推しがいると人生が楽しい

白鳥スタイルのキャラクター大好き人間

【風雲急を告げる】あとがき

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「風雲急を告げる」あとがき

なんだったんだろうこの話は……と思っているが(?)、要所要所に好きな要素を詰め込めたのはよかったのではないか?と思っている。今まで書いた話の中で一番「何を言いたいんだこれは?」みたいな創作になってしまった気がする。三周目を終えたビの現状をこう認識してますという意思表示のための創作だったのかな、多分。書けるのかな?みたいな動機で書き始めたから自分でもモチベが謎なまま書ききってしまった。書き切れたことにまず驚いている。

よくわからないなりに気に入っている文章はたくさん生み出せたので、自画自賛しまくりながら振り返る。

タイトル

この話を総括すると「嵐の前の静けさ」だな~と思っていて、それと同じ意味を持つ慣用句ないかなと思って調べていたらちょうどいいのが見つかったのでそれを使用した。この後白石と小豆沢は強くぶつかる(=嵐が来る)ことになる(はず)ので、それまでの小休止タイムにこういうことが起きてるといいよね、という、そんなイメージ。

最初に考えていたタイトルは「汚泥を啜る」今の白石杏のことを差した言葉なんだけど、話全体にいきわたる概念とはまた違うタイトルではあるからボツになった。

白石の自問自答パート

ただ地の文がずらずら4000字くらい続く展開を最初にもってくるの、読み進めてもらえなさそうなことすんなよと思うんだが、まあいいか~と思ってそうした。最初に会話文もってくる展開(たとえば彰人のバイト先にいくところからはじめて、彰人に声をかけられ、回想として序盤の自問自答に飛び、公園での会話に戻す)もやろうと思えばできたと思うんだけど、別にいいか……と思ってしまった。

内容の話をすると、今の白石杏が何をどう悩んでぐるぐるしてるのかな~ってのを自分なりに考えて書いてみた。

白石と東雲パート(セレクトショップ

接客東雲彰人、最高~~~!!!!最高最高最高です!!!!!すべてがいい!!!!!このシーンすべてがいいです!!!!!

露骨に眉を寄せて嫌悪感を丸出しにした顔を杏に向けたが、他の女性客から「すみません、これのSサイズってありますか?」と声をかけられた途端、にこやかな笑顔に戻していた。作った表情を崩すのも戻すのも、流石に手慣れている。

いい……露骨に嫌がるのも、それを即座に営業スマイルに戻せるのも好きだ……最高だ……。

白石と東雲が丁寧語でちょっかいかけあってるとこも最高なんですよね、最高なんですよ。あと東雲が白石に「キモい」って露骨な悪口にあたる言葉を言い放ってるのも遠慮がなくて最高だなって思いますね。それでいてちゃんと白石のことを「見て」いる東雲が……最高に好きなんだよな……。なんてすばらしいんだ……。

白石と東雲パート(公園)

白石東雲の湿っぽい会話を1万字も書いてしまった。なぜ?たいした内容は話してないのに、本当になぜ……。でも白石東雲の湿っぽい会話って最高だな。最高だ。

怒られてもいいけど幻滅されるのは嫌な白石、別にどこで言及されたわけでもない捏造まみれの精神描写だけど「わかるな~」って思えます。なぜか、謎に。

どうでもいいんだけど東雲が白石に話しかけるとこまわりの描写がめんどくて(なんかうまいことまとまらなかった)無駄に時間かけちゃった気がする。

それでさ~~~作り笑いをやめろって言ってくる東雲彰人なんだよね!!!!!!!あ~~~~最高ですこれ、嘘を見抜く東雲彰人のことが大好きなので最高です。あと勝手にムカついてやめろとか言ってくる東雲彰人の傲慢さが最高に好きです。

「私、彰人と違って、猫かぶりが下手みたい」

なけなしの悪態をついてみると、「んなこと知ってる」と彰人が言った。

めちゃめちゃめちゃめちゃめちゃいいです。最高だ~~~~。

会話の序盤、最初の杏と彰人の認識がすれ違ってて、杏は怒られる~って思ってるけど東雲は話聞くかくらいのテンションなので、そこの齟齬のすり合わせの会話を無駄にさせてしまった。でもさ~~なんか話さないと話の流れが自然にならないかもって思っちゃったんだよ……。

突然女を蹴る男だと思われるいわれはないはずだ。

これは露骨に「女」と「男」って言い切った。東雲彰人はそういう男だと思っているので。

うじうじしている様子がこはねのように見える、というのはなんとなく書いたんだけど、後半でうきうき溌剌と話す(書いてないけど、まるで杏のような)こはねとの対比になってよかったんじゃないですかね。わからん。俺はこういう対比が好きだが、対比になってるなと気づいたのは終盤だった。

あと白石が自信なくしてることにめっちゃ東雲が驚いて固まってるの、東雲に対して「こうあってほしいよ」みたいな欲が出過ぎたかな~とは思ってるんだけど、俺はユニスト4話が好きだからまあええか!と思う事にしました。私は白石にやたらと期待しまくってる東雲という関係が好きなので。

東雲は白石のことをめちゃめちゃ信頼してるがゆえに「オレにできたんだからお前もやれる」しか言えることがなくて、でも今の白石はそれをやってもなお無理になってるんだよな~~みたいなことを書いた。

「こはねに言ってみたら」→「それは嫌」については、話のためにキャラに台詞言わせちゃったか?と思っている……。小豆沢にキレてる白石担にむけて「わかるわけないだろ白石が開示してないんだから」と思ってて、それを言ってやりたいという思いがゆえに入った会話になる。

それでこの会話どう収集つけよ~と思い、なんかふわっとした感じで着地した。FWO読み返したので、せっかくだしそれ使うか~くらいの気持ちでまとめた。そう、FWO。白石のことを知ったときの東雲がいいな~~と思ったので、その辺を書けたのはよかった。

今の白石杏は「歌いたい」と思ってるから大丈夫。ってまとめ方にしたわけだけど、てことはこのあと「歌いたい」と思えなくなる展開がくるってことじゃん……やば……みたいに思ってた。(書く予定は全くないが、自分がこの話の続編を考えるとしたら、絶対いれる要素だな~とは思う)

 

最高の相棒というのは、いつだって最強の味方で、最大の敵でもある。それを彰人は知っている。

これ、最大の「敵」ってのをどうしようかな~と思っていて、「好敵手」とか「ライバル」とか書いたほうがまろやかではあると思ってる。「えっ敵なの!?敵ではなくない!?」と思われたら嫌だなと思っている。いいんだよ敵で。ある種のラスボスなんだから。と思っている。

男子スイパラパート

BDと新三田にわちゃわちゃしてほしくて&客観的な意見をもらいたくていれたパート。スイパラいく四人、可愛すぎますね~~~~~~~可愛すぎます。序盤の三田と彰人のどれ食う?みたいな雑談も「ぽく」書けた気がするし、一口くれよの流れもかなり好きです。いいですね。ケーキのメニューはスイパラ公式サイトのメニューを参照しました。モンブランは通常メニューにはありません。

このパート、とりあえず四人で雑談しつつRISEを振り返ってほしいな~~と思いながら書いてたので、三田が幹事やりがちみたいなやつは特に意味はない。なんとなくそんな風に見えるなと思ったから書いただけ。

チケットをもらった話の流れからRISE振り返り。こはねと杏についての現在の心象を話してもらう感じで。四人の会話、それぞれの口調がわかりやすく違うので、わりと書きやすかった。颯真の話は捏造だけど、Woaoを読む限り、そういうことがあってもいいかな、でも颯真ならそれをさらっと新に話してそうだなと思って書いた。

青柳と東雲パート

ここさ~~~~~~~~~~、全体的にいいよね……。やっぱり私はBAD DOGSの関係性がめちゃめちゃ好きなんだわって思えた。マジでここの会話全部好き。東雲の様子をかかさず気にかけてる青柳がまずいい。

しかし、自分のことを自分以上に気にかけてくれる存在がいるというのは、抗いがたい安らぎがあった。冬弥の誠実さや真面目さは、そうやっていつも、彰人に安寧を与えてくれる。

よすぎよすぎよすぎ!!!!天才文章!?!?!?「抗いがたい安らぎ」とかいう言葉を思いついたの、天才すぎます……そうなんだよな、東雲にとって安心ってあんまりいいものではない認識(本人としては)なんだけど、でも青柳といるときの東雲は安寧に身を任せてしまうんですよ、抗いがたいものがそこにはあって……なんてすばらしい文章だ……。

家の話をされて嫌悪感をあらわにしてる彰人に感謝してる青柳、何回書いても最高だなって思う。最高すぎるんだよな……。

そこから、ユニストの話に。ここも本当にいい。この後の展開(嵐)を考えても、白石と小豆沢にはユニストのBDがやったようなことをやってもらいたいと思っているので、その布石をここでひとつ置いた感じではある。東雲はこの段階では同じ轍を踏ませたくないと思っていますが、まあVvが勝手に踏んでしまう可能性がありますので……。

「……ほんと、勝手に諦めてんじゃねえよ」

彰人が拗ねてぐずるので、あやすように「悪かった。反省している」と冬弥が謝った。

ここさ~~~~~~~~~欲望丸出しパート。マジで剥き出しにしてしまった。「ぐずる」と「あやす」が。赤ちゃんに対して使う言葉を二人に使うのは……と少しばかり躊躇しましたが、しかしどう見てもこれはぐずってますし、「ぐずる」ときたら「あやす」しか対応する単語がないのでそうしました。欲に負けてしまったが、可愛すぎますね……マジで……。最高だ……。

杏と彰人の差について、どこだ~~~??と思っていて、めちゃくちゃこじつけなんだけど転んだことがあるかないか、みたいなとこかな、と思ったのでそれを書いた。こじつけすぎるかも……。うーん、どうだろう。

一連の会話で青柳と何を話してほしかったのか、っていうと「なんとなく彰人が冬弥の考えをきいて自分の考えに反映してもらいたい」くらいのふわっとした感じでいれたんだよな。うーん、この辺、もうちょい詰めた方がよかったのかな~~。

「杏と彰人は性質が似ているのにどうして杏はやたらとメンタルダウンしてるの?」という問いに自分なりの考えをぶつけてみたわけだけど……。私の主観で答えるなら「違う人間なんだから全部同じになるわけないだろ」で済ませるんだけど、それじゃ納得しない人もいるだろうしな~~とか思ってた。

小豆沢と東雲パート

東雲が小豆沢の純粋無垢がゆえの残酷さを感じて、杏のこと大変だな~と思いを馳せてもらいたくていれた。

ランニングの話はその話を進めるためのアイスブレイク。RISEおわりの息切らしてる小豆沢、いいな~と思ったので。あとこないだの正月東雲報酬で東雲彰人がだいたい朝4時くらいに起きてランニングしてることがわかったし、2022のバースデーサイストでは誕生日でさえ走ってるストイックさが明らかになったので、その辺を書きたくていれた。

小豆沢をおちょくる東雲、めちゃくちゃ久しぶりに書いた気がするんだけど(そもそも書いた回数なんて2,3回くらいしかないと思う)最高だなやっぱ……。小豆沢と東雲の間でしかできないやりとりだこれは……。

「それだけでいいの?」と聞いてくる小豆沢、貪欲でいいですね、好きだ。

「おい、顔に出てる」

で、ここでまたVvの表情を読んで見抜く東雲なんだよな~~~!!!!!あ~~~~好きすぎる。そこからの「お前らが無茶すんなって言って来たんだろ」もいいし、お願いを守ってくれてることを嬉しく思う小豆沢もいい。

どこ走る?のとこで、ちゃんと街イベ東雲サイストのランニング話を差し込んでるの偉すぎる。本当に偉いよ~~~

一緒に走ってくれる東雲の真意に気づく小豆沢もいい。このへん、私の文章力があまりにも不足している。東雲から優しさを与えられたときに小豆沢が感じる気持ちっていうのは、こんなもんじゃないと思ってるんだけど、それをうまく表現できなかった。私の感覚だと「愛おしく思う」が一番近いんだけど、「愛おしい」って書くだけで恋愛!?と思われるのが嫌で、しかし恋愛だと思われないための文章をどうすればいいのかもわからなかったので、結果書かなかった。

ここ、本当にあまりにも文章力が足りなくて、なんか小豆沢がずっと胸の奥が温かくなってるんですよね。それをさ~~~なんかもっと語彙力とかあったら別の表現にもできたと思っていて……でも何も思いつかなかった。思いついても、それはちょっと意味が変わるんじゃない?みたいな言葉しか思いつかなくて、結局同じ言い回しを使ってしまった。嬉しいとかで済ませたくない、小豆沢が感じてるものはもっと泣きだしそうになるような嬉しさなんだと思ってるんだけど、泣きだしそうとか書くと「そんなに!?」って思われそうだなって思って書けなかった。難しい。精進したい。

で、そこから、今のこはねの変化について書く。

どんどんイベントの案を出す小豆沢。今回のひつじイベ東雲サイスト前編要素を入れ込んだのもえらい、えらいよ~~

この辺は「Kick it up a notch」での小豆沢の行動が自分のことばっかり考えてるだろとか、他の三人が必要ないじゃんみたいに言われてたことに対して「そんなわけないだろ」と思ってたので、その辺について書いた。

小豆沢の変化はいいものだし、小豆沢は四人が四人であることを一番大事に思っている、ということを言いたかった。あと小豆沢の無邪気さに末恐ろしさを感じる東雲をやった。

この辺、成長した小豆沢のことを「怪物」「化け物」「獣」みたいな単語を使いたくなってたんだけど、結局使わなかった。なぜかっていうとこの場面が完全な三人称神視点じゃなく、若干東雲よりの三人称になってるので。

たとえば「杏もまた、すごい怪物の卵を見つけてしまったものだ。」とか「貪欲に、歌を喰らって生きる獣。」とか書いてみたりもしてた。序盤のポエムで比喩的に使うとかならめちゃくちゃいいと思えるんだけど、場面的にそれを許してくれなかった感じだな……。

で、最後のまとめ。この話は前日譚なので、やれることはやるかと東雲が思って終わるだけ。終わらせ方があまりにもあっさりすぎて、「え?この話どういう話だったわけ?」と思われかねないなと思っているんだけど、まあ前日譚だからな……と思う。なんか無理矢理いい話ぽくまとめるのも違うな~と思ったのであっさり終わらせた。

最後の一文はタイトルとの紐づけ。ただ風に雲が流されているだけなんだけど、慣用句の意味を考えると不穏な雰囲気を感じて終わる、というやつ。

文章面で試してみたこと、課題点

ダッシュ記号にあまり頼りすぎないようにした。

漢字にふりがな振るかも悩んだ。「鎹(かすがい)」とか「詰る(なじる)」とか。基本的に「自分が読むとき漢字で読めるなら漢字」にしてるんだけど、鎹はむずいかな~~と思って悩んだ。でも「かすがい」って平仮名にすると雰囲気が和らいでしまう気がして使えなかった。あと支部のふりがながなんとなく読んでてダサく感じるから、この辺の読めるかな?なとこは、まあ雰囲気で読んでくれと思って結局ふりがなつけなかった。

会話文と地の文を続ける、みたいなやつを結構いれてみた。

ふんふんと楽しく店内を散策していると、「――おい、何しに来たんだよ」その楽しい気分に見合わない、低い声がした。それは、嫌悪感を隠す気のない声だった。

呆れたように彰人が言うと、「えっ? こはねちゃん、歌い始めたのそんな最近なんだ?」珍しく、新が本当に驚いた顔をした。

こういうやつ。やってみると意外と使い勝手がよくて、多用してしまいそうな感触があった。

今回台詞の前後に誰が喋ってるのかを明示する文章をめちゃくちゃ入れているな、と感じている。二人で話してるシーンが多い上、それぞれ口調も違うんだから、台詞だけでどっちが話してるのかだいたいわかるものだと思うけど、でも勘違いされたくなくて「彰人が○○した」とかめちゃくちゃ入れっちゃったな~~という反省がある。難しい……。

あと、任意の二人が話してる時、地の文の視点をどちら側よりにするか、という話があって。適宜どっちにも視点を渡しつつ書いたんだけど、その辺もっとうまく視点渡せるようになりたいな~と思う。

今回、結果として四万字になったわけだけど、章とか作らなくてもいけたってのが文章の体力ついてきたのかな?と思えて嬉しかった。読みやすさを考慮して場面転換のときにページ変えたけど。

あと、私は今書いてるようなことを考えて創作してて、私の主観的な感覚だとこの程度誰でも書ける(誰でもやれる)と思ってるんだけど、客観的な感覚だともしかしてここまでやってる人あんまいないのか?と思ってる。このくらい誰でも書けると思うんだけどなマジで……。

総括

今のVivid BAD SQUADってこんな感じだと思ってます、ということを説明したくて書いた話だったけど、なんか好きな東雲彰人をめちゃくちゃ書けた気がするのでよかった。

今回の話で東雲が三人それぞれとサシで会話したわけだけど、それぞれに対しての接し方とか、東雲が三人に対して思ってることとかを書けたのはよかったと思う。それぞれ「この二人の間でしかできないやりとり」をやってるのがいいと思ってる。杏と彰人でいえば軽口の応酬。冬弥と彰人でいえばぐずったり青柳の境遇に相変わらずいい顔をしないやつ。こはねと彰人ならちょっかい、みたいな感じで。

あと、Vvの表情の嘘は見抜くけど、自分の動揺は青柳に見抜かれてしまう、っていう対比もうまくできた気がする。意図してないので結果論だけど。ただただVvの嘘を暴く東雲彰人が好きすぎるというだけなので。

あと「四人が四人である必要を感じなくなってしまった」(意訳)とお題箱に投書があったので、四人が四人である必要性がある話を俺が書いてやる!!!!!と思って書いたんだけど、これは前日譚なので、本当に四人が四人である必要のある話はこのあとくる「嵐」のターンに持ち越しになってしまった。

まあ「嵐」のターンって、どんな嵐になるかはわからないけど今後確実にくる話ではあるので、私が創作すんのもな~~と思ってる。普通にだるい。どう考えても5万字超えそうだし。白石杏がイップスになって「歌いたい」と思えなくなっちゃって、そこから「歌うのが楽しい」という気持ちを思い出し、天衣無縫の極みに至るような話をやらなきゃいけないから……。(参考文献:テニスの王子様リョーマVS幸村戦)

一年ぶりに創作してみたけど、なんとか書ききることができてよかったと思う。途中で手が止まってしまうのが一番嫌だから……。

好きな東雲彰人をたくさん書けてよかったなと思います、終わり。

首吊る前にトリップしよう

2022年10月1日。私は美しい景色を見た。スクリーンに映る、仮想の存在。曖昧な空間にいる、キャラクターとも人とも言い難い存在が、歌って踊る姿に、大勢の人間が熱狂し、興奮し、感動している景色。私はその光景を愛おしいと思った。美しいと思った。

にじさんじ 4th Anniversary LIVE 「FANTASIA」 Day2』は、私にそんな映像体験をさせてくれた。

 

卯月コウがソロ曲として選んだ脱法ロック。あの曲が持つ意味を、リアルタイムで視聴していたときの私は知らなかった。知らないままに、しかし卯月コウが脱法ロックを歌ってくれたことに涙していた。

脱法ロックの歌詞が、卯月コウに歌ってもらいたい歌詞だったから。卯月コウが歌うことによって意味が何倍にも膨れ上がる歌詞だと思ったから。

首吊る前にアンプを繋いでトリップしよう、愛すべき世界へ。

卯月コウを見ているリスナーは、多かれ少なかれ、死にたいと思ったことがある人間だと思う。そんなこと言ったら、世の中の人間なんて大体一度くらいは死にたいと思ったことがあるだろうと言われそうなんだが、それは話が変わってくるので割愛。

死にたいな~と思いながら、日々をどうにか繋いでいくための、仮想空間。虚構と空想にまみれた、愛すべき世界。そこにバーチャル中学生がいる。卯月コウも、彼を好きな人達も、鬱屈していて、ひねくれた考え方ばかりしてしまって、「がんばれ」が言えない。「首吊る前に愛する世界へトリップしよう」は、ライバーになる前の卯月コウに、今の卯月コウが送った言葉であり、卯月軍団に向けられた言葉でもあり。この歌詞だけでそんなことに思いを馳せた私は、当然泣いた。

現実逃避に縋れ、と卯月コウが歌うのはすごい。だって軍団からすれば、卯月コウこそが現実の逃避先だから。そして卯月コウもまた、バーチャルという現実から逃避した先の空間に縋っているから。

