話だな……みたいなことを考えながら書いてた。私が見たいものを書いてるのだからいいのだ!!!(言い聞かせ)

冬弥がこのセカイに来たから気分が軽くなった、というのはなんかこじつけっぽいかなあと思ってたんだけど、ノクターン冬弥前編とかそんな感じだったしいけるかな、と思った。ノクターン冬弥前編は冬弥が父のCDをcrase caféに持っていって皆で聴く話です。こっちに来て聴けてよかったと思う冬弥がいます。なので、少なからず冬弥にとってセカイに来て会話をすることは気分を和らげることができるんだな、と思ってそんな感じになった。

で、現実に戻る。

家に行くまでの道で「自分の家が普通じゃない」ことについて冬弥が考える。ここ、こんなに書くつもりなかったんだけど、「大学生一人暮らしあるある」みたいなことを書きたかったのもあると思う。結果としてこの地の文があることにより冬弥が「普通じゃない」環境で育ってきたことが描写することができたので、この後の展開を踏まえるといい布石になったかな、と思う。

家について、母との会話。冬弥の母、「お父様」とか呼ぶし、どういう口調にすればいいんだよ~~!?!?と悩みまくった。春道のほうは割とするっといけるんだけど、母……難しかったな……。コーヒーメーカー使えるのか心配するあたりも、なんというか親子あるあるかなみたいな感じでいれた。

そこからちょこっと冬杏パートが入る。二人で家電量販店行ったエピ。おそらく入れる必要はなかったんだが、見たかったから書いた。

ようやく父と対峙。父が冬弥の予想に反してすんなり受け入れてくる、ていうのは最初から決めてた。

でもそれは別に青柳春道が優しいからとかではないから!!! というのを強く主張した。別にあの人は優しいわけではなくて、ただただ音楽家であるだけなので……。これで青柳春道が優しいみたいになったら、冬弥が苦しんでいた時間は何だったんだってなっちゃうと思うから。安易に青柳春道を善人にするのに抵抗がある。でも別に悪人でもないんだよな……とんでもなく音楽人でクラシックを愛してるだけなので……。みたいな塩梅を書けてたらいいなと思う。でも私は青柳春道が自らあの(春道から見たら)汚い街に足を運び、冬弥の歌を聴きに来たことはすごいと思ってる。「理解はできなかった」けど、「理解しようと思って足を動かした」ことは事実なので。

だからこそのニューヨークの弁護士。下の兄がニューヨークにいるってノクターンで話してたし、知り合いの弁護士の1人や2人、春道レベルの人間ならいてもおかしくないしな~と思ったので。

で、春道もウィーンの音大行ってたから、そのときどうしたんですか? という質問。そこから、冬弥と父の対話で一番やりたかったところ。父はストリート音楽のことは理解してないけど、ノクターンを経て「冬弥がその音楽を何よりも大切だと思っている」ことは理解できるようになったと思ってます。だからその辺を話してもらってる感じになってる。

余談。「おい、何をそんな腑抜けた顔をしているんだ」のところ、最初は「おい、何をそんなしょぼくれた顔をしているんだ」だったんだけど、春道絶対「しょぼくれた」とか言わないよな……と思って、適切な類語ないかな~と思って調べた。

最後の「慣れるまで夜には行くな。治安が悪すぎる」も、台詞として気に入ってる。面と向かって言わないあたりが春道お前……案件なんだけど、まあこのくらいの距離感だよな~っていう。

なんかいい感じの話になった……と、思う!

杏と街

「宣誓、僕たち」を書く上でおそらく最大の難所がここだった気がする。どうだろ、こはねのパートかもしれん。「セカイと想い」の序盤のこはねの駄々こねるとこもキツかった気がするし……。

彰人が「現実」→「セカイ」、冬弥が「セカイ」→「現実」ときて、杏はどうしようかな、と考えた。(プロットの段階で決めてなかった)で、後のこはねパートを「現実」→「セカイ」にしたかったので、杏の方を「セカイ」→「現実」の流れにすることに。

で、杏はABイベからのBBYで「自身の悩みの言語化が苦手」みたいな側面があるな、と思ったので、セカイのターンはその悩みの言語化をして、そのあと現実のターンで遥に固定観念を壊してもらうことになった。

最初はミクとメイコの会話から。もう2回もバチャが「アメリカ!?」って驚くパートやってるから、同じことメイコでやるのもつまらないなと思って、事前にミクからメイコに話してもらうことにした。ここのミクとメイコの会話は全体的に気に入ってる。