最底辺に沈んでいる(なんなら外れ値にいる)のが卯月コウで、ゲームでジジプして自殺点決めるのが卯月コウで、社会不適合者なのが卯月コウなんだ。年中イキってるのが卯月コウなんだ。だから脱法ロックの歌詞は卯月コウみたいで、卯月コウが「それでもいいんだ、それが俺なんだ」と訴えかけてくれているようで、すごくよかった。にじさんロックの存在を知らなかったけど、その文脈を知らなくてもいいと思った。

 

後からにじさんロックMADの存在を知って、もちろんそのMADを見て、ああこれはたまらないな、と思った。MADの投稿から四年も時間が経っていることも、そのMADの内容も、そしてこのMADに卯月コウが突き動かされてライブ王決定戦に向かったことも、今回調べて知った。

知って、もう一度アーカイブを見返して、ああ、たまらないだろうな、卯月軍団。と思った。残念ながら私は卯月コウの配信をまだ1年程度しか追っていないから、四年間追い続けてる人ほどの感動は得られなかっただろう。でもそんな私でも、にじさんロックの文脈を知らなかった私でもあれだけ感動したのだから、文脈を知っている人達からしたら、言葉にならないほどの感動や喜び、衝撃があったんじゃないだろうか。

にじさんロックの文脈を知ってから、アーカイブで脱法ロックを見返した。コウが歌い始めた瞬間に流れる、黄色で書かれた大量の「うおおおおおおおおお」を見て、すごく幸せな気持ちになった。ライバーカメラ配信なんかはより顕著で、ロストワンの号哭の二番が始まるくらいまで放心して余韻に浸ってる姿がコメントで見てとれて、それにもまた幸せな気持ちになった。卯月コウが脱法ロックを歌うことに驚き感動する人間がこれだけいるんだと感じられたことが嬉しかったんだと思う。

また、にじさんロックの存在を知ったとき、私はハッピートリガーが歌った「アンノウン・マザーグース」のことを思い出した。

ファンアートがバズって、その存在を受けたライバーがそれになぞったものを返す。それは、バーチャルユーチューバーという存在の不安定さがあるからこそなせるものだと思う。アニメや漫画ではできなくて、三次元のアイドルでもできない。キャラクターであり、人間でもある彼らじゃないと中々できないもので、そこに「Vである意味」みたいなものがあるような気がした。

 

卯月コウが脱法ロックを歌うことについての文脈や、歌詞とのシナジーがよかったのはもちろん、パフォーマンスもめちゃくちゃよかった。特に落ちサビの台詞口調にアレンジした「なんですわ!」がすごく好きだ。

私は卯月コウの歌を好きでも嫌いでもないし、あいつの歌を上手いと思ってもいない。にじさんじで歌を売りにしている人達と聞き比べると、どれだけ欲目で見たとしても「上手い」とは言えないと思う。その認識はライブ後も変わっていない。でも、よかったんだ。脱法ロックだけじゃない、全曲よかったんだ。

特に驚いたのは社長とのデュエット「らしさ」な気がする。社長みたいに圧倒的に歌が上手いとされている人と二人きりで歌って大丈夫なんだろうか……。二人がステージに見えた瞬間、そんなことが脳裏によぎった気がする。けれどそれは杞憂だった。社長は卯月コウの歌に合わせるような歌い方をしてくれていたし、卯月コウも精一杯歌っていた。歌もよかったし、二人が向き合って歌う部分もよかったし、大人と子供が「らしさ」を歌うのもよかった。

「ちょっと待ってよ 星空は 変わらずあの日と同じだよ 理解されずとも宝物は 今でも宝物のはずでしょう」を卯月コウに歌わせてくれた社長には感謝しかない。

テレキャスタービーボーイ」のダンスはあの軍団が「かわいい」ばっかり言ってしまうくらいには可愛くてよかった。

「女々しくて」の「わんわん」は意味わからないくらい可愛くて混乱したし、ライバーカメラ配信で混乱する軍団も含めてよかった。

Snow halation」、私でも知っているラブライブの楽曲。言うことが何もない、いやある。歌い出したときから動揺と興奮、それに嬉しさと笑いが同時に起こって、すごく不思議な心理状態だった。コメントで牛丼牛丼言ってる軍団のノリが最悪で最高に好きだと思った。それでいて間奏でラ帰雪牛やってくれるの、あまりにもできすぎているだろ……。詠唱キャンセルまで含めて最高だった。

自分のリスナー以外が見ている場で、むしろリスナー以外の観客の方が多いだろう場で、卯月軍団しかわからない(実際ラ帰雪牛をどの程度のリスナーが知っているのかはわからない、どの程度普及しているネタなんだろう)ネタをやってくれることが嬉しかった。内輪ネタを公の場で行うのはダサいという考え方もあるのかもしれないが、それを加味してもなお私は嬉しかったし、その度胸に笑った。

VtLでの「ヒトツヒトツ」も、最後の「皆、いっぞ!」も勿論よかった。VtLのイントロが流れ始めたとき、「ヒトツヒトツ」を期待しなかったといえば嘘になる。ライバーカメラのコメント欄がヒトツヒトツで大盛り上がりしてたのが最高だった。

初っ端の自己紹介の「風呂入ってきたか~!?」も大好きだった。感動と笑いが同時にやってくる、なんとも不思議な体験だった。

 

FANTASIADay2における卯月コウが私の想像を超えるくらい最高だったのはもとより、ライブそのものも凄くよかった。

バーチャルユーチューバーのライブは、スクリーンに映像が流れる形のライブだ。だから、録画したものを流す、ということだってできなくはないだろうと思う。でも、このライブを観た人達は、そんなことは考えていないだろう、と思っている。

今、あのスクリーンの向こう側で、自分が好きなライバーが歌って踊っている。そう信じている人達がたくさんいることを、愛おしいと思った。それは盲目なわけでも馬鹿なわけでもなく、そう信じたほうが互いに楽しいし幸せになれるからそうしているのだと、私は思う。

暗黙の了解や不文律が多いバーチャルの世界で、「そういうものだから」と受けとめた上で、仮想のキャラクターを楽しんでいる人達のことが好きだ。

アニメや漫画が終わっても、キャラクター達はその世界の中で生き続けられる。アイドルが芸能界引退しても、もしかしたら東京の街のどこかに、日本のどこかに、一般人に戻ったその人がいるかもしれなくて、もしかしたらばったり出くわすこともあるかもしれない。1%もない可能性だけど、それは絶対にありえない、とも言い切れない。

けれど、バーチャルユーチューバーは違う。引退したら、もう二度と会うことはできない。(笹木が例外だと思っている)Vは見た目と中身があっての存在だから。YouTubeアカウントが消えてしまったら、その人がいた記録がほとんどなくなってしまう。もちろん、コラボ相手のアーカイブなどはあるのだけど。

バーチャルユーチューバーはその人自身がコンテンツだから、配信がない限り物語が更新されることもない。

そういう曖昧で不安定な場所に立っている存在を愛している人達が、自分の推しの歌やダンスで感極まっている光景。その光景を美しいと、私は思った。曲を歌うライバーの色に染まるペンライトとコメントを、美しいなと思った。なぜか胸を打たれてしまった。泡沫のような存在の彼らを愛する人達の喜びが可視化されていて、虚構を愛することができる人達がこれだけいるんだと、感動したんだと思う。

 

Vチューバ―というのはアンチも多く(アンチがいないコンテンツなんて存在しないが)「絵じゃんwww」「萌え声でスパチャ媚びてるだけ」「3Dが気持ち悪い」なんて声があったりなかったりする。そして、これらの声は私がVにハマる前に、Vに対して抱いていた印象でもある。

話は遡るが、私は二年ほど前までVが嫌いだった。興味ないとかではなく、明確に嫌悪と侮蔑の感情を持っていた。見た目がいい絵を使って、萌え声でスパチャを媚びている存在だと思っていて、そこが嫌いだった。

絵の向こう側にいる、実際に配信を行っている人間の顔や見た目がどれだけ悪かったとしても、萌え声やイケボを出すことでお金をじゃぶじゃぶ貰えている。人がゲームをしているところを見て何が楽しいんだと思っていたし、3Dも動きが気持ち悪くて嫌いだった。動くことで布や髪がめりこんだりしているのを見てダサいなと思っていた。

「画面の向こう側にいるのは人間なのに吸血鬼だと思い込むなんて無理あるだろ」なんて思っていて、その在り方が気に食わなかった。嫌いだった。

 

でも、そうじゃないんだよな。Vのコンテンツ性、エンタメ性ってそこじゃないんだ。今の私はそれを知っていて、知ることができてよかったと思っている。彼ら彼女らは可愛い(もしくはかっこいい)声で媚びてるだけなんかじゃない。皆配信を面白くするために創意工夫をしているし、ゲームが上手いとか物事の捉え方が独特だったりなどの特徴があって、それに付随しているのが声の良さってだけなんだ。

また、Vの特徴としてロープレという要素がある。私はこれが好きだ。正確には好きになった。ロープレをちゃんとやるライバー、雑なライバーがいて、どちらもそれぞれのよさがあって好きだ。長尾景はかなりしっかり祓魔師やってくれていて、そこが好きだなと思うし、卯月コウが中学生のくせに中学生らしからぬインターネット知識を持っていたりするところも好きだ。

リスナーがキャラをキャラとして楽しんでいる――例えば、吸血鬼を吸血鬼として、神を神として、高校生を高校生として――のを、遠目から見る人は馬鹿にするかもしれない。中身の人間が吸血鬼なわけないだろって。というか私はそうやって馬鹿にしていた。

でも違うんだよな。わかっているけどキャラをキャラとして認識して、そこにあるのが仮想の存在だということを分かった上で、その妄想を一緒に楽しむことができるのがVなんだ。盲目なわけでも、馬鹿なわけでもない。わかった上で楽しんでいるのが、Vを好きな人達なんだと思う。Vを好きな人達は、スクリーンに映る虚構と現実がないまぜになった空間を愛している。今の私には、Vの在り方とそれを楽しむ人々の関係が、とても美しいものだと思えている。

今まで嫌いだったものを好きになった、という経験は私の人生をブレイクスルーさせてくれたように思う。深く知らないくせに表面的なイメージで物を語ってはいけないという、当たり前のことを実際に体験できた。

 

今回のFANTASIADay2は、Vという虚構を愛する人達の喜びや感動を浴びることができたのも含めてとてもよかった。画面を覆いつくすほどの弾幕は、仮想空間を愛する人達の感動のあらわれだった。

卯月コウ、Day2に参加したライバー、そしてコメント欄。それらが私に感動をもたらしてくれた。ありがとう。

死にたくなった時に、卯月コウの脱法ロックを思い出せたらいいなと思った。どうせ自殺なんてできないから。死にたくなったら、膨大にある金ネジキ配信のアーカイブでも見ようと思う。

開場中に広がる黄色のペンライトは、とても美しかった。

社会通念、解釈、欲望

小雪さんの彰杏が身体を重ねる事はあるんですか?」という箱をもらったので、それに答えたいと思います。

https://odaibako.net/detail/request/fce99b0b-474d-47eb-a0ce-4f4944e67744

ブログにしたので基本常体、たまに敬語。自分語り大好きなのでめちゃくちゃ自分語りがある。あと社会に対する偏見もめちゃくちゃある。

質問をもらってまず考えたことが、「解釈と欲望」、「恋人とセックスの捉え方」、「正史とその他」についてで、まずそこを説明しようと思う。前提条件を一致させておかないと、しっかりした答えが出せないなと思ったので。

それらを説明してから、じゃあ私の中の彰杏がセックスすることはあると思うのかのか、ないと思うのか、の考えを最終的にまとめていこうと思う。ちなみに、今書きだした段階だけど、全く答えが出ていない。

解釈と欲望

解釈と欲望は、解釈と性癖、とも言い換えられると思う。任意のキャラに対してバスケでPGしてほしいな、とか、こういう服着て欲しいな、とか、大小こもごも、色々な欲望があるとき、それが解釈としてそう思うのか、ただただ自分の性癖からそれを欲しているのかを判断したい、と私は思ってる。

性癖と解釈が合致する場合が一番よくて、性癖優先で嬉しいことを書いたりすることもある。大体そういうときは「これはしないかもしれないけど、でもしてると私が嬉しいし、してると思うから!!」とゴリ押してる気がする。また、解釈優先で「こういうのが見たいけどしないからなあ……」と我慢することもある。どれがいいとか悪いとかはなく、完全にケースバイケースだと思う。

欲望や性癖という意味では、私は彰杏がセックスするところを見たいような気がしている。「Gimme×Gimme」をビビバスアーカイブで歌ったときとかは特に、本当にめちゃくちゃ彰杏の性が見たいよ~~~~!!!!と思って暴れていた。

「Gimme×Gimme」の歌詞がそういう歌詞だし、なんだろうな、私がオタクだからだと思うんだが、推しカプのセックスを見れること=嬉しい、みたいに脊髄反射になってる気がする。エロ=嬉しい、みたいな思考が深層心理に刻みこまれてしまっている気がする。

だけど、いざ彰杏がセックスしてる二次創作を読んだりしてみると、(あれ……? なんか違うな……?)と思ってしまう。これは私がたまたまその創作と相性が悪かっただけ、というのは十分にある。

じゃあ、願望全振りにするとして、そこに至る経緯なども考えなくていいという前提があったとき、どんなセックスだったらいいのか? と聞かれると、答えに迷ってしまう。なんとなく見たい気はしているけど、詳細に語れと言われると、どんな光景を見たいんだろう? と首を傾げてしまう。不思議だ。

ここで、次のトピックスに話を移す。

恋人とセックスの捉え方

これね~~説明するとめちゃくちゃ長くなりそうだな、と思ってるんだけど、説明しないと話が成り立たないな、とも思っているので、長くなって申し訳ないけどずらずら書く。

結論を先に書いておくと、二次創作界隈でポピュラーな価値観としてある「恋人」「セックス」の捉え方と、私が考える「恋人」「セックス」が結構違ってる、という話。

社会一般におけるセックスの捉えられ方

少女漫画、ドラマ、映画、古典作品、その他もろもろ。「物語」というコンテンツにおいて、セックスという行動がもたらす話の動き方って、すごく大きいと思っている。

少女漫画での恋人とのセックスって、互いの思いが通じ合って体を重ねて体も心もひとつになる、至福であり最高に幸せな時間、みたいな描き方をされがちだと思っている。最近の少女漫画を読んでおらず、私の少女漫画知識は10年くらい前のものなので、今は違ったらごめん。

私は小学生から中学生にかけて、少女漫画、少年漫画、二次創作BLなどを読み、そしてこれが極めつけなんだが、携帯小説にドハマりしていた。そのため、セックスが好きな相手とめちゃくちゃ幸せなときにする行為だという価値観がバチバチに固く根付いてたように思う。

ついでに、恋人が作れずセックスができないことが人として劣っているのではないか、とめちゃくちゃ焦ったりもした。

めちゃくちゃ早熟な人じゃない限り、セックスに対する幻想というものは10代の若い頃は抱きがちなんじゃないかな、と思ってる。多かれ少なかれ。なぜならあらゆる「物語」のコンテンツがそれ(セックスが最高の幸せの暗喩になる)を見せつけてくるから。最近だと違ったりするのかな? これはどの時代になってもあんまり変わらない普遍的なものだと、今の私は思ってるけど。

そもそも「結婚前に異性と性行為をしたり交際したりする」っていう価値観だってここ百年くらいの間に新しく普及していった価値観なわけだし、これから今の価値観も変わっていくのかもしれないね。私が話してるのってあくまでここ15年程度の話なので。

あと、社会一般(というか、どっちかというと二次創作界隈)の考え方として、セックスすると相手との距離が縮まったように描かれがちだな、と思ってる。仲がより深まるとか、信頼が強まるとか。セックスという行為をした影響としてそういう結果を得られるように話が作られているような気がしている。たかがセックスでそんな関係が深まるわけないだろ、と私は思っている。

そんなこんなで、今の私は「社会の一般的な価値観でいえば、セックスって好きな相手と体を重ねる最高に幸せな行為ってことになってるんだろうな」と思っている。偏見だけど。偏見にならないようにするにはデータ示さないといけなくて、それは面倒なので。

私が考えるセックス

じゃあ私はセックスのことをどう思ってるのか? っていうと、セックスしたところで幸せだなとは思わないし、ただの身体接触だなと思ってる(なんならハグする方が幸せな感じがあるなとさえ思っている、これは多分幼少期にめちゃくちゃ母親に抱きしめられていた記憶の名残だと思う)セックスしたところで何が変わるわけでもないし、でも何かが変わってしまう行為でもあるなあ、と思っている。矛盾している。

少なくとも昔みたいに好きな相手とするセックスがめちゃくちゃ幸せみたいな考えはかなり崩れ去ったと思ってるし、なんなら好きな相手としたいことって身体接触じゃなくて会話だなあとさえ思ってる。「話をするのが楽しい」って、任意の他者とする行為の中で一番好きだ。

でもだからといって恋人がセックスすることを馬鹿にしたりはしない。なぜなら自分もそうしたいと思っていた時期があったし、これからまたそう思うときがくるかもしれないから。それでも世の中の人間、セックス好きすぎじゃないか……? 皆なぜ……? とは、たまに思うけど。そんなこと言ったら本能に組み込まれてるから好きに決まってるだろって感じだしな。

セックスしたところで何が変わるわけではないってのも、ほんとになんも変わらないと思ってるんだよな。セックスをしようがしまいが椅子に書いてある名前は変わらないから、何が変わるわけでもない、って思ってるんだと思う。(椅子の話はこの後説明します)

セックスすることによって距離が縮まるとか、急に相手のことを意識するなんてのは中々ないと思ってる。なぜなら私にとってセックスはただの身体接触で、好きな人とする幸せな行為、として認識してないので。

じゃあ何かが変わるって何が変わるのかって、頭では身体接触だと認識してるんだけど、過去自分が読んできた創作物や周囲の友人達の恋愛話などによって、相手への態度が何も変わってないようでなんか変わっちゃう、みたいな感じがある。「この人とセックスしちゃったのか……」みたいな事実が頭にあって、なんか変わるよな……と思っている。漠然としていて答えになってなくて申し訳ない。

ここまでで言いたかったのは、世間一般が考える「セックス」と、私が考える「セックス」の認識が結構違うんだよなあ、ということです。

私が考える「恋人」

さて、前段で話した「椅子」の話と、恋人の話。

これは私が割と頻繁に言ってることで、質問してくださった方も認識されてることかな、とは思うんだけど、任意の二者間において「恋人」が一番幸せなポジション、だとは思ってないんですよね。その話をします。

「恋人」っていうのはあくまである一人(この場合では東雲彰人と仮定する)の周りに置かれている椅子についてる名札のひとつに過ぎなくて、でも東雲彰人の周りには、「相棒」って書いてある席があって。「相棒」の席に座れる人はたった一人しかいない。「恋人」の席に座れる人は替えがきくけど、「相棒」の席に座れるのはたった一人。東雲彰人にとっては「白石杏」って名前が書いてある椅子もあるし、「小豆沢こはね」の席もある。白石杏についても同じことが言えて、それはVivid BAD SQUADの四人全員に同じことが言えると思っている。

自分の人生に必要だな、って人を考えるとき、そこに恋人という役割(名札であり名前)はいらなくて、ただその人がいればそれでいい、っていうのが一番いいなあ、と思っている。個人的に。

漠然とした概念の話になってしまって伝わりにくいかな、と思うんだけど、東雲彰人の心象風景に、まず彼が一人立っていて、その隣に青柳冬弥しか座れない椅子が置いてある。対面するように白石杏の椅子が置いてあって、そこには白石杏しか座ることができない。東雲彰人の中に、白石杏しか座れない場所があって、そこは恋人(という名札のついたモブ)では、座ることはおろか立ち入ることもできない場所だ。と、思っている。そしてそれは白石杏も同じだと思ってる。(この辺はテネシーハニーのあとがきでもちょこちょこ書いた気がするので、もしかしたら同じことを二度読ませているかもしれないです、すみません……)

そういう、「その人しか座れない椅子」が互いにある状態が、すごく好きだ。

逆に私がCPとして恋愛させたり恋人という名前をつけたりする類の二人は、もともと原作で交際または両想い描写がある二人か、「これ恋人って名前つけないと疎遠になるな」って思う二人が多い。遠くにある椅子を「恋人」って名前にして近くに置き直すようなイメージ。

私は「恋人」をあくまで「名札」とか「役割」としてしか捉えてないし、二人の関係が恋人になってセックスすることで一番親密になる、とも思ってない。

この辺の関係性の考え方で、わかりやすいし共感できるな~と思っているnoteがあるので貼っておく。(noteだからそのうち読めなくなるかも)

「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」と「リレーションシップ・アナーキー」はバンド名じゃないけど、パンクロックな気がする。

https://note.com/you1026/n/n2f53f688c858

性別だけじゃない。関係性だってグラデーションだ。

https://note.com/you1026/n/n50dee9f9b3dc

社会一般における「恋人」

さて、じゃあ社会一般ではどうだろう? と考えると、二者(特に異性間)の関係性の最高峰が恋人だ、という価値観がまだ根強くあると思っている。契約結婚も最後は互いのことを本当に好きになって終わる話ばっかりだし。そういう価値観が根ざしてしまってるのは、幼少期はシンデレラから始まる、物語のテンプレートゆえかなあ、と思っている。

極論だけど、山で生まれて獣に育てられたらセックスは本能的に見つけるかもしれないけど、恋愛とか恋人とかいう概念を学ばないと思うので。

社会での価値観、というとかなり大きい話になってしまうので、「二次創作での価値観」「オタクの中での価値観」とするほうが、話は小さくなる。結論は変わらないけど。

なんなら二次創作やカップリングを愛好するオタクのほうが、恋人という関係性が最高峰、と思ってる人の割合が多いような気がする。それくらい二次創作には「恋人」が最高峰の作品が多いなあ、と感じている。それが悪いわけじゃないんだけど。そっちの方が圧倒的にスタンダードだし、メジャーだと思うので。

話が逸れるけど、めちゃくちゃ互いを信頼しあっている会話をしている二人を見て「付き合ってるじゃんこれは」と言うオタク、いるじゃないですか。あれって、恋人相手だと言えるけど友達相手には中々言いにくい(とオタクが思ってる)ことを、キャラ同士が言い合っているからそう思うんだと思う。まあ口癖とか脊髄反射で言っちゃうみたいなものも十分あると思うけど。

大多数の人が恋人という名前が書いた席に座っている相手にしていることを、恋人でもない二人がしているから「付き合ってるじゃんこれは」って思うのかな、と思っている。

これは世の中全体に対して結構不思議に思ってることなんだけど、恋人相手だと急に遠慮がなくなる人、多くない? と思ってる。関係性の名前が変わっただけでそんなに? と思うことも少なくない。が、しかし、その人達の気持ちもめっちゃくちゃわかる。わかりすぎて辛くなるくらいにはわかる。過去、私も恋人という名前が書いた椅子に座ってるだけの人に、その椅子に座り続けてもらうためだけにめちゃくちゃ固執していた時期があるので。

さらに話が逸れるが、よく言われる「恋に恋している状態」って、常に「好きな人」または「恋人」という椅子に誰かを座らせていないと落ち着かない状態だなあ、と思っている。「田中太郎」みたいな固有名詞の椅子じゃなくて、誰でも座れる椅子に誰かを座らせて自分の近くにその椅子を置いてる、って感じに思っている。

恋人とセックスの関係

更に社会一般の考えと私の考えの差の話。

世の中、恋人同士ならセックスする、って考えがめちゃくちゃ基盤にありますよね…? 同性でも異性でも、そこだけは全然変わらないよね……? と、思っている。先に述べたとおり今の私はセックスに対して肉体接触だなあ程度にしか思ってないので……。恋人じゃなくてもセックスしてもいいと思っているし、恋人って名前がついてない相手とセックスした途端に倫理観の欠如を疑われないといけないの、納得いかないんだが……と思っている。さらにいえば恋人じゃない相手とするセックスの相手のことを「セフレ」と呼んで、それは幸せなセックスじゃないとする、みたいな価値観にも納得いってない。たしかに一方的に好意を抱いている相手からセフレとして扱われるのは辛い、というのはわかる。

ただ、中には本当にただただセックスが好きで交際はめんどくさい人達が組み合わさって楽しくセックスしてるだけかもしれないじゃん? そういう楽しさを持ってる人に対して「マジか……」と引いてしまう人が多いなあ、と、私は今の社会を見て思っている。

これに関しては二次創作もかなりその色があると思っていて、恋人じゃない二人がセックスしているというやつ、セフレから恋人になる話以外ほっとんど読んだことがない。恋人とするセックスがハピエンで、恋人以外とするセックスは序盤の展開の一部にすぎない、またはセフレのまま終わる後味悪い作品、みたいな暗黙の了解を感じている。もしかしたら私が読んだことないだけで、恋人って名前がついてない二人がセックスはするままその関係性を続けていく話がたくさんあるのかもしれないけど……。

ここまでで話したかったことのまとめは、私が考える「恋人」「セックス」「恋人とセックスの相互関係」って、二次創作界隈のメジャーな価値観と結構違うんです、ということです。

正史とその他

最近あんまり話してない気がするけど、私はよく自作について「正史」かそうでないか、という話をする。

正史っていうのは、原作の推し達が最終回後に辿るルートとして一番「ありそう」、なんなら「ある」と思っている話の流れのこと。

二次創作してると、何度も推しカプの初夜を書いたり、何度も告白する話を書いたり、高校のときに告白するパターンの話や、社会人になってから交際するような話を書くことがあると思う。

その中で自分が一番「ある」と思ってる話の流れのことを「正史」と呼んでいる。あくまで自作内での区別の話。付き合うルートが「ある」ルートなわけねえだろ、という指摘はごもっともで、しかしそういう話ではなく、「もし付き合うなら私はこの流れが一番あると思っているルート」のことを正史と呼んでいる。

私が書いたビの二次創作内でかなり正史だな~と思ってるのは、我往くは荒野と交わらない二人かな……どっちも些細な出来事を深堀りしただけの話なので、本編内で起きてても違和感ない話にできたかな、と思っている。

彰杏に対する自分の欲目を加味すると、テネシーハニーのこともかなり正史だと思っていて……セックスさせなかったからこそ正史だな……と思えているところはかなりある。

そして「こうなってほしい」という欲望を加味すると、「宣誓、僕たち」は一番私が見たいVivid BAD SQUADの「その先」の姿として、正史だな、と思っている。アメリカは突拍子もなさすぎるのでプロセカ本編では起こらないことは自覚しているけど、自分としては正史と呼びたい、そういう塩梅。

逆に君シリーズはリリック前に書いたこともあって色々本編の内容と誤差が発生してしまってるので、正史ではないんだよな……東雲誕の話とかかなり気に入ってはいるけど正史だとは思ってないな……。あれは「プロセカ本編ではやれなそうな話」をやりたくてやった話なので。

ここで話したかったのは、「解釈」の中にも「正史」とその他がある、ということでした。

彰杏はセックスするのか?

さて、ようやく本題。ここまで前提条件を色々と説明しておいたが、今もなお、するのかしないのか、見たいのか見たくないのかがはっきりしていない。

消去法でいきたくて、前提の説明を行った。

私の中で、杏と彰人が二次創作によくある類の恋人になりセックスをする、というルートは、あまり考えてない。私はこの二人について「人とセックスするには告白ないし交際確認の手順を踏み、恋人という関係性になって、恋人期間を少し経てからセックスする」という流れを、それが普通だと認識しているだろうな、と思っている。

二十代後半の彼らなら色々経験をして考え方が変わってるかもしれないが、プロセカ本編の高校一年生の彼らは、きっとそういう認識をしているんじゃないかなあ、と思っている。そう思う理由は、社会的にその考え方が一般的だからでもあり、自分が高校生のときにそういう認識をしてたからでもあり、そして何より「恋愛について一般的ではない価値観を持っている、という特徴をつけるなら、それが性格として押し出されるだろう。押し出されてないということは、その点については社会一般とそう変わらない価値観を持っているのだろう」と思っているから。彼らが物語の中のコンテンツであるからこその考え方。余談だけど、花嫁イベはそれを感じちゃったから辛くなっちゃったのかも。

で、そういう社会一般の「恋人」という価値観を持っているまま、二人が恋人になることは(私は)ないかなあ、と思っている。それは私の考え方が、「既に白石杏の固有名詞がついた椅子があるのに、わざわざ誰でも座れる恋人の椅子に座ってもらう必要ないしな……」と思ってるからだと思う。

もっというと、二次創作でよくある、セックスで心も体も繋がって二人が一人になる感じがして、幸せで高揚感を感じて……みたいなやつを、彼らは歌とイベントで味わう事ができるよな、と思っているところもある。彼らは歌うことで高揚感を感じるし、一体感を感じるし、生きてて一番幸せな瞬間が四人で歌を歌っているときだと思っているので。

テネシーハニーでも書いたように、セックスできる距離感だな~と互いに自覚はしてるけど、でも別にする必要はないな……と思ってしないで終わるのが最高に好きだな……と思っている。なぜする必要がないと彼らが思うのかっていうと、「もう十分関係性は深まってるし、わざわざセックスをしてまで深めなくても、歌でそれができるし、わざわざ「男と女」の椅子に座り直す必要はないな」と、深層心理で二人が思ってるだろうなあ、と、私が思っているからです。主語がややこしい文章になってしまった。

そう考えると、やっぱりセックスしないのかもしれないな……私の中にいる彰杏は……という気持ちになってくるな……。

じゃあ、願望全振りにするとして、そこに至る経緯なども考えなくていいという前提があったとき、どんな彰杏のセックスなら見たいのか? って、冒頭で考えたけど、うーん、そうだな、いつもみたいに悪態を言い合ってる感じなら見たいかも……? くらいかなあ。「いつもみたいに」が重要な気がする。

いつもの二人のやりとりが崩れてしまう瞬間、別に見なくていいかな……になっちゃう気がする。そしてセックスをするとなるとどうしても「いつもの二人の会話」が崩れることが多い気がしてるから、想像できないな……になってるのかな、と思う。

「崩れる」っていうのは、セックスって男役(ちょっと嫌な言葉だけどそう書くのが一番わかりやすいので)がオラついて女役が恥じらう、みたいな暗黙の了解があるじゃないですか。そういうのは全然見たいと思ってないな。あと、互いに下着姿で恥じらったりしてる絵が私の脳内では想像しにくいんですよね……。

あと、二次創作の中でのセックスって、相手の内側を暴く行為であると同時に、ありのままの自分を晒す行為だとも、私は思っていて。でも彰杏ってセックスしなくても相手の内側をちゃんと見れてるし、自分を晒してるんですよね……。だから余計にしなくてもいいかも、と思ってるのかもしれない。

もっと言えばさっきテネシーハニーのこと色目込みで正史だと思ってるって書いたし、私が正史だと思ってるルートはセックス発生しないルートなんだろうなあ、と思う。

冒頭で、欲望だけで言えば「見たい」と思ってる、って話をしたけど、その「見たい」って気持ちはパブロフの犬によるものなんじゃないかと思えてきた、今。これまでのオタク人生によって培われたものによって「見たいよ~~~!!!」って思ってるだけで、実際はただの条件反射なだけかも……って答えになった気がする。

それに、「見たい」って思いは欲望の部分に過ぎなくて、絶対に「解釈」にはならないな、と思ってる。いや、無理矢理こじつければいけなくはないけど、少なくとも私は、それは違うなあと思ってしまう。

さっき、欲望として「いつもみたいに悪態を言い合ってる感じなら」って書いたけど、解釈として考えるとそうなるルートが全然思いつかない。ぜんっぜん想像できないし、なんなら最中のちょっとしたやりとりでさえ思いつかない。当然前後の流れも思いつかないし、「こういうルートならありえるだろうな、正史にはしないけど見たいな」と思う道が見つからない。

ひとつ抜け道があるとすれば、伝説超え後にVivid BAD SQUADが解散するルートならワンチャンあると思ってる。解散したことによって椅子の位置が離れたことにより、名前をつけて近づけようとする、っていう話の流れ。でも私にとって「伝説超えした後もVivid BAD SQUADとして四人で歌い続ける」っていうのは、彼らの二次創作をする上で何よりも譲れない部分なので、絶対にできないな、となる。となると結論が出る。

結論:私の解釈の彰杏はセックスしません!

※あくまで私個人の解釈なので、セックスする類のカップリングを否定する意図は全くありません。

質問ありがとうございました!色々考えをまとめられて楽しかったです!

【宣誓、僕たち】あとがき

www.pixiv.net

「宣誓、僕たち」のあとがき。

私が好きなVivid BAD SQUADとその周囲の関係性を書けたな~! と思っており、現状とても満足している。ある意味ではビの最終回であり、けれど終わりではなく、二期へと続くプロローグを書けたな~と思っている。本当にこの話を書ききれたことが今は嬉しい。

めちゃくちゃ長いので、まず目次。

きっかけ

この話のきっかけは、2020年12月23日。ワンダショちゃんねるにて、正月楽曲追加キャンペーンの中でVivid BAD SQUADが「ECHO」を歌うことが発表されたところから。

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「ECHO」が英語の歌詞であること。そして、和訳すると「家を焼き落として絶対に振り向かない」という歌詞があること。そのあたりで「ビにアメリカ行ってもらいたいな~!」と言い始めたところから、この話は始まった。

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この頃から私は既に「大人になったビビバスには一つ屋根の下で四人暮らしをしてほしい」と思っており、渡米したらそれできるじゃん! と思ったのもある。最終的に四人暮らしに行き着くための状況設定のためにアメリカに行ってほしいな~とも思ってた。

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ECHOが実装されてからもたびたび渡米ビの話をしています。

この頃から私の中で「ビビバスが高校在学中に伝説超えする」→「大学進学の18~22あたりにモラトリアムがある」→「渡米」の流れが確立されてきたように思う。

ECHOが実装された1月あたりからずっと「アメリカ行きを決めるビの話を書きたいな」と思ってて、でもその骨子は何も見えてない、という感じだった。そのとき考えてた話の概要は、二十歳くらいのビが四人でドライブして朝日を見て「アメリカ行くか~」って決める話、くらいしか考えてなかった。

この時期はほんとにゆるゆるとしか考えてなかった。朝日と絡めたいのは絶対に譲れなくて、でも徹夜でドライブはキツイし、そもそも四人で朝日を見るシチュを作れたとしてもアメリカって突拍子もなさすぎるんだよな、どこから4人にその発想もってこさせればいいんだろう……などと考えていた。この時期はまだリリックしかイベストがなかったのもあり、渡米とか流石に無理あるかな……と思ってたからというのもある。

Untitled

その年の二月末に「Untitled」という話を上げた。想いが続いていく話を見たくて、あと叙述トリックをやりたいと思って書いた話。ビビバスのどういう未来を見たいのか、とかも考えてたと思う。セカイがこれからも繋がるといいな~みたいな思いもあった。で、その話の流れで「こはねさんと冬弥さんが大学卒業すると同時に渡米」て書いた。既成事実! 言ったもん勝ち! みたいな勢いで書いた。

書いたことにより余計に「いつかアメリカ行きを決めるビの話を書きたいな」と思うようになった。というか、書いたからにはいつか「どうしてアメリカに行ったのか」について説明する話はやらないと誠実じゃないかな……と思った。

余談。この「誠実でありたい」というのは、Vivid BAD SQUADの4人と、その4人を好きな人達に対してそうありたいと思っているってだけです。綺麗事言ってんなという自覚はある。所詮二次創作なんて捏造でしかないし、キャラ崩壊してようがしてまいが勝手にキャラを動かしてるという点では変わらないので。しかも「誠実かどうか」ってのは個人の物差しでしかないし。何が誠実かなんて誰にも決められないし。

けどまあ、あくまで私個人としては、大好きな彼らの物語を書かせてもらうんだから雑なことしたくないな~と思ってる。これは私が読むときにそう思ってるからってのもある。

SBDとBBY

SBDで遠野新というサブキャラが登場し、驚くことに海外で修行していたと言うじゃないか! と盛り上がる。これはビもアメリカ行けるわ!! と歓喜した。けど、この時点では具体的な話が見えてなかった。この辺りの時期は創作欲がかなり落ち着いてたからってのもある。

BBYで謎のおじさんがRAD WEEKENDの立役者だと判明。しかもアメリカで活動してて再生回数5億とか言ってるんだけど!? これはビも行ける!! アメリカに!! と、めちゃくちゃテンションが上がっていた。

Vivid BAD SQUADのストーリーには本当に便利なサブキャラが多く、白石謙を筆頭に、青柳春道、三田洸太郎、遠野新、古瀧大河と、本当に物語を動かすにあたり便利な人間が多すぎるよ……と思っている。しかしこの「便利」は、たしかに物語を動かすのに便利なんだけど、あまり便利に使いすぎちゃいけないとも思ってるから、難しいな~と思ってる。余談。

BBYのイベストが本当に本当に大好きで、私が見たい白石杏と東雲彰人の関係性をめちゃくちゃやってくれて、「テネシーハニーを飲みながら」を書いておいて本当によかったと思うなどして、白石杏がこれからぶつかる壁みたいなものを見れて、それでテンション上がって書いたのが「我往くは荒野」で。

この話を書き終わったあと、東雲彰人の誕生日が近かったのもあり、「誕生日に向けて何か書きたいな!」と思った。そこで思いついたのが、かねてより書きたいと考えていた、「ビがアメリカ行きを決める話」だった。

なので、この話を具体的に考え始めたのは2021年の10月下旬くらい。

プロット作成と情報収集

流石に長い話になるだろうな、と思ってプロットを作った。あとアメリカないしニューヨークやヒップホップの歴史とかも調べた。何かに使えたらいいな程度の感覚で。ニューヨークが5つの区域に分かれてて、ヒップホップ発祥地はその中のブロンクスってところで~みたいな知識はこのとき調べて知った。そこでアポロシアターの存在を知って、アマチュアナイトのことを知って、めちゃくちゃビにおあつらえ向きなルールの場所だな!? と、すごくテンションが上がった。

最初に作ったプロットはすごく雑。

「大河からアメリカ行きを誘われる」→「四人がそれぞれ悩む」→「どうするか決める」程度。

アメリカ行きを誘われる序盤で4人の雑談だったり酒飲みだったりを入れられたらいいな~と考えてた。

あと、四人それぞれ悩むターンでバチャシンとの絡みを入れたいっていうのと、サブキャラとの絡みを入れたいな~とも思ってた。

ので、誰と誰を対応させて、それぞれがどんな悩みを抱くのかを考えた。

最初期の案は以下。

杏:ミクと遥

冬弥:カイトと春道(この時点ではルカが未加入だったため)

彰人:リンレンと新

こはね:メイコ

杏が遥なのは完全に趣味。白石謙でも問題はなかった気がするんだけど、私が杏と遥の関係性が好きなので、一度書いておきたかったというのがある。結果として遥でよかったな~と思ってる。

あと、この時点では、こはねと三田が話すのはあんまり考えてなかった。いれてもいいけど他の対応の強さ(杏と遥、冬弥と父、彰人と新)と比べて弱いよな~とも思ってたから。あと、こはねのとこは悩む必要がなくて、相談相手がそんなにたくさん必要じゃなかったからというのもあり。この時点ではこはねはバチャと話すだけかな~と考えてた。

最初に考えてた割り当てはそんな感じで、後からビミクは全員と会話してほしいな~と思い、追加された。この時点では決まってなかったけど、書いてるときにバチャの出演回数はなるべく均等にしたいな~と思って、メイコは杏とこはねのパートに出てもらった。初期バチャだし。

四人がそれぞれどんな悩みを抱くのか、というのは結構難しかった。彰人とこはねは即決だったんだけど、冬弥と杏はどうしようかな~と少し悩んだ。

彰人は一番現実的なことについて悩ませればいい(というかそれが彰人の役割だと思ってる)ので、イベント関連のことを。

こはねは、行きたいけど全部諦めたくないから断りたい路線が決まってた。最後はこはねで締めてほしいっていうのは最初から決めてた気がする。私は我が強い小豆沢こはねが好きだから。「ローリスクじゃ物足りなくなっちゃったし」って歌ってるし。

それと、Vivid BAD SQUADの始まりは3人が既に夢を持ってるところに小豆沢こはねが流れ星のごとく突然にやってきて4人になるところから始まってるので、その逆を書きたいなと思ったというのもある。こはねの夢に3人が引っ張られるっていう。メタ的な話をいれると、こはねがリーダー枠を担っていて、彼女が一番「Vivid BAD SQUAD」を体現している存在だとも思ってるので、こはねだけは違う視点でいてもらおうと思ってた。あと、こはねに一番少年少女のままでいてもらいたいな、と思ってたような気がする。

で、冬弥と杏の悩みについて。

彰人と同じ悩みを抱えさせても悪くはなかったんだけど、それだと読んでてつまんないよなあと思ったので、それぞれ違う悩みにしようと思った。4人からしたら自分自身の悩みは固有で個別なものではあるんだけど、読み手からしたら何人も同じことで悩んでるってのは、どうしても読んでて面白みに欠けるよな~と思ったので。