「あら、勘?」

「うん、勘」

しれっとミクが答える。ほかに論拠はなかった。

「ミクの勘、当たるのよね……」

「そうかな?」

「どうかしらね。でも、今の話は当たっていてほしい勘だったわ」

「じゃあ、そういうことにした方がいいか」

「ええ、そうして頂戴」

ここの会話最高に好き。なんかわからないけど気に入ってる。

で、杏が来店。

ここの「杏の悩み」が……すごく難しかった……。端的に言うと「自分が有名になりすぎてカリスマとして扱われてるから街からいなくなったら悲しむ人がいるんじゃないか?」みたいな話なんだけど、それだと私が言いたいこととニュアンスが違うし……という感じで、説明するのがすごく難しかった。

私はビビッドストリートのカリスマシンガー白石杏が好きで、彼女に憧れて街に足を踏み入れる人、というのはこれから増えていくのだろうと思っていて。で、ユニスト序盤、こはねが店に来てそれを覚えてた杏と結び付けた。きっと若い女の子が少ないから杏がこはねのこと覚えてた側面があるだろうな~と思ってたので。女性人口少ないだろうな……と思うし、現実でもなおストリート音楽はマチズムの文化がないとは言い切れないので。白石杏というカリスマがいてくれるからこそ女性人口が増えると思うし、それに気づかない杏じゃないと思うし。そのあたりの話をしたかった。

暗い夜空に輝く、満天の星空のように。美しく、眩い。ビビッドストリートにおける白石杏は、そういう存在だ。

ここ、めちゃくちゃ美しい文章を書いてしまった……自画自賛。かなり気に入ってる一節。

あとはここでとうとう「セカイで酒を飲む人間」が書けたのはよかったな! と思う。セカイをオールカラオケ代わりに使うな……嘘、もっとたくさん使ってくれ……。

ウィスキーロック飲んだあとジントニックってどうなの? とは思った。思ったよ。普通逆じゃない? って。お酒警察に怒られるかも~と思ったけど、一杯目はどうしても「ウィスキーロック」じゃないと、ユニストを踏襲できないので……酒くらい好きな順番で飲ませろ!!! と、お酒警察に対しては叫んでおいた。

で、ミクとメイコと一緒に杏の悩みを言語化して、それが終わったタイミングでルカイト来店。

ちょっとでもいいからルカイトの出番を増やしたかった。メイコがこはねと杏パートで2回出るわけだから、ルカイトもリンレンも2回出番ほしいよな~と思って、ちょっとだけど出番入れた。

さらっとテキーラショット人数分なところとか、さらっとカイトが「勝負」をしようとしてるとことか、気に入ってる。この二人に影響されててほしい、ビの酒馬鹿は。

飲酒の話をいれるならミクとリンレンは歳をとらないから酒飲まないよ~の話をしないといけないと思ってたから、それもいれた。ここもずっと書きたいな~と思ってた人間とバチャの差だったから書けてよかったな、と思ってる。でもそれで終わらせるとしんみりしちゃうから、ルカイトいれて飲み比べの流れに持ち込めたのよかったな、と思う。

現実に戻り、WEEKEND GARAGE二号店。

働く杏の様子を描写して、店長との雑談も、おそらくあまり意味はないんだけど書いてしまった。多分こういうのをいちいち書いてるから文字数が増えるんだろうなあと思う。

で、早めに締めよう→遥と店先で鉢合わせる→店に招く、の流れに。

遥と杏、ビ内の組み合わせを除く、越境の組み合わせの中でかなり好きな組み合わせなので、書けてよかったな~と思う。この二人のさっぱりした会話が好きすぎる~。

雑に会話させても話が進んでくれるからここは結構楽だったと思う。遥に「事務所に入らないといけないと思ってたけどそれは違った」というエピもあるし、ここはわりとすんなり書けたな~と思う。「宣誓、僕たち」において、四人がそれぞれ対話する相手が新、春道、三田で、遥以外はサブキャラになってるから、この杏のターンは多分白石謙のほうが収まりがよかった気はしている。でも遥と杏の会話を私が見たかったからな……。カリスマとしての遥と杏にも触れられたし、よかったかな、と思う。

「――私なら、できる」

口にしてみて、ああ、私だな、と思う。『絶対にRAD WEEKENDを超えるイベントをやるんだ!』と、威勢よく宣言していた頃と同じ感覚があった。私は、白石杏は、そうでなくては。