冬弥は学業周りのことを。杏は、伝説超えしたことにより街が変化したことについて。

そのあたりを考えて、プロット第二段作成。

「1.四人で談笑ターン(現状の説明)」→「2.大河登場」→「3.彰人」→「4.冬弥」→「5.杏」→「6.こはね」→「7.バチャシン」→「8.四人の話し合い」→「9.二年後」

7の「バチャシン」ていうのは、結果として「二 セカイと想い」のところになった部分の話。

「7.バチャシン」の部分は、伝説超えしてもビがセカイに行けるので、どうしてそうなったのかの説明をしないといけないな、と思ったからいれた。伝説超えしたのにどうしてまだセカイに行けるのか? 伝説超えの周辺で何かあったのか? そのあたりを書かないと誠実じゃないよな~と思ったので。

まあ多分、公式ではその辺に触れないまま伝説超えしちゃって、その後もぬるっとセカイに行き続けられるんじゃないかな、と思ったんだけど。でも明確に「RAD WEEKENDを超える」っていう目標があるからこそ、セカイとの「終わり」が見えてるのがビだと思ってるから、そこをやらないのはやだな~と思って。まあ……大変だったんだけど……本当に円満な永遠の別れって難しい……。

あらかたプロットが固まったので、よーし書き始めるぞ! と思ったんだが、なんかうまく創作欲が乗り切れず……みたいな感じだった。

ハロウィンとミライ

そこでハロウィンライブがやってくる。このライブに「ストリートのセカイのバーチャルシンガー」としてルカが出てきたから、本当に困った。二十歳のビの話をやるならルカがいないととおかしいし、現にこうやってハロウィンライブで登場してるのに、ビルカを入れないで話を作るのはな~と思ってしまった。無理矢理ビルカを追加するにしても、ハロウィンライブと杏のバースデーライブしか参考にできる言動がないから、創作するには材料が足らなくて。ビルカの性格をあれだけで把握して書くのは難しいでしょ……と思ったし、イベストで追加されてないのにバチャライにほいほいビルカを出してくる運営に怒りを抱いて萎えたのもある。

ここで「ビルカ来るまではこの話書けないよ~」となり、プロットまで立てたはいいものの、この話はお蔵入りになるかと思われた。

SDSCイベでようやくビルカが追加された。けどこの時は「追加されて言動も割とわかったし書くか~」とは思ってなかった。単純に創作欲が湧いてなかったので。Vivid BAD SQUADにおける「火つけ役」が小豆沢こはねであることとか、考えてたプロットにぴったりすぎて最高かよ~~とかは思ってたけど。

決定打になったのは12/29に「ミライ」が公開されたとき。

あまりにも歌詞がよくて、メロディーがよくて、ありきたりな言葉だけど、胸を打たれたのだと思う。感動した。これだけの感動を与えてくれた、私が好きなVivid BAD SQUADのことを書きたいと思った。私が大好きなVivid BAD SQUADの四人のことを、書き残しておきたいと思った。

曲名が「ミライ」だったのもあり、彼らの未来についてを考え、やっぱりプロットで止まってたアメリカ行きの話を書きたいな……と思った。

それと、この瞬間に書き出しの一文がスッと思いついたのもよかった。(なぜかわからないが好きな書き出しを思いつくとその後するする書ける、なんでかはわからない)

この場合の書き出しの一文ていうのは「経験というのは財産だ」のところ。これはBBYのときじゃでてこなかったな~と思う。SDSCがあったからこそ、自分の中から出てきた文だな~という感じ。

やる気が出たので、12/30から創作開始。このときは全部で5万字くらいかな~いっても8万くらいじゃないかなと思ってた。前奏曲を超えることはないだろうと思ってたし、まさか12万字いくとは思ってもみなかったな……。

アメリカ行き」の終着点

一章に入る前のポエムはたしか一番最初に書いたと思う。これから始まる話がどういう話なのかを間接的に読者に伝えるためにいれた。長い話は終着点が見えないと読むの辛いよな~と思ってるので。だからキャプションにも「アメリカへ行くことを決意する話」って着地点を書いた。それが結果としてミスリードとなってるんだけど、これ上手くできてんのかな……と今でも不安に思ってる。

なんで不安かって、「Untitled」でこはねと冬弥が大学卒業と同時に渡米って書いてるから、もしそれを覚えてる人がいたらすぐバレちゃうよな~と考えてた。まあ私がそれを忘れてて読み返して確認したくらいなので、誰も覚えてないだろ、と思ってるんだけど。あと、たとえ覚えてる人がいても、「Untitledとは違う結末の話にしたのかな」と思われるほうがあるかな~と思ったので。

タイトル決め

候補としては「僕ら朝焼けに宣誓を」とかもあった。とにかく「宣誓」とか「誓い」みたいな単語を入れたかった。で、「宣誓、僕達私達、選手一同は」っていう運動会の宣誓を思いついた。あれって少年少女しか言う機会がないと思ったから、4人に合ってるなと思った。タイトルを「宣誓、僕たち」で区切って、キャプションに「Vivid BAD SQUAD一同は」と入れたら、運動会の宣誓だな、と思ってもらえるかなと思って。

なんで「宣誓、僕たち私たち」にしなかったかっていうと、そうするとBDとVvに別れてしまって、「おれたち私たち」にしないと一人称として不自然だよな、と思ったから。(BDの一人称をまとめるときは「おれ」にしてるので) それに、本来運動会の宣誓は「宣誓、僕たち私たち」なのに、「俺たち」に変わってしまうとそのニュアンスを組んでもらえないかも……と思い、「宣誓、僕たち」で区切ってしまうことにした。Vivid BAD SQUADの一人称は「僕」だと思っているので、というのもある。

 

以下、書いた順でそれぞれの章のあとがき。自画自賛を多分に含みます。

四人と現状

最初に「経験というのは財産だ」から始めて、嘔吐シーン。ここ、嘔吐するのは正直冬弥じゃなくて彰人や杏でもよかった。だけど、「経験というのは財産だ」っていうSDSCの冬弥の言動から話を始めてるので、冬弥に嘔吐してもらうことに。ごめん青柳……。嘔吐描写、なるべく気持ち悪く、読んだ人が自分が嘔吐したときのことを思い出して不快になるような文を書きたかったんだけど、私ではこれが限界だったな……。吐瀉物を拭いた雑巾の味(出典:呪術廻戦)みたいな表現が出てこなかったんだよな~。これはもっと精進したいと思う。

で、冬弥が席に戻り、4人の談笑ターン。何話すのかは決めてなかったんだけど、最初の導入は4人の雑談にしようというのは決めてた。雑談を交えながら現状の4人の説明をしよう~と思ってた。なんで雑談かっていうと、最初からずーっと地の文が続いてると読み進める気力が削がれるかな……と思ってるから。序盤に4人の会話をいれて、その会話文を拾って読み進めるうちに地の文も読んでしまう……みたいな感じにできたら一番いいなと思ってた。そう思ってた割に、地の文多いのかもしれないんだけど……。地の文を書くのが好きだから、こればかりは許してくれ。

杏が買った服の感想聞くとこも、多分こんなに尺取る必要なかったと思うんだけど、楽しかったから書いてしまった。「似合う」しか言えない(言わない)冬弥はいるよな~と思うし、彰人が駆け込み寺になってるのも書きたかったし。

ここでめちゃくちゃ気に入ってるのは、杏からライダースを「どう?」と聞かれた際の冬弥と彰人の視線の違い。マジで好きすぎる。冬弥はライダースだけを見て判断してるんだけど、彰人はそれ以外の髪やネイルやメイクやピアスを総合的に見て判断してるんですよ。マジで……好きすぎる……我ながらここ大好きすぎる。けど「悪くない」しか言わない東雲彰人お前お前お前!! となるし、ここ書けただけでもめんどくさがらず省略しないでよかったなと思える。

服の話から今度一緒に春服見に行こうの話をやって、ピーナッツ食べるハムスターをやって、酒馬鹿の話につなげる。この辺は特に意図はなく、4人の雑談を読んでもらおう~と思ってたくらい。

酒馬鹿するビ、ず~~~~っと見たいよ~~~!!!! と叫んでたので、今回その一端を書けたのは非常に満足している。ぼくの酒馬鹿経験が浅いため、サブマリンていう分かりやすいものにしてしまった。ほんとはダーツバーで負けた方がテキーラショット2杯飲むとかのほうがよかったのかな~とか思うけど。流石にそこまで労力を割けなかった……。

で、そこから4人の現状の説明。一人暮らしをしている話とか、杏と彰人が何してるのかとか。この辺は概ね「テネシーハニー」のときと変えてない。強いて変えたところといえば杏が「2号店の一店員」と、今回明記したとこくらいかな? と思う。流石に責任者は無理あるよな~と思ってしまったので。

4人で集まって雑魚寝してるの、マジでずっと「見たいよ~~~!!!」って言ってたことなので、書けて本当によかった……と思っている。

冬弥の家に到着して、冬弥の部屋には4人で出かけたときに撮った写真が飾られてる。これはSDSCで撮った写真をくれないか? と冬弥がこはねに頼んでたのがすごく好きだからいれた。ほんと~~に好き。ミライの歌詞を少し絡められたとこもよかったと思う。

で、全国ツアーの話。ここは説明ターン。

ここ、全国ツアーは1年半後って書いたんだけど、実際はどうなんだろうね? もっと前から準備してる気がする。イベント企画警察(弓道警察の亜種)に見つかったら指摘されちゃうんだろうな~と思ったんだけど、話の都合上2年以上先にもできず、まあ1年半後でいいか……と決め打ちしてしまった。全国ツアーの形態は去年のCreepy Nutsのツアー内容を参考にした。全国8都市で、最後の公演が横浜アリーナってところ。今の日本で一番有名と言っても過言ではないヒップホップアーティストがCreepy Nutsだと思ってるので、そんな彼らと同じくらいのレベルに二十歳のビがなってるといいな、という願望。

あ、あと瓶の蓋を開けられないこはねと、それを横取りして勝手に開ける彰人というのをようやく書けたのもめちゃ嬉しいな~と思う。

そこからまた酒馬鹿に移り、こはねが一人生き残るところ。完全に趣味だけど、こはねが一番酒強いと嬉しい、それだけ。これは再三言ってるけど、酒の強さなんて体質でしかなくて、解釈が挟まる余地がないので、趣味で決めていい部分だと思ってる。ので、こはねが最強だと嬉しいな~くらいの気持ち。

余談。「解釈が挟まる余地がない」について。現実において酒の強い弱いってほんとに人によりけりで「強そうに見えて強い」「強そうに見えて弱い」「弱そうに見えて強い」「弱そうに見えて弱い」がいるから、「こういうタイプの性格の人間は酒が強い」とか言えないと思ってる。強い弱いは体質でしかないな~と思うから、趣味で決めていい部分だな、と思ってる。慣れてる慣れてないは解釈があると思うけど。私の中のビは、みんな酒にはある程度慣れてて、ある程度遊びで馬鹿なことできる程度には強く、こはねが最強だと嬉しい。そんな感じ。

話を戻して。そこから、ベランダで朝日を見るこはねのターン。伝説超えをしたこともここで説明。

ここはプロット段階では予定してなかったんだけど、書きたくなったからいれた。「宣誓、僕たち」の中でもかなり気に入ってる部分。

早いもので、部屋に横たわっている三人との付き合いが、こはねの人生の四分の一を占めるものとなっている。それがこの先、三分の一になり、二分の一となっていくのだろう。確信めいた予感が、こはねにはあった。

マジでいい。なんかこう、じわじわ泣きそうになってしまう。この先Vivid BAD SQUADの4人がずっと共にあってくれるんだろうな、というのを感じられて、嬉しくなってしまう。

そんでこの章の締めに「八畳一間の空間でオールからの雑魚寝しても何も過ちが起きることのないビが一番好き!」というやつを入れた。本当にそういうビが一番好きだから。

この先もずっと、僕らはそうあるのだろう。全員が無条件に、無根拠に、しかし強固な信頼を持って、そう信じている。

ここもめちゃくちゃ気に入ってる、よすぎる~~。自画自賛しちゃう。あまりにもいいので。

四人と分岐点

書いたのは「二 セカイと想い」よりこっちが先だった。「セカイと想い」についてはプロット段階ではこはねのターンの後にいれる予定だったので。

ここは大河がビに誘いをかけるとこは決まってたので、そこに行き着くまでを自然に書けたらいいかな~と思って書いてた。開店イベントに呼ばれたビ。そこでも酒を飲む。

店長がやってきて、好意からくる行動をうまく流せない冬弥とこはね、というのを見れて面白かった。店長が「青柳くん、小豆沢さん」呼びなのに、彰人と杏に対しては「彰人くん、杏ちゃん」なのいいよね~と思っている。店長が距離感を弁えてる感じもいいし、杏と彰人が懐に潜り込んでる感じも出てて、いいなと思う。

リカってネームドを出したのは、後の杏パートの布石。ここ、彰人が勝手に内心で納得してんのめちゃくちゃ好きすぎる。私の好きな東雲彰人すぎる。最高。

「杏さん」「青柳さん」「彰人さん」「こはねちゃん」なのも、個人的に気に入ってるポイント。そう呼ばれてることが多いといいな~っていう願望。

そこから戻ってきて、今のVivid BAD SQUADがビビッドストリートでどういう立ち位置になってるかの話。ここは書かなくてもよかったのかな~と今となっては思う……結局拾いきれなかったな~と……。でも話の流れとしてそうなっちゃったから説明しないわけにもいかないしな~と思って削ることもできず。

そして大河登場。登場させるの難しかった~。どうやってざわつきを発生させればいいのかあんまり分かってなかった。いや、ざわつき自体は発生するんだけど、それをどう描写して「ざわついてますよ」と示せばいいのかがあんまりわかってなかった。

で、大河から突然の誘い。ここでブツ切り。

彰人と役割

「セカイと想い」を書いたのはこの「彰人と役割」のあと。彰人の話を書くにあたって、「今の4人にとってアメリカという未知の舞台がどれだけ魅力的なものか、また、どうして行きたいのか」に説得力をもたせるには「セカイと想い」を先に配置しておかないと中々納得してもらえないかな、と思って、プロット段階の順番から変えて、最終的に2章に配置することになった。この話は後述。

ビビッドストリートのカフェでチーズケーキ食べながら、大河の誘いの回想。もっと端折ることはできたと思うんだけど、まあこれくらいは書かないとな……と思って書いた。で、BBYのときは大河の楽曲再生回数が5億だったけど、それから時間も経ってるわけだし、10億くらいにしておくか~と思って数を設定した。YouTubeの動画再生回数ランキングみたいなの見る限り、10億いけば相当だと思ったから。あと、めちゃくちゃ有名な歌手でも全部の曲が10億いくわけじゃなくて、その中の代表曲が10億超える感じだったので、「代名詞と呼ばれる曲」に限って10億、って設定した。

アルバムの発売日と期日は、現実味がないかもしれないし、もしアメリカの音楽レーベル警察がいたらなんか言われるかもしれんな~とは思ったけど、まあそういう話ってことで飲みこんでくれ! と思って決め打ちで設定した。

で、現在の彰人に戻る。彰人が一人で思考を回すパートからの新の登場。新と彰人の会話、書いてて楽しすぎた~~~!!! 「言葉の裏を読まないといけない相手との会話が嫌いな彰人」好きすぎ……。でもあんまり「嫌い」って連呼して、読み手に「彰人は新のこと嫌いなんだ」と思われるのも嫌だったので、本気の嫌いじゃないよっていう説明を入れた。いや、彰人からしたら「嫌い」は「嫌い」なんだけど、心の底からの「嫌い」ではないんだよな~みたいな塩梅を説明できてたらいいな、と思う。

ここで新を登場させたのは、彰人との会話が見たかったからという理由がひとつ。それと、海外で修行した人間の話を聞くため、という理由がある。

新の海外修行期間、年齢と白石謙の発言とRAD WEEKENDの時期とかと鑑みると時系列がおかしいよね? という問題はあるんだけど、それはこちらではどうしようもないので、考えないことにした。

「最後に勝ったのはオレ達だろ。都合悪いとこだけ忘れんな」

ここでフォークを新に向ける彰人、行儀が悪くて大好きだし、ここからの彰人と新の一連の会話が好きすぎる。ここは少年漫画をめちゃくちゃ意識してた。少年漫画でよくある主人公とライバルが〇勝△敗(馬鹿の数字)ってやつが好きだから……。

で、新が「俺の知ってるVivid BAD SQUADは、迷わずアメリカに行く。勝手だけど、そう思ってたんだよね」って言う。

今ふり返ると、この話は全体を通して「第三者がVivid BAD SQUADをどんな存在として見ているのか」の話でもあるんだな~と思う。

で、セカイのターン。リンレン出すのは決めてて、ミクは全員と対話してもらおうと思ってたので、出てきてもらった。ビミクと彰人の会話が大好きだし、リンレンに振り回される彰人が好きすぎるよ~~~。

ほんとは彰人がcrase caféでウィスキー飲む担当になる予定だったんだけど、リンレンいるし、あの高架下行ってほしいし、彰人がウィスキー飲むタイミングなくなっちゃったな……となった(なのでその出番は杏が担当することに)

リンレンミク彰人の会話を回すのは、ルカイトの会話よりかは楽だったような記憶がある。(というかルカはわりと楽に台詞を書けたんだけど、カイトがアホ難しかった)

で、彰人がリンレンミクの言葉を受けて、自分の意見を変えるところ。ほんと~~に、今まで書いてきたどの創作物にも言えるんだけど、「意識を変える、意見を変える瞬間」みたいなものを書くの、難しすぎる……と思ってる。はじめに持ってた意見のほうが現実的で真っ当な考えであればあるほど、それを覆すのって難しい。意見を変えたことを読み手に納得させるのって難しい~……。この話は最終的に「全部を諦めないウルトラCの選択肢」に行き着くからそんなに考えなくてもいいっちゃいいんだけど。

でも、読み手が読み進める段階では「ウルトラCの選択肢」がまだ出てないわけで。だから読んでて「え?あんなに悩んでたのにほんとにアメリカ行き決めちゃうの?大丈夫なの?」と思われちゃうかなあ……と思ってた。

それはそれとして、自分の役割を勘違いしている東雲彰人は大好きだし、「え? 違くない?」って言ってくれるリンレンミク、最高~~と思っている。

あと、私が書く東雲彰人は明言を避ける傾向にあり、それがここの最終的な結論のとこでも表れている。「アメリカ行きを選ぶ」とミク達に明言せず、「そのあとどうするのか考える」と間接的に伝えてくる。

それで最後!!