ここ大好き。白石杏、本当にかっこいいなって思う。そんな白石杏が大好きだなって思いながら書いてた。

杏のパートは18000字くらい。ここは本当に「杏が何に悩んでいるのか」を伝えることに苦労したな~と思う。書くのが難しかった。最終的に「私が読んでこれで納得してるからいいか」で終わらせたし。

こはねと強欲

このサブタイトルはプロット初期から多分変わってない。トッピング増し増しの小豆沢こはねが大好きだから。

ビビッドストリートを歩いて過去を回想して、自分が変わったなあと実感するこはね。そして公園に行く。この公園をこはねが眺めてるのって何の意味があるんだろう? と思ってしまうんだけど、なんか見たかったんだよな……こはねに一人でビビッドストリートを歩いて過去を回想してほしかった。

その回想の中で彰こはパートが急に入ってくる。奢られるのに慣れてないこはねと、百円程度で……と思ってる彰人の交わらない会話が好きすぎるので突発的に書いてしまった。プロットでは予定されていなかった。

で、アメリカについて考えるターン。

そもそもなんで今まで4人はアメリカ行きを検討してなかったのか? という話や、「皆いろいろ知ってる体でアメリカの話進んでたけど、ちょっと説明しないとね」ということを書いた。アポロシアターも名前だけだして、読み手に「なんかわからないけど有名な場所なんだろうな」と思われてる状態かなと思ったので、どのように凄い場所なのかを説明。アマチュアナイトについてもここで説明。アマチュアナイト、本当にビのためにあるのか? みたいな仕組みをしててビビる。アマチュアナイトに出場してブーイング受けまくって箒で履きだされるビ、見たいよ~~。

色々調べてる情報が「4人だけで」アメリカに行くために必要な情報だということは、後から読み返すとわかる仕様に。

で、三田洸太郎登場。

杏のパート書いてるときくらいまで、こはねのパートにバチャ以外のキャラ出すか迷うな~出さなくても話は進められるんだよな~とか思ってたんだけど、やっぱり出したくなったから出した。

三田が登場したことで、地の文が三田目線に切り替えられたのはかなりよかったと思う。地の文が三田目線になることによって、読み手に「あ、今こはねはアメリカに行きたいけど悩んでるんだな」って誤認してもらうことができる……と思うから。できてたのかな? わからんな~、バレバレだったかもしれない。

あと、三田がこはねに敬語をやめろって言ってるのは完全に捏造でポンと思いついた話なんだけど、中々いいな、と思ってる。私の中にいる三田洸太郎「らしい」行動だな~みたいな。

しかも三田は他3人(新、春道、遥)と違って、直接的に対応する相手(三田の場合はこはね)に関わることはしない。この塩梅はかなり好きだな~と思っている。三田洸太郎に許された範囲での関わり方をしているな、と思う。

「――私、この誘いを、受けたくないんです」

で、読み手に「このまま大河の誘いに乗る流れかな?」と思わせておいて(思っててくれたかはわからない! 下手すぎてバレバレだったかもしれない!)3人とは逆の考えを言うこはね。ここで叙述トリック使ったのは、その方が物語として面白いかな、と思ったから。バレバレだったかもしれないんだけど……。

こはねのセカイパート入るにあたって、こはねと直接的に会話はしなかったんだけど(入れる余裕がなかった)リンレンを少し登場させた。何度も話してるけど、出番を均等にしたかったので。

ここは叙述トリックしないといけなかったので、悩みとかとは違う意味で苦労した……。こはねは一度も「アメリカに行きたくない」とは言ってなくて、「全部」にアメリカも含まれていて、でも最初に読むときはそこに気づけない感じにしたいな……と思いながら書いてた。

結果としてこはねの悩みは「我儘だから、子供だから、我慢しないといけない」というものになって。

ここはユニスト11話「扉を開く勇気を」をオマージュした流れにしよう、ていうのは決めてたので、その流れに持っていった。メイコが扉の話をして、ミクがこはねに本当の想いを聞くっていう流れ。