――土下座で済めばいいんだけどな。

よくない!!!!!!!(大好き!!!!!!)マジで大好きすぎる。

まったく、たまったものじゃない。損な役回りにもほどがある。

そう思うなら土下座すんな!!!!! となる。土下座くらいならいくらでもできる東雲彰人が好きすぎるし、損な役回りだとか思いながらもそうする必要に駆られたら真っ先に土下座してくれるお前が、好きだ…………。すきすぎる、、、、、、この辺はかなりお気に入りポイント。お気に入りポイントが多い。

セカイと想い

彰人の話を書いてる途中で、「これ、どうして4人がアメリカを魅力に感じるのかを先に説明しておかないといけないな」と思って、「セカイと想い」のパートを先に書くことにした。このパートを先にやっておかないと「でもアメリカなんて行かなくてもよくない? 日本で満足しなよ」と読み手に思われちゃうかな~と思ったので。「伝説超えをした4人は、その後何を目標に走っているのか」を先に説明しておくと、そのあと読む彰人パートからの話で「4人はもっと大きな世界を知ってもっと最高のイベントをやるために今活動している」と読み手がわかった上でアメリカという未知の場所がでてくるので、どれほどアメリカ行きが魅力的かが伝わりやすいかな~と思って。

ここはめちゃくちゃ書くの苦労した……。何が苦労したかって、こはねが駄々をこねるところ。

ニゴミク初期星3とかで語られてるんだけど、セカイはたとえ想いの持ち主が消えてもなくならないらしいです。だから、夢を叶えてもセカイがなくなることはないんだろうなと思う。けど、行けなくなる。「行けなくなる」とは明言されてないし、多分プロセカの方では伝説超えしても特に変わらずセカイに行けちゃうんだろうな、と思ってる。でも、公式でやらないだろうなと思うからこそ、見たいと思った。

夢を叶えたらセカイに来れなくなるのでは? と気づく4人(主にこはね)が見たかった。だって普通考えるでしょと思うから……。見たかったが、書くのはものすごく難しかった!!! 「嫌だ!」と言ってる人間を納得させるの、難しすぎる……。こはね以外の3人はセカイの思い出よりも歌の思い出の量が多いからなんとか納得してくれるんだけど、こはねだけは同じだけの歴史を持ってるから……ということにして、対象をこはね1人に絞った。(4人全員に駄々をこねられると本当に面倒なので……という作劇上の理由もある)

で、こはねも馬鹿じゃないから、無理だと言われたらそれを飲みこむことはできると思った。ただずっと「嫌だ嫌だ!」って言ってるわけじゃなくて、「夢を諦められない、けど、この気持ちをどうすればいいのかわからない」みたいな感じにした。この辺かなり雰囲気で圧してしまってる感じがある。ビミクさんに頼りまくり。

その表情は、ミクとこはねが出会ってから今に至るまで、一度だって見たことのない顔だった。

ここでビミクさんの表情を明記しなかったのはわざと。明記しないことで読み手に自由に表情を想像してもらいたいな、と思って。そういうのができるのが小説のいいところかなと思うので。

わんわん泣くこはね。今まで杏を3回ほど泣かせてきたけど、こはねを泣かせるのは初めてだな~と思った。最終的な落としどころが泣くことなの、どうなんだよ~と思うんだけど、だってどうしようもなかったんだよ……逆にどうすればよかったんだろうな……わからん……。この辺について読み手から「雰囲気でゴリ押そうとしてんな!」と思われても仕方ねえ~~!! と開き直って書いてた。

「円満な永遠の別れ」のストックがデジモンアドベンチャー無印とおジャ魔女どれみくらいしかなくて、おジャ魔女どれみは最終回で主人公のどれみが別れが嫌すぎてMAHO堂(という場所)に立てこもり、そこにクラスメイトとか今まで登場したキャラクター全員が押し寄せて説得してどれみがMAHO堂から出てきて終わるんですが、それで納得できるのはアニメって媒体だからなんだよな~と思うし、これを小説でやるの難しすぎた……。

最後の別れのパートはどれも気に入ってる。これは完全にデジモンアドベンチャー無印最終回を意識してた。パートナーデジモンと選ばれし子供たちがそれぞれのペアらしい別れ方をしているのが大好きなので。

冬弥とルカイトのさっぱりしてる感じも好きだし、彰人とリンレンは言わずもがな好きだし。杏メイコもこはねミクもよかったな、と思う。彰人とリンレン、あからさまに会話量多いのは贔屓かもしれない……プレゼントのくだりやったら伸びてしまって……。

「レン、リン。ありがとな。――お前らと出会えて、よかった」

柔らかく、暖かく、彰人が笑う。こんな表情の彰人を、二人は見たことがなかった。

こはちゃんと言葉にしてお礼を伝える彰人。彰人はユニストのときもちゃんとバチャに「ありがとな」と言ってるので、言わないと義理が通せないと思ってるときはちゃんと言う人だと思ってる。あと「時々びっくりするくらい素直」っていうリリック東雲後編もあるし。

最後に泣き出すリンレン可愛すぎるし、二人の頭を撫でる東雲彰人は許せない、、、、、ズルい、、、、ズルすぎるだろ!!!!!!!!!!!

別れの会話はメイコと杏、こはねとミクにした。個人的に人間バチャの対応としては、メイコとこはね、杏とミクのほうが好きではあるんだけど、最後の別れだからこはねとミクで対話してほしかったんだよな~というのがあるので。結果としてよかったなと思ってる。

杏とメイコの会話で「いつか自分の店を持ちたい」と話す杏が出てきて、「あ、これUntitledに繋がるな~」と思ったし。ミクにアルバムを渡すこはねもいいし。こはねとミクの会話はかなり地の文が少ないんだけど、それがなんかいい塩梅になったかな? と思ってる。うん、多分。

そこから、翌日。伝説超えしたけどセカイに行けてしまう4人。ミクとの再会。呆気ないけど、でもやっぱり嬉しいな~と思った。

そんな疑問が浮かぶ中、

「……あれ、昨日ぶりだね、皆」

そう、声がした。

ここはどう描写しようか結構悩んだ。せっかくの再会描写だし、ちゃんと劇的に書きたいなと思ってたので。最終的に採用されたこの形式が一番いいなと思ってる。

そこから、どうしてセカイに来れたんだろう? の話。「最高のイベントをやりたい」というのが本当の想いだけど、それは1回だけとは限らないんじゃない? という流れに。私はVivid BAD SQUADに対して、伝説の夜を越えても走り続けてもらいたいと思ってるので。

そこから、バチャシンとの再会。ここのバチャシン5人の台詞、短いのに考えるの苦労した……端的に誰が話してるかを台詞で表さないといけなかったので。

「セカイと想い」、書くのめちゃくちゃ難しかったけど、書けてよかったな~と思う。やっぱり「伝説の夜を越えたらセカイに行けなくなってしまうのでは?」と気づく4人が見たかったし、最後の別れをするところも見たかったし、再会するとこも見たかったから。

冬弥と普通

これ、プロットの段階では「冬弥と現実」とかにしようかな~と考えてたんだけど、書いてて「あ、これは「普通」って単語がキーになる話なんだな」と気づいたので、それに変えた。

彰人のパートは「現実」→「セカイ」の流れだったんだけど、全員その流れにするのもつまらないと思ったので、冬弥は「セカイ」→「現実」の流れにしよう、と決めた。話の流れとしても、後に父の説得がくるほうが都合がよかったので。

冬弥のパートが結果として一番長くなったことに驚いている。彰人パートが16000字くらいなんだけど、「まあ大河からの条件説明もやらなきゃいけないパートだし、推しだからこの文字数になったのかな~」とか思ってたら余裕で冬弥パートが越えていった、20000字くらいあります冬弥パート。

ルカイトと冬弥の絡みも好きだし、ビミクと冬弥の絡みも好き~。最初にカイトがサイフォン使いだしたものだからその仕組みを調べて使い方を調べて……というのに時間を取られてしまった。だってサイフォン似合うと思ったから……。メイコの初期星3特訓前はドリップ式だったから、やるならカイトかな~と思ったし……。

で、ミクがやってきて、相談のターン。いうほど冬弥は相談してなくて、これから父のとこに行くんだけど気分が重くて~という程度のもの。だからざっくり説明して、雑談して、って感じだった。

ルカイトの絡み、こんなんでいいのか? 俺が見たいだけの二人の会話だな……みたいなことを考えながら書いてた。私が見たいものを書いてるのだからいいのだ!!!(言い聞かせ)

冬弥がこのセカイに来たから気分が軽くなった、というのはなんかこじつけっぽいかなあと思ってたんだけど、ノクターン冬弥前編とかそんな感じだったしいけるかな、と思った。ノクターン冬弥前編は冬弥が父のCDをcrase caféに持っていって皆で聴く話です。こっちに来て聴けてよかったと思う冬弥がいます。なので、少なからず冬弥にとってセカイに来て会話をすることは気分を和らげることができるんだな、と思ってそんな感じになった。

で、現実に戻る。

家に行くまでの道で「自分の家が普通じゃない」ことについて冬弥が考える。ここ、こんなに書くつもりなかったんだけど、「大学生一人暮らしあるある」みたいなことを書きたかったのもあると思う。結果としてこの地の文があることにより冬弥が「普通じゃない」環境で育ってきたことが描写することができたので、この後の展開を踏まえるといい布石になったかな、と思う。

家について、母との会話。冬弥の母、「お父様」とか呼ぶし、どういう口調にすればいいんだよ~~!?!?と悩みまくった。春道のほうは割とするっといけるんだけど、母……難しかったな……。コーヒーメーカー使えるのか心配するあたりも、なんというか親子あるあるかなみたいな感じでいれた。

そこからちょこっと冬杏パートが入る。二人で家電量販店行ったエピ。おそらく入れる必要はなかったんだが、見たかったから書いた。

ようやく父と対峙。父が冬弥の予想に反してすんなり受け入れてくる、ていうのは最初から決めてた。

でもそれは別に青柳春道が優しいからとかではないから!!! というのを強く主張した。別にあの人は優しいわけではなくて、ただただ音楽家であるだけなので……。これで青柳春道が優しいみたいになったら、冬弥が苦しんでいた時間は何だったんだってなっちゃうと思うから。安易に青柳春道を善人にするのに抵抗がある。でも別に悪人でもないんだよな……とんでもなく音楽人でクラシックを愛してるだけなので……。みたいな塩梅を書けてたらいいなと思う。でも私は青柳春道が自らあの(春道から見たら)汚い街に足を運び、冬弥の歌を聴きに来たことはすごいと思ってる。「理解はできなかった」けど、「理解しようと思って足を動かした」ことは事実なので。

だからこそのニューヨークの弁護士。下の兄がニューヨークにいるってノクターンで話してたし、知り合いの弁護士の1人や2人、春道レベルの人間ならいてもおかしくないしな~と思ったので。

で、春道もウィーンの音大行ってたから、そのときどうしたんですか? という質問。そこから、冬弥と父の対話で一番やりたかったところ。父はストリート音楽のことは理解してないけど、ノクターンを経て「冬弥がその音楽を何よりも大切だと思っている」ことは理解できるようになったと思ってます。だからその辺を話してもらってる感じになってる。

余談。「おい、何をそんな腑抜けた顔をしているんだ」のところ、最初は「おい、何をそんなしょぼくれた顔をしているんだ」だったんだけど、春道絶対「しょぼくれた」とか言わないよな……と思って、適切な類語ないかな~と思って調べた。

最後の「慣れるまで夜には行くな。治安が悪すぎる」も、台詞として気に入ってる。面と向かって言わないあたりが春道お前……案件なんだけど、まあこのくらいの距離感だよな~っていう。

なんかいい感じの話になった……と、思う!

杏と街

「宣誓、僕たち」を書く上でおそらく最大の難所がここだった気がする。どうだろ、こはねのパートかもしれん。「セカイと想い」の序盤のこはねの駄々こねるとこもキツかった気がするし……。

彰人が「現実」→「セカイ」、冬弥が「セカイ」→「現実」ときて、杏はどうしようかな、と考えた。(プロットの段階で決めてなかった)で、後のこはねパートを「現実」→「セカイ」にしたかったので、杏の方を「セカイ」→「現実」の流れにすることに。

で、杏はABイベからのBBYで「自身の悩みの言語化が苦手」みたいな側面があるな、と思ったので、セカイのターンはその悩みの言語化をして、そのあと現実のターンで遥に固定観念を壊してもらうことになった。

最初はミクとメイコの会話から。もう2回もバチャが「アメリカ!?」って驚くパートやってるから、同じことメイコでやるのもつまらないなと思って、事前にミクからメイコに話してもらうことにした。ここのミクとメイコの会話は全体的に気に入ってる。

「あら、勘?」

「うん、勘」

しれっとミクが答える。ほかに論拠はなかった。

「ミクの勘、当たるのよね……」

「そうかな?」

「どうかしらね。でも、今の話は当たっていてほしい勘だったわ」

「じゃあ、そういうことにした方がいいか」

「ええ、そうして頂戴」

ここの会話最高に好き。なんかわからないけど気に入ってる。

で、杏が来店。

ここの「杏の悩み」が……すごく難しかった……。端的に言うと「自分が有名になりすぎてカリスマとして扱われてるから街からいなくなったら悲しむ人がいるんじゃないか?」みたいな話なんだけど、それだと私が言いたいこととニュアンスが違うし……という感じで、説明するのがすごく難しかった。

私はビビッドストリートのカリスマシンガー白石杏が好きで、彼女に憧れて街に足を踏み入れる人、というのはこれから増えていくのだろうと思っていて。で、ユニスト序盤、こはねが店に来てそれを覚えてた杏と結び付けた。きっと若い女の子が少ないから杏がこはねのこと覚えてた側面があるだろうな~と思ってたので。女性人口少ないだろうな……と思うし、現実でもなおストリート音楽はマチズムの文化がないとは言い切れないので。白石杏というカリスマがいてくれるからこそ女性人口が増えると思うし、それに気づかない杏じゃないと思うし。そのあたりの話をしたかった。

暗い夜空に輝く、満天の星空のように。美しく、眩い。ビビッドストリートにおける白石杏は、そういう存在だ。

ここ、めちゃくちゃ美しい文章を書いてしまった……自画自賛。かなり気に入ってる一節。

あとはここでとうとう「セカイで酒を飲む人間」が書けたのはよかったな! と思う。セカイをオールカラオケ代わりに使うな……嘘、もっとたくさん使ってくれ……。

ウィスキーロック飲んだあとジントニックってどうなの? とは思った。思ったよ。普通逆じゃない? って。お酒警察に怒られるかも~と思ったけど、一杯目はどうしても「ウィスキーロック」じゃないと、ユニストを踏襲できないので……酒くらい好きな順番で飲ませろ!!! と、お酒警察に対しては叫んでおいた。

で、ミクとメイコと一緒に杏の悩みを言語化して、それが終わったタイミングでルカイト来店。

ちょっとでもいいからルカイトの出番を増やしたかった。メイコがこはねと杏パートで2回出るわけだから、ルカイトもリンレンも2回出番ほしいよな~と思って、ちょっとだけど出番入れた。

さらっとテキーラショット人数分なところとか、さらっとカイトが「勝負」をしようとしてるとことか、気に入ってる。この二人に影響されててほしい、ビの酒馬鹿は。

飲酒の話をいれるならミクとリンレンは歳をとらないから酒飲まないよ~の話をしないといけないと思ってたから、それもいれた。ここもずっと書きたいな~と思ってた人間とバチャの差だったから書けてよかったな、と思ってる。でもそれで終わらせるとしんみりしちゃうから、ルカイトいれて飲み比べの流れに持ち込めたのよかったな、と思う。

現実に戻り、WEEKEND GARAGE二号店。

働く杏の様子を描写して、店長との雑談も、おそらくあまり意味はないんだけど書いてしまった。多分こういうのをいちいち書いてるから文字数が増えるんだろうなあと思う。

で、早めに締めよう→遥と店先で鉢合わせる→店に招く、の流れに。

遥と杏、ビ内の組み合わせを除く、越境の組み合わせの中でかなり好きな組み合わせなので、書けてよかったな~と思う。この二人のさっぱりした会話が好きすぎる~。

雑に会話させても話が進んでくれるからここは結構楽だったと思う。遥に「事務所に入らないといけないと思ってたけどそれは違った」というエピもあるし、ここはわりとすんなり書けたな~と思う。「宣誓、僕たち」において、四人がそれぞれ対話する相手が新、春道、三田で、遥以外はサブキャラになってるから、この杏のターンは多分白石謙のほうが収まりがよかった気はしている。でも遥と杏の会話を私が見たかったからな……。カリスマとしての遥と杏にも触れられたし、よかったかな、と思う。

「――私なら、できる」

口にしてみて、ああ、私だな、と思う。『絶対にRAD WEEKENDを超えるイベントをやるんだ!』と、威勢よく宣言していた頃と同じ感覚があった。私は、白石杏は、そうでなくては。

ここ大好き。白石杏、本当にかっこいいなって思う。そんな白石杏が大好きだなって思いながら書いてた。

杏のパートは18000字くらい。ここは本当に「杏が何に悩んでいるのか」を伝えることに苦労したな~と思う。書くのが難しかった。最終的に「私が読んでこれで納得してるからいいか」で終わらせたし。

こはねと強欲

このサブタイトルはプロット初期から多分変わってない。トッピング増し増しの小豆沢こはねが大好きだから。

ビビッドストリートを歩いて過去を回想して、自分が変わったなあと実感するこはね。そして公園に行く。この公園をこはねが眺めてるのって何の意味があるんだろう? と思ってしまうんだけど、なんか見たかったんだよな……こはねに一人でビビッドストリートを歩いて過去を回想してほしかった。

その回想の中で彰こはパートが急に入ってくる。奢られるのに慣れてないこはねと、百円程度で……と思ってる彰人の交わらない会話が好きすぎるので突発的に書いてしまった。プロットでは予定されていなかった。

で、アメリカについて考えるターン。

そもそもなんで今まで4人はアメリカ行きを検討してなかったのか? という話や、「皆いろいろ知ってる体でアメリカの話進んでたけど、ちょっと説明しないとね」ということを書いた。アポロシアターも名前だけだして、読み手に「なんかわからないけど有名な場所なんだろうな」と思われてる状態かなと思ったので、どのように凄い場所なのかを説明。アマチュアナイトについてもここで説明。アマチュアナイト、本当にビのためにあるのか? みたいな仕組みをしててビビる。アマチュアナイトに出場してブーイング受けまくって箒で履きだされるビ、見たいよ~~。

色々調べてる情報が「4人だけで」アメリカに行くために必要な情報だということは、後から読み返すとわかる仕様に。

で、三田洸太郎登場。

杏のパート書いてるときくらいまで、こはねのパートにバチャ以外のキャラ出すか迷うな~出さなくても話は進められるんだよな~とか思ってたんだけど、やっぱり出したくなったから出した。

三田が登場したことで、地の文が三田目線に切り替えられたのはかなりよかったと思う。地の文が三田目線になることによって、読み手に「あ、今こはねはアメリカに行きたいけど悩んでるんだな」って誤認してもらうことができる……と思うから。できてたのかな? わからんな~、バレバレだったかもしれない。

あと、三田がこはねに敬語をやめろって言ってるのは完全に捏造でポンと思いついた話なんだけど、中々いいな、と思ってる。私の中にいる三田洸太郎「らしい」行動だな~みたいな。

しかも三田は他3人(新、春道、遥)と違って、直接的に対応する相手(三田の場合はこはね)に関わることはしない。この塩梅はかなり好きだな~と思っている。三田洸太郎に許された範囲での関わり方をしているな、と思う。

「――私、この誘いを、受けたくないんです」

で、読み手に「このまま大河の誘いに乗る流れかな?」と思わせておいて(思っててくれたかはわからない! 下手すぎてバレバレだったかもしれない!)3人とは逆の考えを言うこはね。ここで叙述トリック使ったのは、その方が物語として面白いかな、と思ったから。バレバレだったかもしれないんだけど……。

こはねのセカイパート入るにあたって、こはねと直接的に会話はしなかったんだけど(入れる余裕がなかった)リンレンを少し登場させた。何度も話してるけど、出番を均等にしたかったので。

ここは叙述トリックしないといけなかったので、悩みとかとは違う意味で苦労した……。こはねは一度も「アメリカに行きたくない」とは言ってなくて、「全部」にアメリカも含まれていて、でも最初に読むときはそこに気づけない感じにしたいな……と思いながら書いてた。

結果としてこはねの悩みは「我儘だから、子供だから、我慢しないといけない」というものになって。

ここはユニスト11話「扉を開く勇気を」をオマージュした流れにしよう、ていうのは決めてたので、その流れに持っていった。メイコが扉の話をして、ミクがこはねに本当の想いを聞くっていう流れ。

で、問題なのが、こはねの本当の想いを聞いたときのメイコとミクの反応。ここを読み手にどう読まれるのかな~というのは、結構悩んだ。

思いつくパターンとして「1.とりあえずミクもメイコもこはねのことを肯定したんだなと思い、読み進める」「2.作者(私)が力尽きて無理矢理話をまとめようとしたと思われる」「3.あ、これ叙述トリックかとバレる」なんだけど、どれが多かったんだろうな~と思う。叙述トリックは途中で気づくと気持ちよさがあるので3でも問題ないし、2でも問題ないと思ってる。むしろ2は支部小説あるあるだと思うので、私が力尽きて無理矢理まとめに入ってると誤認してもらえるかな~と狙ってた所もあるし。

そんな感じでこはねパート終了。長かった……。ようやく4人の話し合いのパートになった……と書いてて思った。

Vivid BAD SQUADの在り方

この「在り方」というのは、BBYミク後編が由来になってる。

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この一連の会話が、すごくすごく好きだった。4人はそれぞれ別の存在で、それぞれの「在り方」があって、さらに「Vivids」「BAD DOGS」の在り方があって、そして「Vivid BAD SQUADの在り方」もあるって話だったので。じゃあ、私はVivid BAD SQUADをどういう存在だと思ってるんだろう? と考えてできたのが、この「宣誓、僕たち」だなと思う。特にこの章は「Vivid BAD SQUADとはどういう存在なのか、どういう生態をしている生き物なのか」みたいなことを重視して書いたと思う。

あと、ここはとにかく小豆沢こはね!! という感じで書いた(?)

深夜に話し合いすることになった本当の理由は、最終的に朝焼けに照らされて歩くビが見たかったからです。

彰人、冬弥、杏がそれぞれ自分の考えを話す。ここはもう読み手は知ってる部分だからさくっと済ませようと思ってた。で、問題のこはねの発言。

そこに至るまでに「あれ、私、心折れてないな」って自分の欲深さに気づくこはね、めちゃくちゃいい~~予定してなかったけど書いてたら気づいてくれた。ありがたい~~。

「――私は、四人だけの力で、アメリカに行きたい。誰の力も借りずに、四人だけで」

ここから種明かし。こはねはアメリカ行きを諦めようとしていたわけじゃなく、ほんとに「全部」を諦めないでいようとしてた、という話に。これ予想してた人どれくらいいるんだろう……と思ってる。わからん。ここまで読み進めてくれる人なら、こはねの考えは予想可能な範疇ではある気がするし、どう……どうなんだろうな……? これに関しては分からないけど、「えっ!?」と驚く人がいてくれたらやったぜと思うし、「こはねはそうじゃないと」としたり顔している人がいてくれたら嬉しいし、「解釈違いだな」と思われたらそれまでです。どんまい。

もうここからは完全にブースト全開というか、私が考える最強のビを書くぞ!!!! という気持ちだった。小豆沢こはねは火付け役なんです……。

3人が徐々にこはねに乗せられていくところとか、最初にこはねの意見に乗るのが相棒の杏なところとか、この章は本当に書いてて楽しかった。

「こはね。――やるからには、本気でやるぞ」

険しい表情で、威圧するような低い声で、彰人は言った。けれど、こはねは動じない。昔のように、怖気づくことはない。この顔と声が、彰人が覚悟を示すときのものだと、今のこはねは知っている。

大好きパート。昔と今との対比が上手い事できたんじゃないかな、と思ってる。

その後の冬弥がこはねに覚悟を問うところからの、昔を思い出す流れも好きだなと思う。

で、「子供で構わない」の話。「宣誓、僕たち」を通して「4人は大人になった」という話をちょこちょこ繰り返してきたんだけど、それがなんだ! という流れに。彼らは大人になって様々な自由を手に入れたけど、だからといって物わかりがよくなったわけでもなければ、諦めが早くなったわけでもなくて。その部分はずっと子供で、少年と少女のままなんだ、という話。これは私がビにそうあってもらいたいという願望が入っている。

そして最後、話し合いを終わらせて朝焼けを浴びながら杏の家に向かうビ。店から出て杏の家に向かう際の4人の会話、ほんとにただの雑談なんだけど、めっちゃくちゃ気に入ってる。「うわ!!4人の会話だ!!」ってのが短いやりとりで分かる感じに書けたな、と思ってて、よかったと思う。

そこからは締めともいえるモノローグの応酬。

完全に少年漫画の努力友情勝利を意識して書いてた。というかこの章全体がそれを意識してた。敵は強い方が燃えるとか、楽な道があるのを分かっていても厳しい道を選ぶとかは、完全に少年漫画意識。Vivid BAD SQUADという存在がそういう「在り方」をしていると私は思ってるので、それを書きまくった。本当にこういうVivid BAD SQUADが大好きなんだ……。

あと、ここのモノローグにはForward、RAD DOGS、シネマの歌詞の要素を混ぜ込んだ。RSはもう全編通して書いてるので……ずっとReady Steadyの話はやってるから……。

ノローグの締めもサブタイトルと関連付けることができたし、いい感じでまとめられたな、と思う。

僕達は布告する

ここは2年間どうしてたのかを説明して、最後アメリカに挑むところで終わりにするパートとして用意してた。2000字くらいかなと思ってたんだけど、7000字くらい書いてる。なぜ? わからない。気づいたら増えてた。

空港で雑談しつつ2年間に何をしたかの説明をいれる。だけのはずだったんだが、なぜかここにBD要素が入ってしまった。なんか……書いてたら会話がそんな感じに進んでしまったんだ……。

「そうか? 俺としては、ワクワクしているつもりなんだが」

「ワクワク?」

ここ、最初書いてたときは手癖で「ワクワク? 全然わかんねえよ」って台詞を書いてた。けど、もう長い付き合いだし、それくらいの冬弥の表情変化なら彰人は分かるでしょ、と思ったから書き直して今の形になった。その後に続く年々彰人の扱いが上手くなってる冬弥のくだり、予定してなかったけどめちゃいい~と思ってる。冬弥が彰人のことをわかってるからこそ、彰人にできる範囲のことを要求して、できる範囲のことを求められてしまってるからこそ、彰人も分かったと頷くほかなくて、っていう。すごい好きだ、そんなBDが。

「宣誓、僕たち」は個人個人で悩んでバチャや第三者と絡んでいく話だったので、ビ内の関係性をめちゃくちゃ深堀りするみたいなことはあんまりしてないんだけど、そういう意味ではこの最後の章は相棒の章にしようと思っていた。あと、ここまで読んでくれた人への感謝としてのファンサをしようみたいな思いもあり、かなり相棒相棒のベタなことをしてる。やっぱり見たかったし。

バチャの様子を入れるっていうのはプロット段階では予定してなかった。けど、ここまで書いてきて最後に出さないのもなあと思ったから全員出した。それに、イベストやユニストでもこういう感じの流れで話が締められてるよな、と思ったので。リンレンがはしゃいだり、ルカイトが話したり。で、ミクとメイコで締めるっていう。ここのミクとメイコの会話も気に入ってる~。

で、場所が飛行機内になる。ここは相棒ターン。

まず余談。アメリカ行きの飛行機なのに機内アナウンスが英語じゃないんですか!? という飛行機警察と英語警察いるかな……と不安になったんだけど、小説でわざわざ英文とか書いてられるか! と思ったので日本語です。最後のタイムズスクエア前での4人の会話も、もうアメリカいるわけなので日本語じゃなくて英語で話してると思うんだけど、そんなの説明してられっか! と思ったので、英語警察にはお帰りいただくことに。ここで急に英語出てきても嫌だし、そのためだけにそれっぽい英文考えるのも難しすぎる……と思ったので。

機内の相棒ターンはまあ、書いたとおりというか。BDとVvを書きました。BDは出発前にもパートあるので短めで、Vvに少し尺を取る感じで。

そして最後、タイムズスクエア

ここの会話、短いけど中々決まりきらなくて悩んだ。でも悩んだおかげで納得いく台詞になったな~と思う。

Vivid BAD SQUADの旅路は、まだ、始まったばかり。

最後の一文は、うん、気に入ってる。最初は「Vivid BAD SQUADの旅路は、今、始まったばかり」だったんだけど、もう既に始まってはいるわけだから「今から」始まるわけじゃないよな~と思って、「まだ」になった。

Vivid BAD SQUADのある意味では最終回であり、けれど物語が終わるというわけではなく、第2期のプロローグになる話になったな、と思う。書ききれてよかった。

書いてて気をつけたこと

今回は会話文が多かったので、「」が続きすぎないように意識して地の文に台詞を混ぜた。

店長もまた嬉しそうに「ほんと助かるよ、売上も上々だし」と返した。

そう遥が話し、「そっか、ならよかった」と、杏が笑った。

みたいな感じで、特に短い台詞は地の文に混ぜ込む、というのを意識した。これは会話文だけ拾って読んでる人に向けてでもある。地の文に会話文を混ぜ込むことで、なんとなく地の文も読む……みたいになってくれたらいいなと思って。

あとは一文をなるべく短くすることも意識した。文字数としては一文が60字を超えないように気をつけた。長い文章って主語述語がわかりにくくなるし、読んでてリズムが悪くなる気がするから。どうしても長くなっちゃうときもあるんだけど。

ほかには二重否定をしないように気をつけた。たとえば「それがわからない杏じゃない」ってのは「杏はそれをわかる」で済むので。二重否定はどうしても使いたいとき以外は避けた。そうした理由は、二重否定って読んでてわかりにくいかな、と思うので。それだけの理由。癖で二重否定を書きがちなんだけど、それを普通の肯定文に直してた。

追記

書き上げてから、とてもありがたいことに感想を貰うなどした。めちゃくちゃ長いこの話を最後まで読み切ってくれただけでありがたい話なんだけど、感想を書いて貰えるなんて望外の嬉しさだなあと思う。本当に嬉しい。ありがとうございます。

貰った感想によって、こはねの選んだ選択肢に驚いてくれた人がいることを知れた。それを受け取って、あ、よかった驚いてくれたんだ、と安心した。狙った通りに読み進めてくれた人がいたことを確認できて、「よかった~」とひと安心。

私はよく「Vivid BAD SQUADは少年漫画」「四人全員が主人公」「努力・友情・勝利」って言ってるんだけど、今作の小豆沢こはねはまさに少年漫画の主人公してたな、と思う。

少年漫画の主人公って、たとえば「ずっと一緒に戦ってきた味方一人を犠牲にするか、大勢の民衆が犠牲になるか」みたいな二者択一を迫られたときに「そんなの嫌だ!どっちも救いたい!!どっちも諦めない選択肢を選ぶ!!」って駄々をこねがち、というのが私の中のイメージとしてある。戦隊モノのレッドとかもそういうイメージがある。

どちらかしか選べない究極の選択を求められたとき、第三の選択肢として「どちらも諦めない」を選べるのが主人公で、どれだけご都合主義的だとしても、その「どちらも諦めない」を達成できてしまうのが主人公という存在だと思ってる。

今回の小豆沢こはねはそれをかなり意識していた。小豆沢こはねはVivid BAD SQUADのリーダー枠として「ワーワーワールド」「群青讃歌」を歌っているわけなので、Vivid BAD SQUADは全員がそれぞれタイプの違う少年漫画の主人公だと思ってはいるんだけど、その中でも特に「主人公」らしさが一番あるのが小豆沢こはねだな、と思ってる。

あと小豆沢こはねはコーヒーにいつも違うトッピング(しかも色々乗せてる)人間で、エリア会話で冬弥からその事(トッピングをいつも変えてること)について「一番冒険心があるのは小豆沢かもしれないな」と言われている。これがすごく好きだ。たかがコーヒーのトッピングひとつで「冒険心が強い」とまで繋げてしまうのが些か強引かもしれないけど、凄く好きな繋げ方だった。小豆沢こはねが四人の中で一番冒険心が強いと、私がとても嬉しい。

あと、既に書いてるけど、修行だったり戦いだったりをするとき、楽な方か厳しい方を選ぶとして、厳しい方を選べるのが主人公だと思ってる。

たとえば全国大会のトーナメントで初戦に前回大会優勝の学校と当たってしまって「どうせ全員倒すんだからいつ当たろうと変わんねえよ」って言えるのが主人公だと思う。強い敵と当たって、その敵に勝った上で優勝したいと思うとか、楽な道を選ぼうとしないのが主人公だよな~と思ってる。

そういった私の中の「少年漫画の主人公像」が相まって、今回の話の小豆沢の選択ができた。この選択は、「私が考える“主人公らしい”選択」だったな、と思う。というこぼれ話。

まとめ

1年以上前から書きたいなと思っていた「Vivid BAD SQUADがアメリカ行きを決める話」を、ようやく書ききれてよかったなと思ってる。こんなに長くなるとは流石に思ってなかったんだけど……。前奏曲は9万字を2週間で書いてて、今回は12万字を5週間くらいかけて書いたので、やっぱり前奏曲のときのペースは頭おかしかったな……と思ったりもしている。

私が好きなVivid BAD SQUADのことを書けたな~と思うし、4人とバーチャルシンガーの関係性や、第三者と4人の関係性を書けて、とても満足してる。

Vivid BAD SQUADが大好き!!! という思いが読んでくれる人に少しでも伝わったらいいな、と思う。

【きらきらひかる】あとがき

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あとがき。「我往くは荒野」のときほど色々考えて書いてたわけではないんだけど、Twitterで垂れ流すには長いので。
この話は現状の青柳と白石でやりたいこと・見たいことを詰め込めたな……と思ってる。満足度が高い。
けっこう長い間青柳にまたピアノを弾いてほしいよ……という思いがあり、「四月は君の嘘」で主人公と女の子がきらきら星連弾してるのがめっちゃくちゃ好きで、「四月は君の嘘」を履修した二月辺りから青柳と東雲にピアノ連弾してほし~~と思っていた。
のだが、まあ機会もなく、今年の九月あたりになって、白石と青柳のほうが連弾できるのでは?という発想が思いついた。ノクターンで踏み込んだ白石と足踏みしていた東雲を鑑みて。青柳から一緒に弾こうというのはまだ想像つきにくかったから、東雲からピアノを聴きたいと言う事も中々ないだろうしなあ…でも白石ならいけるのでは……?もしやるなら白石杏のほうだよな~と思って。小豆沢は同じ学校ではないのでタイミングがなくてね……
それでこの間ふわーっと最初のほうの文章が思いついたので書きだしてみた。

なんかすごく難しかった~~~多分荒野とかリフティングのほうが書くの簡単だった気がする。
多分それはリフティングならこはねがリフティングやりたくなる話。荒野なら杏がBDのことを知ろうとする話。というように、最近書いたこの二つの話は0から始める話だった。
けど今回のきらきら星は青柳が弾かないとこから弾かせるとこにっていうマイナスからプラスにもってく話だったから難しかったんだと思う……

 

書き始めて、あーきらきら星なら東雲彰人より白石杏のほうが適役だな……とか思ってた。なぜなら白石杏自身が夜空に輝く星のような人であるから……私が白石杏の満天の星空のような髪がとても好きだから……きらきら星と白石杏の相性のよさ、いいじゃ~ん、となっていた。
書きだしたときは杏に図書室に迎えにいかせて、まあ色々会話してもらって青柳にピアノ弾いてもらうか~程度に考えてた。見切り発車がすごい……
音楽室のグランドピアノを最初は考えてたんだけど(映像として映えるので)、なんかそんな場所だとそもそも弾く前に「ここで勝手に弾いていいのか?」がでてきちゃうよな~と思って、音楽準備室が3つあってそこアップライトピアノが置かれてることにした。音楽準備室については私の中学にも高校にもあったから許してくれ……

私は白石杏さんのことを思いきりがいい人だと思っていて、けどデリカシーがないわけではなくて、気配りと踏み込みのバランスがすごくいい人だと思っていて、それが書けてたら……いいな……と思う。
白石杏さんが踏み込みを間違えたな~と個人的に思ってるのはユニスト15話で絶賛冬弥と疎遠中の彰人に対して「もしかして、ついに相棒に逃げられた~?」って言うシーン。あれ結構クリーンヒットだったよなあ……と思ってる。まあこのときはコンセント抜いたのを彰人だと思ってるときなので、嫌味も十分にあったとは思うけど。
東雲と白石の回想会話シーン、あんなに長くなるとはなあ……。私はノクターン白石サイスト前編で白石が自分の言動について「考えれば考えるほど軽率だったんじゃないかって思えてくる……!」って己の発言を省みてるシーンが本当に本当に好きなんですよね……
白石杏は思いきりがいい人であるし、人が躊躇ってしまう一歩を踏み出せる人でもあるんだけど、でも何も考えてないわけじゃないし、ちゃんと反省もする人だというのがわかるサイストだったので、本当に好きで……そこを書きました。
でも東雲は白石のあれらの行動を杏だからできたことで、杏が踏み込んでくれてよかったと思ってるだろうと(私は)思ってて、それを書いた。
今回、東雲と白石の回想会話は副次的に発生したものであって本題ではないんだけど、

冬弥の顔色が悪いだとか、杏の様子がおかしいとか。こはねが何かに悩んでいるだとか。そういう、三人がまだ言葉にしていない部分。ともすれば、本人さえ気づいていない不調までもを、取りこぼすことなく拾い、気にかけてくれるのが彰人だ。

この文章さ~~~~~~~~めちゃくちゃいいよね……自画自賛しちゃう……東雲彰人を語ろうと思ってなかったのについ語ってしまったよね……手が動いてた……私は東雲彰人が三人のことをよく見ていることが好きで……それはそれとして曖昧な質問されるとそれを読み取ることを中々しない人間だよなと思ってます……BBY報酬東雲後編とかまさにそんな感じだったよな~と思う。

白石杏は、それでいい

そしてこのフレーズにすべてが詰め込まれている……このフレーズに……。東雲彰人から白石杏に向けた眼差しが好きすぎて、荒野だけでは飽き足らずこっちにもねじ込んでしまった……
ノクターンでの白石のとった行動についての言及は今までしたことがなかったので、そこができたのもよかったな~と思っている。
最後軽口を叩いていつもの二人の空気に戻すのは大好きすぎて何度でもやってしまう……趣味です……

 

話は現在に戻り、冬弥に謝る杏のシーンから。ここ回想から一文で現在に戻すの難しくてどんな文ならするっと戻れるかなー?とか結構考えてた。
杏が謝って、青柳もそれに謝って、気まずくなって。えーここからピアノ弾いてもらうまでにどうもっていけば……?とか思ってた。
だって杏は悪いことしちゃったと思ってるわけだから、ここで強引に弾いてよ!に移るのは違くないか?と思って、だからきっかけづくりとして「ピアノ弾くの嫌だった?」になった。

それと、クラシックについて杏が踏み込めてしまった理由がCDショップの杏と冬弥のエリア会話由来なんですよというのを入れた。あのエリア会話が単に好きなのと、あの会話見たとき結構驚きがあったんですよね。白石杏はクラシックのこと青柳に踏み込めるんだ……という驚きと、青柳もそれに興味示すんだ……という驚き。だからこそ杏が今踏み込めてしまったわけなんだよ、という説明をした。
いつまでたっても杏が一言一言悩むのはちょっとテンポが悪いので、『踏み込みすぎているかもしれない。それは、もう一歩目を踏み出してしまった杏には効かない。』で、その話はもう終わりですよ~にした。だってこのとき杏には冬弥がピアノを弾きたそうにしているように見えてるので。そう見えてしまってるからこそ言わずにはいられなかった、という感じに。

いろいろ冬弥と会話していきながら、冬弥の感情を紐解いていく。ここで難しかったな~というのは、地の文の目線。最初のほうは杏を目線として地の文が語られてるんだけど、ゆるゆると冬弥目線に移していくのが難しかったしめんどくさかった。
それと、とにかく廊下から場所を移さないと……と思って、ゆるゆると場所を音楽準備室へと移しつつ話を続けていく。
エリア会話でビミクさんからピアノ聴かせてよって言われたときの青柳の回答が、私としてはそれは答えてないよな~とずっと思っていて、そこを交えていった。聴くに堪えない演奏になってしまう、に対してビミクさんは「つまり、弾きたくない?」と返して、青柳は「……すまない」と返してる。
杏はビミクさんと紐づけの強いキャラクターだよな~と思っており、けど別々の存在でもあるので、同じ質問(ピアノ弾いてよ)をするけど、青柳から返ってきた答えに対しては少しだけ違う反応をする、というようにした。
弾くのが嫌なわけじゃないの?上手く弾けるなら弾くってこと?上手くないと弾いちゃだめなの?という流れに。
多分青柳自身のハードルがめちゃくちゃ高くて、そう言い聞かせられて育ってきたから「上手く弾かないと聴かせられない」という強迫観念みたいなものがあるんだろうな、と思って、そこを杏に破ってもらう形になった。

そこから初期星2冬弥後編の話。
路上のバイオリン聞いて気分が悪くなってたやつ。めちゃくちゃ青柳の繊細さを表すエピソードとして好きなんだけど、それを見ていた杏はどう感じてたのかな~という。このときの杏はまだ冬弥と父のことをノクターンのときほど深く知らないので、その視線から見たらどうだったか、という話。下手なバイオリンを聞いてバイオリンの負担も大きい…って思いながら気分悪くしてるのって、(父のことなどを思い出すからというのがあったにせよ)バイオリンのこと大切に思ってるよな~と思う。

で、ここから序盤で出した「冬弥の感情はわかりにくい。杏はそう思っている。」の文章の天丼。
私は青柳と白石の「冬弥に教えてもらったカフェにこはねと行ったよ!ラムレーズンアイスがあるカフェって珍しいよね。しかもすっごく美味しいし!」のエリア会話が好きで。冬弥に教えてもらったカフェに行った報告をする杏に対して、「そうか」と返すだけの青柳なんだけど、白石が(あ……たぶんだけど、嬉しそう?)って気づくのがすごく好きで、そうやって白石だって青柳の感情の機微を拾えるようになっていくんだな……と思っていて、チームを組んでからの二人の親密さの進歩というか……理解度の深まり?みたいなものを書きたかった。

杏がさらっとピアノの鍵盤を叩いてみて、その音が綺麗だと思ったことに驚く青柳。からの、音楽が苦手だった話。
序盤でさらっと書いておいた杏は芸術の選択を音楽にしてる話をここでまたもってきて、青柳は入学時だと音楽選択してないだろうなあ……と思っているので書道にした。
まあ小学生のときも中学のときも青柳は耳がいいからこそ音楽の授業苦しかっただろうな~と思っており、学校のピアノにいい印象を持ってないだろうなとも思っており、それらを記述した。
そこから杏がきらきら星を弾きはじめるわけなんだけど、今回の話、「杏ひとり」「杏と冬弥の連弾」「冬弥ひとり」で計三回きらきら星を弾いてるカウントしてるんだけど、こんな弾くことになるとは思ってなかった……なんか流れでどうにかならないかな~と思ってたら三回も弾くことになっちゃった……一回ですぐ連弾して終わり!になるならそれに越したことはなかったんだけど……