で、問題なのが、こはねの本当の想いを聞いたときのメイコとミクの反応。ここを読み手にどう読まれるのかな~というのは、結構悩んだ。

思いつくパターンとして「1.とりあえずミクもメイコもこはねのことを肯定したんだなと思い、読み進める」「2.作者(私)が力尽きて無理矢理話をまとめようとしたと思われる」「3.あ、これ叙述トリックかとバレる」なんだけど、どれが多かったんだろうな~と思う。叙述トリックは途中で気づくと気持ちよさがあるので3でも問題ないし、2でも問題ないと思ってる。むしろ2は支部小説あるあるだと思うので、私が力尽きて無理矢理まとめに入ってると誤認してもらえるかな~と狙ってた所もあるし。

そんな感じでこはねパート終了。長かった……。ようやく4人の話し合いのパートになった……と書いてて思った。

Vivid BAD SQUADの在り方

この「在り方」というのは、BBYミク後編が由来になってる。

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この一連の会話が、すごくすごく好きだった。4人はそれぞれ別の存在で、それぞれの「在り方」があって、さらに「Vivids」「BAD DOGS」の在り方があって、そして「Vivid BAD SQUADの在り方」もあるって話だったので。じゃあ、私はVivid BAD SQUADをどういう存在だと思ってるんだろう? と考えてできたのが、この「宣誓、僕たち」だなと思う。特にこの章は「Vivid BAD SQUADとはどういう存在なのか、どういう生態をしている生き物なのか」みたいなことを重視して書いたと思う。

あと、ここはとにかく小豆沢こはね!! という感じで書いた(?)

深夜に話し合いすることになった本当の理由は、最終的に朝焼けに照らされて歩くビが見たかったからです。

彰人、冬弥、杏がそれぞれ自分の考えを話す。ここはもう読み手は知ってる部分だからさくっと済ませようと思ってた。で、問題のこはねの発言。

そこに至るまでに「あれ、私、心折れてないな」って自分の欲深さに気づくこはね、めちゃくちゃいい~~予定してなかったけど書いてたら気づいてくれた。ありがたい~~。

「――私は、四人だけの力で、アメリカに行きたい。誰の力も借りずに、四人だけで」

ここから種明かし。こはねはアメリカ行きを諦めようとしていたわけじゃなく、ほんとに「全部」を諦めないでいようとしてた、という話に。これ予想してた人どれくらいいるんだろう……と思ってる。わからん。ここまで読み進めてくれる人なら、こはねの考えは予想可能な範疇ではある気がするし、どう……どうなんだろうな……? これに関しては分からないけど、「えっ!?」と驚く人がいてくれたらやったぜと思うし、「こはねはそうじゃないと」としたり顔している人がいてくれたら嬉しいし、「解釈違いだな」と思われたらそれまでです。どんまい。

もうここからは完全にブースト全開というか、私が考える最強のビを書くぞ!!!! という気持ちだった。小豆沢こはねは火付け役なんです……。

3人が徐々にこはねに乗せられていくところとか、最初にこはねの意見に乗るのが相棒の杏なところとか、この章は本当に書いてて楽しかった。

「こはね。――やるからには、本気でやるぞ」

険しい表情で、威圧するような低い声で、彰人は言った。けれど、こはねは動じない。昔のように、怖気づくことはない。この顔と声が、彰人が覚悟を示すときのものだと、今のこはねは知っている。

大好きパート。昔と今との対比が上手い事できたんじゃないかな、と思ってる。

その後の冬弥がこはねに覚悟を問うところからの、昔を思い出す流れも好きだなと思う。

で、「子供で構わない」の話。「宣誓、僕たち」を通して「4人は大人になった」という話をちょこちょこ繰り返してきたんだけど、それがなんだ! という流れに。彼らは大人になって様々な自由を手に入れたけど、だからといって物わかりがよくなったわけでもなければ、諦めが早くなったわけでもなくて。その部分はずっと子供で、少年と少女のままなんだ、という話。これは私がビにそうあってもらいたいという願望が入っている。

そして最後、話し合いを終わらせて朝焼けを浴びながら杏の家に向かうビ。店から出て杏の家に向かう際の4人の会話、ほんとにただの雑談なんだけど、めっちゃくちゃ気に入ってる。「うわ!!4人の会話だ!!」ってのが短いやりとりで分かる感じに書けたな、と思ってて、よかったと思う。

そこからは締めともいえるモノローグの応酬。

完全に少年漫画の努力友情勝利を意識して書いてた。というかこの章全体がそれを意識してた。敵は強い方が燃えるとか、楽な道があるのを分かっていても厳しい道を選ぶとかは、完全に少年漫画意識。Vivid BAD SQUADという存在がそういう「在り方」をしていると私は思ってるので、それを書きまくった。本当にこういうVivid BAD SQUADが大好きなんだ……。

あと、ここのモノローグにはForward、RAD DOGS、シネマの歌詞の要素を混ぜ込んだ。RSはもう全編通して書いてるので……ずっとReady Steadyの話はやってるから……。

ノローグの締めもサブタイトルと関連付けることができたし、いい感じでまとめられたな、と思う。

僕達は布告する

ここは2年間どうしてたのかを説明して、最後アメリカに挑むところで終わりにするパートとして用意してた。2000字くらいかなと思ってたんだけど、7000字くらい書いてる。なぜ? わからない。気づいたら増えてた。

空港で雑談しつつ2年間に何をしたかの説明をいれる。だけのはずだったんだが、なぜかここにBD要素が入ってしまった。なんか……書いてたら会話がそんな感じに進んでしまったんだ……。

「そうか? 俺としては、ワクワクしているつもりなんだが」

「ワクワク?」

ここ、最初書いてたときは手癖で「ワクワク? 全然わかんねえよ」って台詞を書いてた。けど、もう長い付き合いだし、それくらいの冬弥の表情変化なら彰人は分かるでしょ、と思ったから書き直して今の形になった。その後に続く年々彰人の扱いが上手くなってる冬弥のくだり、予定してなかったけどめちゃいい~と思ってる。冬弥が彰人のことをわかってるからこそ、彰人にできる範囲のことを要求して、できる範囲のことを求められてしまってるからこそ、彰人も分かったと頷くほかなくて、っていう。すごい好きだ、そんなBDが。

「宣誓、僕たち」は個人個人で悩んでバチャや第三者と絡んでいく話だったので、ビ内の関係性をめちゃくちゃ深堀りするみたいなことはあんまりしてないんだけど、そういう意味ではこの最後の章は相棒の章にしようと思っていた。あと、ここまで読んでくれた人への感謝としてのファンサをしようみたいな思いもあり、かなり相棒相棒のベタなことをしてる。やっぱり見たかったし。

バチャの様子を入れるっていうのはプロット段階では予定してなかった。けど、ここまで書いてきて最後に出さないのもなあと思ったから全員出した。それに、イベストやユニストでもこういう感じの流れで話が締められてるよな、と思ったので。リンレンがはしゃいだり、ルカイトが話したり。で、ミクとメイコで締めるっていう。ここのミクとメイコの会話も気に入ってる~。

で、場所が飛行機内になる。ここは相棒ターン。

まず余談。アメリカ行きの飛行機なのに機内アナウンスが英語じゃないんですか!? という飛行機警察と英語警察いるかな……と不安になったんだけど、小説でわざわざ英文とか書いてられるか! と思ったので日本語です。最後のタイムズスクエア前での4人の会話も、もうアメリカいるわけなので日本語じゃなくて英語で話してると思うんだけど、そんなの説明してられっか! と思ったので、英語警察にはお帰りいただくことに。ここで急に英語出てきても嫌だし、そのためだけにそれっぽい英文考えるのも難しすぎる……と思ったので。

機内の相棒ターンはまあ、書いたとおりというか。BDとVvを書きました。BDは出発前にもパートあるので短めで、Vvに少し尺を取る感じで。

そして最後、タイムズスクエア

ここの会話、短いけど中々決まりきらなくて悩んだ。でも悩んだおかげで納得いく台詞になったな~と思う。

Vivid BAD SQUADの旅路は、まだ、始まったばかり。

最後の一文は、うん、気に入ってる。最初は「Vivid BAD SQUADの旅路は、今、始まったばかり」だったんだけど、もう既に始まってはいるわけだから「今から」始まるわけじゃないよな~と思って、「まだ」になった。

Vivid BAD SQUADのある意味では最終回であり、けれど物語が終わるというわけではなく、第2期のプロローグになる話になったな、と思う。書ききれてよかった。

書いてて気をつけたこと

今回は会話文が多かったので、「」が続きすぎないように意識して地の文に台詞を混ぜた。

店長もまた嬉しそうに「ほんと助かるよ、売上も上々だし」と返した。

そう遥が話し、「そっか、ならよかった」と、杏が笑った。

みたいな感じで、特に短い台詞は地の文に混ぜ込む、というのを意識した。これは会話文だけ拾って読んでる人に向けてでもある。地の文に会話文を混ぜ込むことで、なんとなく地の文も読む……みたいになってくれたらいいなと思って。