 

きらきら星を杏が一人で弾きはじめた辺りから、めちゃくちゃモーツァルトのきらきら星を聞きまくってた。モーツァルトのきらきら星を聞いて、今回アレンジ版として参考にした角野隼人さんのきらきら星を見つけて、Adoさんがきらきら星歌ってるのも見つけて、という感じで色々見つけた。
杏が一人で弾くところは小節ごとに区切ってちょっとずつ違う話題にナチュラルに動かせていったからそこはよかったな~と思ってる。「ド、ド、ソ、ソ、ラ、ラ、ソ」が話の内容を少しずつ区切る役割を果たしてくれてる。(って書きながら気づいてた)
彰人だとここまで踏み込むことはできなくて、それは中学時代の青柳がクラシックに苦しんでた部分を見ている割合が大きいからで、でも白石は知らないからこそ踏み込んでくれる、というのを書いた。この話において、この役回りは東雲ではなく白石じゃないとできないんですよ、という必然性を提示しておきたかったんだと思う。

一緒に弾いてくれないか?と青柳が頼むところ、描写がめちゃくちゃ難しくてこの辺文章の密度少ないわりに悩んだ……やっぱり人間が自分の意見や考えを変える瞬間を描写するの、難しいよ~~~~と思ってる、本当に。
きらきら星の連弾、青柳は両手を使ってもらってもよかったんだけど、一回目で白石が弾いている鍵盤のポジションってきっと真ん中の音階だろうから、杏の場所を動かすの難しいし、とりあえず片手で杏の右側に立って高音で装飾してもらうか~になった。
真面目な話を持ち出すと、杏が弾いてるドドソソララソ~だけだとどうしても本来の変奏曲ほどの華やかさは出せないよな~と思ってはいた。「四月は君の噓」でも主人公と連弾してる女の子はちゃんと変奏曲の伴奏をしてるし。だけど、そんな細かいとこ気にする人もいないかな、というのと、そこをあえて説明しちゃうのも野暮だよな~と思って書かないことにした。あと青柳のピアノを魅せるように書けば流してくれるだろうとも。でもピアノの上手さって本当に描写するのが難しくて苦しかった……
ピアノを題材にした小説、「蜜蜂と遠雷」とか「羊と鋼の森」とか色々あるので、それを読みつつ、いいなと思った表現を使わせてもらいつつ書いた。「なんかわからないけど上手いことはわかる」って感じになってたらいいなあ……
きらきら星変奏曲くらいの難易度で世界レベルの春道の息子なら5歳くらいまでにはやってそうだよなあ……と思ってその辺の説明。きらきら星変奏曲の面白いところは変奏ごとに特徴が違っていて、それぞれがちゃんと違う曲になってるとこだと思っていて、その辺を書いた。

連弾終わる辺りでやっぱり青柳のソロでの演奏も聴きたいよな~と思ってしまって、三回目のきらきら星の流れになった。
まさかAdoさんが童謡のきらきら星を歌ってるとは思わなかったので見つけたときは驚いたんだけど、Adoさんはわりとジェナさんと声質近いよな~と思ってるというのもあり、いい参考になった。
実力の高い演奏家は座るだけで絵になる、楽器を構えるだけで絵になる、と思ってるので、それをいれて。
変奏曲がある時点で、青柳のアレンジが聴きたいなと思ってた。でもそれを父は許さなかっただろうな~とも。それで、青柳が白石の髪とピアスを見て、白石のようなきらきら星を弾こう。になり、ソロ演奏開始。
角野さんがアレンジしたきらきら星を聴いてると、レベル5~7あたりのきらきら星がなんかすごいバチバチに輝きまくってる星に聞こえてきて、そのイメージで書いた。
あと白石基準では絶対にわからないだろうけど青柳基準だと「聴くに堪えない」部分も絶対にあるだろうなと思ってて、それをいれた。まあ三年以上触ってなくてすぐ昔と同じように弾けるのもおかしな話だよな~と思ったので。片手のときは緊張とかが先に立っていて気にならなかったけどいざ両手で自分のアレンジで弾きはじめると流石に気になる、という塩梅に。

この曲の終わりは、クレッシェンドに決まってる。和音とスケールを組み合わせて、星のきらめきを奏でていく。その旋律は、豪華で派手で、とにかくうるさい。様々な音が重なり合って、激しさを増していく。これは多分、クラシックとは言いがたい。
それでいい。白石のようなきらきら星は、そうでなければ。
俺達が愛している音楽は、そういう音楽なのだから。

この辺りのクライマックスはすごく気に入ってる。

めちゃくちゃ細かいことをいうと「クラシック」って音楽ジャンルの定義は17世紀から19世紀の約400年にかけて作られた西洋の音楽のことを指してて、つまり年代で定義づけがされてるだけなんですよね。なので今作る曲がどれだけ「クラシック」ぽい曲でも、定義自体は年代によるものなのでそれはクラシックとは言わないんですよ。
だけど読み手がそんな細かいこと気にするとも思えなかったし、基本的な読み手の認識としては「クラシック」=「荘厳で格式高い音楽」みたいな意味だろうな、と思ってて。だから「うるさいし激しいこの曲はクラシックとは言いがたい」という表現にした。
厳密に言ってしまえばクラシックはある一定期間の時代に作られた音楽の総称でしかない、だから今どんなアレンジをしようともその曲はクラシックではない、というのはわかってたけど、そこ説明するのも違うしな~という感じ。
白石と青柳のきらきら星ならストリート音楽らしくならないと、という繋げ方は上手い事繋げられたな~と思ってる。よい。今二人が愛している音楽はうるさくて激しい音楽なのです。

それで最後のまとめというか、話を柔らかくするオチとして、青柳は真面目なので「あのピアノは勝手に弾いてもよかったのか?」を出す。これは読み手に対してのヘイト管理みたいな部分もある。だって私なら読んでて「青柳が学校のピアノを勝手に弾くのは違くない?青柳は真面目だからそういうところ絶対気にするでしょ」と思うだろうから。そこをちゃんと最後にオチとして書いておかないとな~と思って。
今後青柳が家でピアノを弾くのか、とか、今度は東雲も混ぜて弾き語りとかするのか、とかをいれてもよかったんだけど、なんか上手くまとまらなかったのでその辺の言及はやめた。

この話書いてるとき、途中から「青柳にピアノを弾かせるなんてしていいのか…?」「しかもそのきっかけをもたらす相手が白石って、BD原理主義者にキレられないか…?」「冬弥はこんなきっかけじゃピアノを弾くなんてしません!もっとちゃんと状況考えてから書けや!と言われるのでは…?」「というかむしろ白石推しから白石杏はこんな不用意な発言しません!と言われるのでは…?」みたいな不安がすごくて、めちゃくちゃ息が苦しかった。今はひとまず肩の荷が下りてる。

あとこの話のピアノ連弾するところ辺りからめちゃくちゃ「これ冬杏では?」とか「めっちゃ冬杏だな~~~!!!」とかテンション上がってたんだけど、カップリングタグはつけなかった。私の中でのタグづけの基準のひとつとして「性や色欲や恋愛や交際のニュアンスが入ったらカプタグつける」というのがあり、今回の話はそうではなかったので。
冬杏を好きな人に読んでもらいたいな~という思いもあったんだけど、逆に冬杏というタグがついてるから読まない人のことを考えた結果、たくさんの人に読んでほしい思いが勝ち、キャラタグのみになった。まあこの辺のこと考え出すと後ろ暗い思いが出てきますが、カップリングは宗教だからな……で自分を納得させてる。宗教なら牛食べられないのも仕方ないし断食するのも文化の一つだし。

きらきら星と白石杏の関連性の高さ、白石と青柳の父の対比、クラシックについて踏み込む白石と踏み込めない東雲をやれてよかったな~と思ってる。あと好きだったけど今まで拾えてなかったエリア会話(ラムレーズンアイス、クラシックとラップのCD、ビミクさんのピアノ弾いてくれる?発言)を拾えたのもよかったな~。寒色の好きなエリア会話全部詰め込めた、と思う!
ピアノに再び青柳が触れるタイミングが今後来るか来ないかはわからないですが(早ければ来月にもあるかもしれないの、怖すぎ)、とりあえずずっと書きたいと思っていた話を書けてよかった!

【我往くは荒野】あとがき

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これのあとがき。色々紆余曲折があったので過程を書いておこうと思う。

話の思いつき

「Bout for Beside You」のイベストを読んで、東雲彰人は中学のときからめちゃめちゃ白石杏のこと見てきたんだな…と思ったところが話を思いついたきっかけだった。彰人が白石杏のことを二年間見てきて、一目置いていて、だからこそのユニスト4話だったんだな~ってのをイベスト6話「モヤモヤしていた理由」と報酬東雲星2「誇れる選択」前編の白石謙と東雲彰人の会話を見て思った。
でも白石杏、BAD DOGSのことなんにもしらないよな、と思ったのが話の始まり。それに白石杏が気づいたらどうするんだろうな~みたいな感じで話が始まった。
書く前の想定としては「杏が彰人と練習場所へ向かいながら雑談」→「どっかのタイミングで杏が自分がBDのことを知らないことに気づく」→「BDのことを教えてもらう」って感じにできたらいいな、と思ってた。

杏と彰人の雑談

書き始めて、杏と彰人が自分の予想してた以上に雑談をしてしまった。雑談が終わらない。
歩く速度の話は書いててなんとなくいれた。杏と彰人が歩くときの話するなら彰人とこはねのときもいれて対比させたいし、冬弥とこはねのときも対比させたいな~と思って書いた。脱線1。でもこういう些細な違いが読んでて一番楽しいとこみたいなとこあるから…私は…
ライブハウスの話は一周年記念スペシャルライブでビが話していた内容。BBYで拾われるのかなと思ってたけど特になんもなかったから拾ってみた。せっかく大河がでてきたし使わせてもらった。
雑談が本当に終わらない。杏と彰人の雑談がこんなに好きなのか、俺は……と書きながら思った。
こはねの話ばかりする杏と冬弥の話ばかりする彰人というのは好きなエリア会話なのでいれた。そういえばいれたことない気がしたので。だけどBBY後なので、それを聞く彰人も、話す杏も変わっていて、じゃあBBYで何があったのかを説明しないといけないな、ってなってその説明が入った。
BBYの杏とそれに気づいた彰人を見て、なんかほんとに彰人って杏に対して冬弥とはまた違った信頼を置いてるよな…と思ってたのでそこの話をした。「そんな無条件の信頼を、彰人は杏へと向けている。」この辺書いてても読んでても東雲彰人めっちゃ白石杏のこと好きじゃん…と思う。
そこから話を戻して、彰人と杏が同じものを抱えながら歌ってることを書いて、そういうのがわかるからこそ今もなお笑顔でこはねの話をする杏のことを「そうだよなお前は」つってる。流石だよみたいなニュアンスで。
この辺まで書いたところで、ほんとは杏が彰人との雑談の中でBDのことを知らないことに気づく流れにしたかったけど、難しいんじゃ…?ということに勘付く。
雑談をこっちの都合で方向転換するわけにもいかないし、この時点で私は「BDの二人のことを知らない」ということに杏がどういったエピで気づくのか、ってのを思いついてなかった。

衣装の話

なので雑談が続行され、衣装の話に。脱線2。
ビの衣装の話、ずっとしたかったってのもある。別にずっと既製服でもいいんだけど、せっかくソシャゲの衣装あるしそれを作る流れにどうにかもってけないかな~と思ってた。着て歌ってるとこ見たいな~とも。ストリートファッションでは服に自分のMCネームとかを入れる文化とかあるみたいな話を剣持がしてて、あ、ストリートにも服作る文化あっても大丈夫かな、とも思って。
もともとビビッドクルーとビビッドソウルを着てライブにでる話を前に書こうと思って途中まで書いてて、白石誕でやりたかったんだけどうまくいかなかったので再利用した。ちなみに白石誕はせっかく作ったこの衣装に髪型も合わせたい!つって杏があのサイドテールやろうとするもあんま上手くいかなくて彰人がセットしてくれる話にしたかった。書き上げられなくてボツになったが。東雲彰人に白石杏の髪触ってほしすぎ妖怪かもしれない。
経緯はまあバイト先の店長からでええやろ~と思った。
会話の中で二人がABイベ衣装とBBY衣装の話をして、そこでようやく公園到着。
ようやく雑談終わった…でもなんも話は進んでない…っていう状態になってた。
とりあえず話を進めるしかないと思い進める。
こはねが彰人のこともう大して怖がってないな~ってのはファンフェスタイベで思ったから入れた。でもまあ本気でキレたら流石にビビるだろうなとも思ってるので予防線も張っちゃった。

杏が気づくタイミング、いつだよ~~とか思いながらWGでの打ち合わせ。
衣装の話がめちゃくちゃ長引いてしまったのは、どうにもデザイナーに名前つけないと台詞が変になるな、と思ったから。「衣装はデザイナーさんに相談して」だと変だな~と思った。名前知らねえのかよと脳内でツッコみが入ってしまった。いくらモブに名前つけたくないと思っててもこればっかりは仕方ない、名前つけるか~名前どうすっかな~と思って、てきとうにつけようと思うほど思いつかなかったので、「ランウェイで笑って」の主人公の都村にした。
ランウェイで笑って読んでる人そうそういないだろうから、気づかれなくてもいいかな~って感じで。クロスオーバーというほどでもないのはわかってるが、初めてクロスオーバー書くな…と思っていた。都村、漢字で書くとトムラって読まれちゃいそうだと思ったからめんどくさかったけど説明した。
「ランウェイで笑って」は全22巻完結済みマガジン作品です。服を作ることが夢の都村育人とパリコレモデルになることが夢だけど身長が158しかない藤戸千雪の二人が主人公のファッション漫画です。面白いのでよろしくお願いします。
四人の衣装製作を彰人が中心になって進めている、ってのはテネシーハニーでも似たようなことを書いたけど、どうしてそういうことになったのかをわざわざ書き始めた。馬鹿か?でも説明しないとなと思ったから…
彰人に絵の才能はあるのかないのかの話、プロセカリリースされて一年経って、ペイルカラーとか見る限り彰人にものすごく絵の才能があるとかいうわけでもなさそうだな~と思ってて、でもまあ教えてもらってたって言ってるし、彰人の器用さのレベル感もなんとなくわかったので、三人よりは明らかに上手いんだろうな~くらいの絵の上手さかな、に落ち着いたのでその説明をした。ファッションコーディネートも得意だしね。

そこから都村がでてくる。出すつもり本当になかったんだけど流れで出てきた。お金周りの話も説明しとくかな…みたいな気持ちがあったと思う。都村は丁寧な感じの人です。こう言ったら四人は頷くしかないよな、読んでくれる人もこれで納得してくれるかな(ご都合主義だけど…)みたいなことを言ってもらった。
ようやく衣装の話が終わって、なんとか彰人だけWGに残せないかな~そこで杏と会話して杏が気づいてくれないかな~と思ったんだけど、上手く思いつかなくて繋げなかったので、一旦解散。

三田洸太郎登場

大変申し訳ないと思いながら都合よく三田洸太郎に登場してもらった。三田が知ってることを杏は知らなかったみたいな流れにするか、と思って。三田、便利に使ってしまってごめん……。三田のこと「ビビッドストリートで歌を歌う大勢のうちの一人」って説明したの、悪意あるよな~と思ってる、自分に。三田は大勢のうちの一人でしかないんだな…みたいになるので…。
洸太郎もなんやかんや情報通だろうね~と思いながら杏との会話進めていって、杏との確執的なことも一応書いておいたほうがいいかなと思って書いた。書かないと読んでるときにコード抜いたくせに?と思ってしまいそうだったので…私が…
ライブハウスに呼ばれた話をして、あーじゃあここで洸太郎が知ってて杏が知らないこと出すか、になった。杏が知らなかったことに気づいて、でも三田ではどうすることもできないので、話を一旦切り上げた。

杏の自問自答

杏の自問自答開始。ようやく本題が始まった…と思った。ほんとに。長かった。
「何も知らない。」てのはインパクトあるからそういう言い回しにしたかったのがあって、けどほんとに何も知らないわけじゃなくて…というのを説明して、中学BDについて知らないってことですよみたいな説明をいれた。
SBDとか見てるとほんとに杏はBDのこと何も知らなかったんだな…と思うので、まずはその話。BDが苦境に立たされて色々言われてたというやつ。
次に、アラシのことも杏は知らなかったので、その話。アラシなんて蔑称ついてるくらい有名なのに杏は知らないんだな…と思ってたから。
で、最後に先輩の洗礼。SBD報酬冬弥後編の話。杏は多分そこまで悪い認識してないけどBDや三田はそうじゃないよな~と思ったのでいれた。具体例は多いほうがいいと思ったので…。
悪意を知らないって路線でいきたいけど、流石に杏も自分が七光りって言われてることくらいは耳にしてるし認識してるだろうと思ったからそこも補足として書いておいた。

杏の認識ってこんな感じかな~みたいなのを思ってた。

タイトルの話

この辺までずっとタイトル思いつかなくて悩んでて、うーんうーんって思いながら書いてた。
報酬東雲前編で杏が歩いてきたのは平坦な道って話を白石謙がしてたの思い出して、じゃあこれから杏が歩くまたは走るのって舗装されてない道だよな~、なんて単語がいいんだ?みたいになって、荒野とか戦場とかかな~になった。杏がこの先進むのは荒野だな~みたいな。
で、タイトルが「我往くは荒野」っていう、私にしては珍しい固めなタイトルになった。一人称が「我」なのは「私」より明らかにタイトルとしては収まりがいいなと思ったから。「行く」とか「進む」とか「走る」とかじゃなくて「往く」にしたのも、そのほうがタイトルとして収まりがいいから。
読む人が荒野とBDを知らないことをどう繋げるの?みたいに思って読み始めてくれたらいいな~みたいなことを思いながら書いてた。

知らない知りたいの話

「最前線飛ばせ僕達は」でVvのことを悪意を知らない、BDは悪意を知ってる、みたいに対比して書いてたんだけど、それもやるか~になった。
BDのことを知らないのは杏が興味関心を持ってなかったからで説明できるのでともかく、悪意があることを知らない→それはなぜ?になる。で、流石に父の影響力をわかってる人間だと杏のことを思ってるので、それをいれる。
BDのことを知らないことが悲しいわけでも悔しいわけでもないけど、ただ、「あ、知らないな」ってなってて、まあでも知らなくても仕方ないでしょという理由もならべた。でも今の杏は知りたいと思ってるんだよみたいな流れになった。この悲しいわけでも悔しいわけでもないっての、伝わるかな~う~~ん、みたいに思ってた。
この辺まで書いてて、杏のこの「知りたい」という欲求ってReadySteadyじゃ~んとか思いながら書いてた。特に意図してないけどRS擦れてうれし~みたいに思ってた。
BDのこと知らないけど知りたい、みたいなのは書いてる途中でForwardの「違う過去歩いてきたこと忘れないよ」にも通じるかな~とか思ってた。違う過去を知って進んでいってほしいな…という思いがあった。

冬弥と杏の会話

ようやく冬弥と杏の話。雑談させてる暇ねえな!と思って結構急に舵を切ってしまった。あとこの二人の雑談がパッと思いつかなかった。まあノクターンのときの冬弥への切り込み方も見るに気になったら即聞きに走れるのが白石杏かな、と思ったので…という理由が後付け。
話の中で冬弥からBDの思い出を教えてもらうことは確定として、杏が自問自答した内容についても冬弥からの意見をもらうか、と思った。
・悪意を知らない
・だからBDほど苦労を知らない
・それは父のせい?
この3点を冬弥にそれはこうだよって言ってもらうか、になった。
あと杏からしたら二人は杏を知ってるけど杏は二人を知らない、みたいな感じだろうし、なるべく話を続ける感じでうまいこと上の3つとBDの思い出を話してもらうか…になった。
苦労を知らない→苦労していたと思うし、悪意に触れてないからといって苦労してない、は違う。逆はなりたたない。
父のせいだから?→違う、白石杏が白石杏だから
杏と冬弥が父の話を面と向かってするとこ、見れてよかったな…と思ってる。書きだしたときは見れると思ってなかった。でも書いてたら「あ、これ父の話できるな、てか入れないとダメか」になった。
白石杏と青柳冬弥の邂逅、「君の相棒の話をしよう」でも「前奏曲の終演」でも書いたけど、まあ今回本当の邂逅がイベストで見れたしね、と思っていれた。驚いててほしいな~と今でも思ってる。
冬弥は彰人と違ってまっすぐ相手のことを褒めれるので、それをしてもらった。杏のことをベタ褒めしてもらって、杏が杏だから周りに暖かい人間が多かったんだよという話をした。
照れる白石杏、珍しくてかわいい。(我欲)
こはねだったらどうなるか、彰人だったらどうなるかを補足。私はビの対比構造が好きなので、隙あらばそういうのをいれたくなる。
BDの思い出話に行く前に、最後「悪意を知らない」についての説明。
ここまで書いてきた流れでビビッドストリートがめちゃくちゃ治安が悪くて悪人が多い街みたいな印象強くなってんなと思って、いや多分彰人が目をつけられやすかったんだよ、その話ばっか一気に知ったから認識がちょっとズレちゃってたね、を落としどころにした。
もちろんビビッドストリートには悪意ある人間がいるし、それなりに治安悪いなこの街…と思ってるんだけど、でもこの街はそれだけじゃないんだということを言いたかった。ビビッドストリートは名前の通り明るい街でもあるんだと思ってもらいたかった。
悪意を知らなかったのは単純に母数が少ないからでもあり、大多数の人間は音楽を愛しているいい人だ、という落としどころ。