あとは一文をなるべく短くすることも意識した。文字数としては一文が60字を超えないように気をつけた。長い文章って主語述語がわかりにくくなるし、読んでてリズムが悪くなる気がするから。どうしても長くなっちゃうときもあるんだけど。

ほかには二重否定をしないように気をつけた。たとえば「それがわからない杏じゃない」ってのは「杏はそれをわかる」で済むので。二重否定はどうしても使いたいとき以外は避けた。そうした理由は、二重否定って読んでてわかりにくいかな、と思うので。それだけの理由。癖で二重否定を書きがちなんだけど、それを普通の肯定文に直してた。

追記

書き上げてから、とてもありがたいことに感想を貰うなどした。めちゃくちゃ長いこの話を最後まで読み切ってくれただけでありがたい話なんだけど、感想を書いて貰えるなんて望外の嬉しさだなあと思う。本当に嬉しい。ありがとうございます。

貰った感想によって、こはねの選んだ選択肢に驚いてくれた人がいることを知れた。それを受け取って、あ、よかった驚いてくれたんだ、と安心した。狙った通りに読み進めてくれた人がいたことを確認できて、「よかった~」とひと安心。

私はよく「Vivid BAD SQUADは少年漫画」「四人全員が主人公」「努力・友情・勝利」って言ってるんだけど、今作の小豆沢こはねはまさに少年漫画の主人公してたな、と思う。

少年漫画の主人公って、たとえば「ずっと一緒に戦ってきた味方一人を犠牲にするか、大勢の民衆が犠牲になるか」みたいな二者択一を迫られたときに「そんなの嫌だ!どっちも救いたい!!どっちも諦めない選択肢を選ぶ!!」って駄々をこねがち、というのが私の中のイメージとしてある。戦隊モノのレッドとかもそういうイメージがある。

どちらかしか選べない究極の選択を求められたとき、第三の選択肢として「どちらも諦めない」を選べるのが主人公で、どれだけご都合主義的だとしても、その「どちらも諦めない」を達成できてしまうのが主人公という存在だと思ってる。

今回の小豆沢こはねはそれをかなり意識していた。小豆沢こはねはVivid BAD SQUADのリーダー枠として「ワーワーワールド」「群青讃歌」を歌っているわけなので、Vivid BAD SQUADは全員がそれぞれタイプの違う少年漫画の主人公だと思ってはいるんだけど、その中でも特に「主人公」らしさが一番あるのが小豆沢こはねだな、と思ってる。

あと小豆沢こはねはコーヒーにいつも違うトッピング(しかも色々乗せてる)人間で、エリア会話で冬弥からその事(トッピングをいつも変えてること)について「一番冒険心があるのは小豆沢かもしれないな」と言われている。これがすごく好きだ。たかがコーヒーのトッピングひとつで「冒険心が強い」とまで繋げてしまうのが些か強引かもしれないけど、凄く好きな繋げ方だった。小豆沢こはねが四人の中で一番冒険心が強いと、私がとても嬉しい。

あと、既に書いてるけど、修行だったり戦いだったりをするとき、楽な方か厳しい方を選ぶとして、厳しい方を選べるのが主人公だと思ってる。

たとえば全国大会のトーナメントで初戦に前回大会優勝の学校と当たってしまって「どうせ全員倒すんだからいつ当たろうと変わんねえよ」って言えるのが主人公だと思う。強い敵と当たって、その敵に勝った上で優勝したいと思うとか、楽な道を選ぼうとしないのが主人公だよな~と思ってる。

そういった私の中の「少年漫画の主人公像」が相まって、今回の話の小豆沢の選択ができた。この選択は、「私が考える“主人公らしい”選択」だったな、と思う。というこぼれ話。

まとめ

1年以上前から書きたいなと思っていた「Vivid BAD SQUADがアメリカ行きを決める話」を、ようやく書ききれてよかったなと思ってる。こんなに長くなるとは流石に思ってなかったんだけど……。前奏曲は9万字を2週間で書いてて、今回は12万字を5週間くらいかけて書いたので、やっぱり前奏曲のときのペースは頭おかしかったな……と思ったりもしている。

私が好きなVivid BAD SQUADのことを書けたな~と思うし、4人とバーチャルシンガーの関係性や、第三者と4人の関係性を書けて、とても満足してる。

Vivid BAD SQUADが大好き!!! という思いが読んでくれる人に少しでも伝わったらいいな、と思う。