BDの思い出話

これでようやく杏の認識3点の修正が行えたので、ほんとのほんとにようやく本題に入れた。BDの思い出を杏が知る、というやつ。
冬弥に話してもらうBDの思い出、この瞬間までほんとにな~~~~~~~んにも考えてなかった。なんかしらの思い出話してもらうか!しか考えてなかった。見切り発車だった。
ただその前の話で彰人が悪意を買いやすかった(ユニストで言われた「敵が多い」の話)をしてるから、その話をしてよ!と杏が言う。
本当に何も考えてなかったんだけど、セトリと違う曲流されたらヤバイな~~と思いついた。本当に突拍子もなかったし、どうして思いつけたのか自分でもわからない。「僕たちは君と一緒に」のときみたいにこの漫画でこういうことがあったんだよね~それがビで起きたらどうなるかなと思って~みたいなやつでもない。
本当に唐突に思いついた。
ちゃんと怒ってくれる白石杏が好きなのでその描写を挟み、過去回想。
ここさ~~~自画自賛なんだけどめちゃめちゃよくないか!?!?!?思いつきにしてはすごいだろこれは!と思う。
ビビッドストリートという街でのBDの評価が変わっていく瞬間、というのは確かにあるはずで、まあそれがこんな劇的なものかはわかんないけど、その瞬間って「前奏曲の終演」でも書いてなかったな、ちょうどいいな!になってた。
悪者モブもBDがこの曲は知らないと思ってやってるだろさすがに。クソ有名な曲を流すのは馬鹿だろ、と思ってマイナー曲を流すことに。それをどうしてBDが知ってるのか説明つけなきゃな~と思って、エリア会話でCDショップでPOP立ってるCDを片っ端から聞いてた冬弥とそれに付き合ってた彰人を思い出して、それでいくか、になった。
二人ともめちゃくちゃ貪欲だしこの時期めちゃくちゃ悔しさをバネに努力してた時期だと思うので、それくらいのマイナー曲は知ってたよ、という流れに。でも歌割もハモリもなんも決めてないよ、くらいの塩梅で。
絶対逃げないBD、かっけ~~~!!!って思いながら書いてた。この辺めちゃくちゃテンション上がってた。
二人が目線で会話してるの最高に好きだしバチっと目が合っただけで以心伝心してるの最高~~~!!!って思ってた。この瞬間に二人はゾーンに入ったんだと思う。おれ達はBAD DOGS――最高の相棒。ってやって、嫌がらせしたやつらには躾のなってない頭の悪い犬。のほうをやった。どっちもやりたかった。
あと最初「どこかで聴いているであろうこの嫌がらせを仕掛けたヤツらに、分からせてやる。」の「分からせてやる」のあたりを「ヤツらに向かって吠える」とかにしようかな~犬だし~と思ってたんだけど、いやBDは無駄吠えはしない犬だからな…と思って意図的に「吠える」は使わなかった。吠えてるだけの連中とは違ってBDは黙って近づいて噛みつく犬だと思ってるので…
なので「噛みつく」は採用してる。
BD過去回想、思いつきにしてはめちゃくちゃかっけ~しよくできた~と思う。すごい。BAD DOGSめちゃくちゃかっこいい。

最後の締めくくり

話が現在に戻り、冬弥と杏の会話。その出来事が分岐点だったんだね、だってビビッドストリートはそういう街だから、という流れに。
なんかこの話、「ビビッドストリートがどういう街か」って話でもあるな~ってこの辺になってようやく気付いた。
「二人でもやってけるんじゃ~」あたりは、四人であることの必然性を説明するためにおいた。私はVivid BAD SQUADが四人全員でじゃないと夢を叶えることができないと思ってるので、四人のうちの誰一人として欠けてはいけないことを書きたかった。

ようやく話が終盤。こはねがやってきて練習が始まり、杏のモノローグが始まる。
最後は杏のモノローグで締めるか、というのはタイトル決めたあたりで考えてた。
この先、杏がどういう場所を走っていくのか。誰と一緒に進んでいくのか。そういうものを詰め込んだ。
この辺の文章で気になったのが助詞。たとえば「この荒野へ往く」が「ヘ」なのか「に」なのか、とか。そういうところ。頭の中で流して違和感なくスッキリ聞こえるのはどっちだ?みたいなのをやって文字数のわりに悩んでた。
最後の二行はForwardの歌詞引用。「息を吸って前を向いて力強く走り出した」を最後に持ってこようと思った。
最後の一文は読点のタイミングをどこにするかでめちゃくちゃ悩んだ。今もまだこれでよかったのかな~と悩んでる。
「力強く大地を踏みしめて、私は、荒野へと走り出した。」を採用したけど、たとえば「力強く大地を踏みしめて、私は荒野へと、走り出した。」なのか「力強く大地を踏みしめて――私は荒野へと走り出した。」なのか、みたいな。ついでに助詞問題も発生してた。最後の一文はパキっと決めたいと思ってるのでめちゃくちゃ悩んだ~~。
最後の一文で気に入ってるのは「交わらない二人」「前奏曲の終演」「最前線飛ばせ僕たちは」「僕達は君と一緒に」あたりです。この辺はめっちゃ最高に締めくくれたなと思ってる。

なんか見切り発車のわりにいろんなこと書けたな…と思ったので記録として思考を残しておく。

杏メインの話が書けたことが嬉しいし、冬弥と杏の会話をたくさん書けたのも楽しかったし、衣装の話もできたし杏と彰人の雑談見れたしBAD DOGSの過去話も書けてよかった~~~~!!!!

最後に。小説を書いているとき私はよく「こんなこと誰も気にしないのにどうして説明してるんだろう……」と思う事がある。そういうときに思い出している、漫画「2.5次元の誘惑」第93話での主人公リリサの台詞を引用して終わる。

「手間は倍くらいかかりますけど 腕を上げたとき背中が突っ張っているようじゃ マジョとして戦えないじゃないですか」

文字数が倍になっても、私は私が読んで納得できる話を書きたいな、と思う。

恋愛を考える

よく任意のABに対して「この二人の間に恋愛が発生しているところの想像がつかない」とか言ってるんですが、この場合の「恋愛」が何なのか、何を満たしていればそのABの間に恋愛が発生すると自分が思えるのかを、ごりごり考えていこうと思って書きだしている。

私は「恋」と「愛」の間にあるのが「恋愛」だと思っていて、この話を考えていく上でこの3つの単語の定義づけが必要なのだろうな、と思う。

「恋」は私の中では利己的で傲慢な感情だ。恋は夢見る心だと、かのアンデルセン(fate)は言った。それもかなり私の中の恋の認識に近い。

私の中の「恋」は、かなり片思いの感情に近い。俳優やアイドルにガチ恋しているオタクなどを観測するたび、私の中の「恋」の定義に近しいなあと思っている。一番近いのは小中学生の恋バナ、というやつが近い気がする。

勝手に彼の名字になったらどうなるかを考えたり、もし告白されたらと考えたり、その彼のことを考えているというよりは「恋すること」自体を楽しんでいるような。「恋」に酔っているような。だから利己的で傲慢だなあと思う。相手のことを考えている感じがしない。あと、人間を消費しているなあとも。消費している、そう、ガチ恋オタクなんかはまさにそんな印象を受けていて、名前を覚えていてくれたことに一喜一憂(これは若俳あたりの話をしてる)したり、プレであげた服を着ているとこをSNSで発信してくれるのを見て喜んだり。でもほかの人にもそれをやっているところを見て怒りとも嫉妬とも妬みとも悲しみともとれるようなしんどさを抱えていて。あれは大変そうだな、と思いながら見ている。

恋は夢見る心。そう、もしこうなったらどうしようとか、「もし」を前提にあれこれ考えてはその行為自体を楽しむ。だからこそ夢を見ている、と私は思う。「もし」なんて、自分が行動しないかぎり発生しえないのに、それでも考えてしまうのが恋なんだろうなあ。

まあこの辺は人によってかなり認識に差があると思うので、私が生きてきた中ではそういう認識をしている、というだけなんですが。

 

じゃあ「愛」は?となると、まずは以下の言葉を定義してる。

「責任を感じるから、自分のためにその人間が必要だから、その人が悲しいことが嫌だから。そうやって『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです。」

これは私が最も好きな作家の作品の引用だけど、まさしくこれだなあと思う。「愛」は「執着」だ。

自分のために相手に執着する。恋と何が違うのかといえば、相手に何かを望むというよりは自分が相手へ何かをする、という点かなと思う。起点の差。アンデルセンも「愛は与える心」と言いましたからね。CCC未プレイのくせに名言だけ引用してしまって申し訳ないですが……。

愛について説明することあんまりないんだよな、私の中で「愛は執着」「与える心」で結論出てしまってるから。それを誰かにわかってもらおうともあんまり思ってないし。

というのもこれは私が母から一般で言われるとこの「無償の愛」を受けて育ったからだろうなと思っている。母、私が生きてるだけでとても喜んでくれるし、私が勉強できようが運動ができなかろうが、太ろうが何しようが「あなたは私の宝物だよ」「大好きだよ」と言ってくるような人なので。成人した今でも帰省するたび言ってくるレベルで。でも何も見返りを期待してなくて、テストで百点とったらすごいと褒めてはくれるけど、百点をとったから好き、にはしないような人だから。「生きてるだけで十分」を地でいってるような人に育てられたので、その辺が「愛」の感覚になってるな。「与える心」だなあと。何かしてあげたいと「執着」する心だなと。

関係ないとこに話を飛ばすと、配偶者なり子供なり、自分が愛した人間が誰かの手によって殺されたとき、その犯人に復讐するのは愛だなと思いますね。おそらく一般論ではないのだろうけど。

 

この間にくるのが「恋愛」なんだけど、これがまあ難しい。私は「交際」とか「付き合う」とかいう概念を口約束なのになんで浮気しちゃいけないとかもろもろの行動を制限されなきゃいけないわけ?と考えているようなクソ面倒人間というのがまずあるから。

でも「恋愛」ってのは、そうですね、「交際」している二人の間に発生するものではあるかな、と思ってるな。いずれ「愛」になることもできる状態だとも思ってる。「愛」にするには対話するしかないとも。

一個前のブログでも話したけど、私は一般的な大衆の恋愛の認識って以下の点があげられると思っている。

1.嫉妬

2.照れ(褒められてとか、思いがけない言葉でとか、可愛い表情やかっこいい顔でとか)

3.ドキドキ(胸の高鳴りが止まらない、相手の体に触れてドキっとする)

4.好きで好きでたまらないという感情

5.甘い言葉(好きだとか愛してるとかそういうやつ)

まあ世間一般的にはこういうのが含まれてれば恋愛なんだろうな~~みたいに思ってるな。ただ何となく私の中では上記のものたちだと綺麗すぎるなあと思ってて。これは私が人間自体を愚かで醜い存在だと捉えてるからってのもかなりあるけど。恋愛ってもっと汚い感情がたくさんあると思ってるんだよな。

あと、恋愛って交際相手もしくは「おそらくしばらくしたら交際関係になるだろうなとなんとなく互いに認識のとれている状態の相手」と発生するものかなと思ってる。

だから片思いはかなり恋に近い。愛に近い片思いもあるんだろうけど、私の中のマジョリティの考えを今は並べてるだけなので割愛。

恋愛と聞いて私が最初に思い浮かべるのは嫉妬でも胸の高鳴りでもなく、「試し行為」と「察して」だ。

相手のことが好きだけど、相手がそう思っているかが不安で、「本当に私のこと好きなの?」と言ってみたり、別れたいなんて思ってないのに「別れよう」と言ってみたり。本当にこの辺りは人間の醜さと弱さだなあと思う。愛を確かめようとするために相手を試すような発言や行動をする。これらを「試し行為」と私が勝手に呼んでいる。でも好きだからこそ同じ大きさの感情を相手が持っているかどうかを知りたくなる、という感情はわかる。好きなのだ。だからこそ捨てられることに不安になってしまうし、先回りして「もう終わりにしよう」なんて言ってしまう。不安でいるのが辛いから。本当はこうしてほしいとかこうなってほしいという願望があるけど、それが叶えられることはないとわかっているからこそ。

その感情がわかってしまう自分が嫌いだから恋愛が嫌いだ。だからここは難しいところで、この試し行為をされた側がそれを鬱陶しく感じたら破局なんだろうし、「どうしてそう感じたのか」「何を行えばその不安は解消されるのか」みたいな自己分析と相手との対話を行って、折衝点を見つけていけば愛になっていくと思う。

「察して」については、本当に傲慢だな…と思う、本当に。でもこれはなぜか友人には発生しないけど交際相手には発生しがちな状態だよなあともなんとなく思ってる。自己認識でしかないので誰かに共感してもらいたいとかはあまりないのだけど。

言わなくてもわかってほしかったとか、察して欲しかったとかそういうやつ。言わないと伝わるわけねえだろ。と、思ってしまうね。たとえば誕生日プレゼントとかね、サプライズがいいけど自分が欲しいものを貰いたい。みたいなやつ。それで欲しくない物だったら不機嫌になるみたいなやつ。サプライズも欲しい物もどちらも手に入れられるわけねえだろと思ってしまう。まあたまに奇跡的に相性のいい交際を行っている二者の間では「どちらも手に入る」が普通にまかり通ってしまいますが…

「察して」はあらゆるところに適用できて、怒ってるのに「怒ってない」と言うとか、そういうやつね。相手に感情を予測させて、自分は望む言葉が既にあって、そうやって相手を動かそうとする、相手に対応と思考の労働を強制するような行為。それをするのが恋愛だな~と思ってるし、この考えはかなりなんていうか、創作には不向きな考えをしているな、と思う。創作物の恋愛ってだいたい相手が「察して」くれてしまうので。

それに二次創作の場合、こんな小癪なことをするようなキャラって中々いない。かなり現実よりだなあとも思ってる。「察して」も「試し行為」もかなり現実よりの恋愛の定義だから、創作物ではまた違うんだろうなあと思ってるな。

 

だから私が年々キャラとキャラの間で恋愛させるのが難しくなってるのって、「察して」と「試し行為」をしないだろう、と思っちゃうからなんだろうな。そりゃしねえわ。

原作で恋愛発生しているAとBでしか恋愛CPとして中々見れなくなってる気がするもんな。恋愛を醜い感情だと思ってるからなんだろうな~これは。なんかもうちょいいい方向に恋愛を捉え直すことができればいろんなキャラの恋愛を考えられるような気がするけど…そのためにはまず人間に対する認識を改めなきゃいけないのが厳しい。

まああとは大多数の人間はAとBの関係性の最上位に「恋愛」を置きがちだと思ってるんだけど、私はそう思ってないってのもある。人間、恋愛が本当に好きだよね。いや私も嫌いではないけど。恋愛してほし~と思うこともあるし。でも基本的にはAとBが行き着く先が「恋愛」というものに収束するしかないのか?と思ってしまう。

あ、キャラに恋愛してほしいと思うときそのキャラに何を望んでいるかって「相手が自分のことをどう思っているのかわからなくて不安になったり一人で悩んだりしてほしい」みたいなのがあるので、やっぱり試し行為一歩手前だ。ここだけ考えてけばそうなりそうな二人はそこそこいそうなんだけど、どうだかな~難しい。

私は恋愛のことを「試し行為」とか「察して」ありきで考えてるから恋愛しないだろうな…になりがちなんだろうな。実際創作物にそこまでの現実味を求めなくてもいいのにね。ちょっと嫉妬いれて嫉妬したのはあなたが好きで心配だからだよみたいな文脈にしてドキドキさせれば世間一般でいうところの恋愛っぽくはなるんだろうなとわかっていてもそれができないって感じなんだろうな……。今嫉妬とかドキドキの感情を持った創作物のこと悪く言ったような感じになってしまいましたが、そうなる二人だっているんです。浴衣姿やら私服やらを見てドキドキするとか、他の人間と親密にしてる姿見て嫉妬するとか。そういうキャラだって当たり前にいる。

ただABを画一的にとりあえず嫉妬させたりドキドキさせたりして枠にはめてるのとかがあまり好きではないだけで……これを私は恋愛の中の物語と呼んでて、恋愛のテンプレートにその二者を押し込めてる感じがしてあんまり好きじゃないなあ、みたいなあれですね……めんどくさいことは承知している。そして私がそういう「枠に押し込んだ」創作をやらない、という自信もない。いつかやってしまうかもしれない。見たいという気持ちが先行して。だからあまり強いことは言えない……自分のことを棚に上げたくないので……

あとここまで書いた恋愛、基本女性側の目線になってしまった。男性、ひいては少年の恋愛って難しい。基本的に十代から二十代前半の男が恋愛するのって半分くらい性欲由来だと思ってるので。偏見だな~と思うけどそんなもんじゃないかな、とも思う。

これは「恋人がいるという状態になりたいから恋愛する」「ステータスとして恋人がいる状態になりたい」みたいなことも考えが及んでしまう。そっちの話を始めるとまた長くなりそうだしかなり現実よりの思考だから今回は割愛。

あと私は恋愛は趣味のひとつだと思ってて、それも多分世間一般と違う気がする。私の中での恋愛は野球が趣味とか読書が趣味とかそういうものと同列の存在でしかない。恋愛ってわかりやすいコンテンツだから、あまりにもメディアからの摂取量が多くてまるで人間が生きていく上での必須項目みたいな認識になってる部分があると思ってて(最近はそういう考え方じゃない人も増えてきてるな、とは思うけど)だからこそ恋愛を必須項目として捉えている人間との認識に差が生まれてしまうんだろうな~

別にその二人が恋愛しない=ディス、ということではないんですよ、というのを言いたかったんだけどまあこれは届かない。相手が仮想敵なので。

やはり私の中で恋愛という感情はかなり醜いものでそれが発生しないだろうと思ってるから恋愛しないと言ってるだけなんだな。この自己認識を変えない限り中々創作で恋愛させられなさそうだと思う。

あとこれ書いててセックスのすべてが恋愛の延長線上にあるわけではないという話もしたくなったけどこれも長くなりそうなので割愛。なんかこう、交際相手とセックスをする必要性とか、人はなぜ特別な人間とセックスしたいと感じるのだろうかとかも色々考えたりしているんだけど、まだまとまりきっていない。性欲があるからって理由しか思いつかない。現実としてはそうなんだけど、でもそれじゃなんかこう、創作としては物足りない。でもこれも結局メディアによる刷り込みな気がするし、恋愛と同じで人間のセックスに対する認識ってかなり差が大きい。

私はキャラクター達が恋愛よりも大切なものがあるだろうなあと思ってるとそっちをやはり優先して考える。でも「とりあえず恋人がほしい」と思ったりするかもしれないし、「性欲解消できる相手がほしい」と思ったりするかもしれないな、と考えながらやってくしかない。

私が考えるこれらをキャラクターに押し付けないようにして、任意のAとBが恋愛というものをどう認識しているのだろうか、というところから考える必要があるのだと思う。難しい。だけど私は恋愛って「察して」と「試し行為」だなあと思ったりしてるから、それらを行わなさそうと思ったら私の中では中々恋愛にしないんだろうなあ。CPにはすることはあるだろうけど。CPはあくまでAとBの間の唯一無二の関係性、という認識だから。だからほかの人から見たら私の創作物で「これは恋愛じゃん」となるような二人もいるんだろうな、と思う。

考えが変わったら追記するかもしれないけど、今のところはこんな認識だ。

以上、恋愛について考えた。終わり。